楽しんでいただけると…かなり心配だけど…嬉しいです。
時は、マシュがアーサー王の一撃を受け、灰が投げた槍によって窮地を逃れた直後に遡る。
「ふっ!」
「ギャォォォォォォォォッ!!」
私が放った矢をかわして、甲高い叫び声をあげて、嵐の竜が急降下してきた。
それを後ろに飛ぶことで回避、さらに地面すれすれまで降りてきたところで振り下ろされた雷を纏う剣槍を回避する。
瞬時に竜騎兵の弓から竜狩りの大斧に持ち替え、握り慣れたねじれた柄を両手で握った。そして動きの止まっている嵐の竜を見据える。
右足を後ろに、半身を斜めに。体の軸を意識して両腕に力を込め、一気に解放して肩に担いだ大斧を振り下ろす。
果たしてそれは嵐の竜の首を捉え、堅牢な鱗を湾曲した刃が叩き斬って肉を潰した。鳥のような嘴から苦悶の声が漏れる。
続けて逆側から第二撃を振るうが、それは間に差し込まれた剣槍に阻まれた。
「…………」
こちらを見つめる無名の王に、ふと悪寒を感じてその場から飛び退いた。
次の瞬間、雷が元いた場所に降り注ぐ。あとほんの少し遅ければ、あの雷に黒焦げにされていたことだろう。
「…………」
「くっ!」
着地したばかりで不安定な私を嘲笑うように、剣槍が突き出される。とっさに大斧で防いで後ろに転がった。
重りになる大斧をソウルに戻し、前を見たときには既に竜は空に戻っており……炎の見え隠れする嘴を開けている。
ゴォォォォオオオ!!!
吐き出された大量の炎が迫る。一瞬のうちに斑方石の指輪を炎方石の指輪に付け替え、さらに魔力の盾をハベルの大盾に使い身を隠した。
次の瞬間、物理的圧力すら伴う炎が襲い来る。
「ぐ、ぉおおおお……!」
両足を踏ん張り、数秒に渡るブレスを全力で耐え切った。
しばしの後、炎が途絶える。大盾をソウルに戻し、竜と王を見上げた。
「…………」
無名の王は枯れた顔を全く変えることなく、こちらを見下ろしていた。暗い眼窩はそんなものか?とでも言っているようだ。
「まだまだ、始まったばかりだ」
「…………」
竜狩りの大弓を取り出せば、満足のいく答えだったのか無名の王は剣槍を構える。主人の感情を察知して、嵐の竜が動き始めた。
無名の王の無慈悲な槍撃をいなし、嵐の竜のブレスを避け、人竜一体となった突撃をかわす。
文字通り嵐のごとき攻撃をことごとく耐え、その動きを観察していく。かつてと違うところがないか、失った技はないか。
「ガァァアアアア!!」
やがて見極め終わった頃、逃げてばかりの私に痺れを切らした嵐の竜は背後に回ろうとしてきた。
「その動きは、すでに捉えたぞ」
移動する方向の軌道に大矢を放つ。見事に先ほどつけた傷に突き刺さり、うめき声をあげて動きが止まった。
瞬時に後ろ腰に吊り下げた矢筒に手を伸ばして、次の矢を射る……のではなく、大弓をソウルに戻して竜に向かって走り出す。
十分な距離まで近づくと、サーヴァントとなってさらに強化された脚力で竜に向かって跳躍した。
「…………!」
それまで見下ろしていた無名の王が、今度は私を見上げる。
それを見ながら、私は矢筒から大矢を一本取り出して逆手に持ち──
「フンッ!!!」
──嵐の竜の眉間にぶち込んだ。
「ギャァガァァァァァァアアアア!!?」
神代において古竜を倒すため作られた大矢は、あっさりと竜の頭蓋を砕き脳漿を貫く。血が噴水のように吹き出した。
さしもの無名の王も大矢を素手で突き刺すとは思わなかったのだろう、とっさに反応できずに固まっている。
それが、命取りとも知らずに。
「シッ!」
「っ!」
〝フォース〟で体勢を崩し、重心が偏っている剣槍を持つ手にイバラムチを巻きつけると筋力に任せて振り回す。
無名の王は踏ん張ろうとするが、鞍をつけているわけでもないので目論見通りに竜の首から滑り落ちた。
「ギャオオオォォォオオ!!!??」
脳が破壊されて思考が定まっていないのか、竜は激しく暴れまわりながら飛ぶ。下を見れば、炉心の反対側に来ていた。
「お前は……眠っていろ!」
スモウの大槌を出し、両手で振り上げて大矢めがけて振り下ろす。
ズン、と衝撃が嵐の竜の全身を突き抜けた。大槌を握った手に、鮮明に大矢が完全に頭を貫く感触が伝わる。
か細い鳴き声をあげて、力を失い失墜する竜。すぐさま大槌をソウルに戻して背中の上から退避した。
ズズン……
着地して振り返ると、竜は地面に横たわっていた。すでに飛ぶ力はなく、弱々しげに鳴いているばかり。
トドメを刺そうと一歩踏み出す。が、いつの間にか無名の王が竜のすぐ側にいることに気がついた。
「………………」
無名の王は、そっと労わるように竜の頭を撫でる。まだ主人を判別できるのか、竜が頭を傾けた。
「…………」
しばらく竜を悼んでいた無名の王だったが、やがて、おもむろに得物を掲げ切っ先を竜の頭に定める。
まずい、あの構えは──!
「くっ!」
後方に飛び退くのと、無名の王が剣槍を竜の頭に突き刺したのは同時だった。
ドォッ!!!!!!!
次の瞬間、竜と王を中心に雷風が吹き荒れる。暴力と言っても過言ではないそれは天まで昇り、地面を抉った。
「………………」
そして雷風が晴れた時……そこには竜のソウルを吸収し、眩い雷光を纏う剣槍を手に無名の王が静かに佇んでいた。
ただでさえ強大であったソウルが、さらに大きく、激しく燃えている。それは怒りのようであり、また悲しみのようでもあった。
無名の王との戦いは、ここからが本番。取り回しを考え、雷方石の指輪に竜断の斧、竜紋章の盾をソウルから取り出し装備する。
「………………」
悠然とこちらに歩いてくる無名の王。私も盾を構え、一歩一歩慎重に近づいていった。
三メートル、二メートル……そして、残り一メートルの距離まで来た時、無名の王がグッと全身に力を込める。
来る。そう思った時にはもう無名の王は目の前におり、すでに剣槍を突き出すために身を引き絞っていた。
「ッ!」
「フッ!」
肉体が亡者となっていなければ裂帛の叫びとともに放たれただろう刺突を、盾を少し斜め上に傾けて受け止める。
一撃目は上手く上方にいなせたが、無名の王は空いていた左手で柄を掴むと未だ放電する剣槍を振り下ろした。
半身を翻して鎧の表面をかすめるだけにとどめ、地面を這う雷を跳躍でかわすと胸の中心に回し蹴りを入れる。
当然のように無名の王はビクともしない。だがそれは予想できたことなので、着地してすぐに後退する。
逃すものかと槍が振るわれた。斧の腹で外側へいなし、押す力に任せて一回転して斬りつけた。
「……!」
斧の一撃は手甲で防がれる。それどころか無名の王は柄の余った部分を掴み取り、頭上から帯電する剣槍を振り下ろしてくる。
とっさに斧をソウルに戻し、あえて懐に潜り込むことで槍を避けた。そうすると瞬時に右腕にセスタスを装備する。
「ハッ!」
「っ……!」
鎧と腰当ての間に打ち込むとどうやら効いたようで、わずかに仰け反る無名の王。
そのまま腕を引くことなく、ロスリック騎士の長槍をソウルより出す。手の中に現れた長槍は、無名の王の体を貫いた。
しかしコンマ数秒の差で横に避けられ、脇腹を貫通するに止まる。くっ、流石にダメか。
「…………!」
嵐の力を用いて、無名の王は後ろに下がった。
かなり上まで上昇すると、そこで停止する。そして滞空しながら左手に雷の大槍を出現させた。
ならばとこちらも両手に聖鈴と聖女のタリスマンを持ち、雷の槍を二つ生成する。
「ハァッ!」
「ッ!」
両腕を振り、投擲。同時に無名の王が大槍を投げ下ろす。
バヂィイッ!!!!!
激しいスパークを起こして槍は衝突し、互いを飲み込まんとせめぎ合う。
しばらくの後、結局どちらが勝つこともなく相殺して消滅した。
「…………」
それを気にした様子もなく、無名の王は槍を脇腹から引き抜いて投げ捨てる。そうすると剣槍を両腕で握って急降下してきた。
ゴッガァァアアンッ!!!
全力で突き出された剣槍の切っ先を、竜紋章の盾で受け止める。
押す力に逆らわずに盾を斜めに構え、あえて体を回転させた。そして振り向きざまに腰からクナイを投げ放つ。
しかし無名の王はやすやすとクナイを避け、剣槍を薙ぎ払った。これは流石に対応できずに、片腕を犠牲にして防ぐ。
メキャッ
「ぐっ……!」
腕の骨が折れる感覚。
横殴りにされた体は水平に飛び、一瞬で景色が荒野から緑色の中へと流れていく。
木を何本もへし折って減速を続け、10度体を打ち付けたところでようやく止まった。
「くっ、かはっ……!」
兜の中で血を吐き、一度面頬を開けると口内に溜まった残りを地面に吐き出す。
面頬を被り直して、よろよろと立ち上がりエスト瓶を取り出して数度煽った。
みるみるうちに垂れ下がっていた左手から痛みが消えていき、骨が治癒していく。試しに握っては開くが、問題ない。
「ふぅ……さて。これはもう使えないな」
真ん中が大きく凹んだ竜紋章の盾をソウルに戻して、代わりに竜狩りの大斧を携えて竹林から出た。
「……………………」
荒野に戻ると、無名の王があいも変わらず悠然と待ち構えている。
しかし、かつて古竜の頂で出会った時ほどの覇気は感じられない。
「やはり強いな、貴公。不完全な召喚による能力の低下を受けても、まだそれだけの力を持つとは」
「………………」
先ほどの一撃を受けてわかった。無名の王は、かつて戦った時より弱くなっている。
いかな大聖杯とはいえ、最初の神族を完全に召喚するのは無理だったのだろう。パワーもスピードも以前の半分ほどだ。
それを余りあるほどに補う、卓越した技量。戦神の名にふさわしい神のごとき技の数々。
たとえ力を制限されようと、そんなことは関係ないのだろう。これでは私が半サーヴァント化しているところでイーブンだ。
「さすがはかの大王グウィンを裏切り、竜の同盟者となって戦った戦神、といったところか」
『………………お前が…………それを言うのか…………』
目を見開く。
今のは、無名の王の声か?いいや、それ以外ありえないだろう。
直接聞こえたのではなく、脳裏に響いたことからしてソウルを介して話したのだろう。
「どういう意味だ?」
『…………そうか………………お前は…………
「忘れた……?」
一体何を言っている?こいつは何を知っているのだ?
『お前が…………再びこの世界を…………とするならば…………我が身を……て……』
「……悪いが、話している時間はない」
気になることはあるが、今は決着をつけるのが先だ。もしマシュ殿がセイバーに敗れれば、マスターとオルガマリー嬢は死ぬ。
両手で大斧を握り、腰を落とす。何かを言っていた無名の王も、半身を引いて剣槍を構えた。
「フッ!」
「…………ッ!!!」
同時に前へ跳躍、予測していた地点で互いのレンジに入り武器を振るう。
ドンッ!!!!!!!
激しい衝撃。大斧と剣槍が衝突して衝撃波を生み、地面が陥没して号風が吹き荒れた。
そのまま、技の応酬が始まる。縦横無尽に武器を振るい、相手を殺さんと狂ったように刃を叩きつけた。
手心などいらない、いるのは殺意と狂気だけだ。
魔術はいらない。奇跡も呪術もいらない。いるのは武器と技だけだ。
小手先の道具も、搦め手も、全ていらない。己の技を信じ、倒すだけだ。
「オォオオオオオオオッ!!!!!」
「──────────────ッ!!!」
かつて古竜の頂での凌ぎ合いを想起させる、激しい技と技の凌ぎ合いに、いつしか心の中に高揚が広がっていく。
それはさながら、《薪の王》と……『彼ら』と戦っている時の気持ちに似ていて。
際限なく、この身に残り火でない熱が宿っていく。それは武器を握る腕に、無名の王を睨みあげる瞳に、全てに浸透していった。
ああ、抑止の意思よ。お前は私を無理やりこの座に当てはめたと思っていたが、どうやらそれは思い違いだったようだ。
なぜなら──こんなにも楽しいのだから。
「私は火のない灰!王たちを殺すことのみが本質にして存在意義たる、呪われた不死人!なればこそ、全身全霊をもって貴公を今一度打ち倒そう!」
『やれるものなら…………やってみろッ!!!』
振り下ろした大斧は、剣槍によって防がれる。
押し潰そうと腕力に物を言わせて押し込むが、絶妙に力の軸をずらされて拮抗に持ち込まれた。
ああ、いいとも。貴公がそのつもりなら付き合おう。どちらかの武器がどちらかを切り裂くまで、せめぎあおうじゃないか。
「倒す。倒す倒す倒す倒す倒して殺す!」
たとえ敗れ命を落とすとしても、何度でも挑んで必ず貴様を──
「私は、戦うことが……」
──そんな時、ふと声が聞こえた。
諦観に満ちたその声は、近くから聞こえてきた。一瞬無名の王から目をそらして、そちらを見る。
するとそこには……地面に膝をつき諦めた顔のマシュ殿がいた。大楯は無残に転がり、戦う意思は感じられない。
──お前は、■■■■■■■■
その姿が、ふっと脳裏に浮かぶ何かと重なって……
「諦めるな!」
気がつけば、私は叫んでいた。
マシュ殿が緩慢な動きでこちらを見る。いつの間にか私たちが近くに来ていたことに驚いたようで、目を見開いた。
「バーサーカーさん……?」
「マシュ殿、何を諦めている!貴公がマスターを守るのだ!」
燃えるような熱は冷めていた。
ただ心に思い浮かぶがままに、彼女へ語りかける。
自分でもなぜかわからないほど、必死に。
「わ、私では倒すことが」
しかしマシュ殿は、暗い表情にさらに陰を落とすばかりだった。
「甘えるなッッ!!!」
さらに大きな声で叫ぶ。
びくりとマシュ殿は肩を震わせて、もう一度こちらを見た。
その目にはなぜという疑問が浮かんでいる。どうして自分が戦わなくてはいけないのかと。
「今ここでマスターらを守れるのは貴公だけだと自覚しろ!貴公が諦めればそれまでだぞ!」
まずは妥協を否定する。負ければ〝次〟がない戦場において妥協は命の放棄だ。
そしてその妥協は、己だけでなく他のものにも危険が及ぶ。だから選ぶことは許されない。
「でも……」
「貴公はこれまで、戦う側の人間ではなかったのだろう!いきなりこのようなことになって受けとめる自信がないのだろう!」
何故それを、と目を見開くマシュ殿の顔には、恐怖が浮かんでいた。
ああ、きっと彼女はセイバーの力に圧倒され、心が折れてしまったのだろう。
もう戦えないと、理不尽な運命を拒否してしまったのだろう。
「だが戦場に立った時点で、貴公はもう一人の戦士だ!」
それではいけないのだ。すでに命運は決まってしまった。
今更、逃げることなどできはしない。
「バーサーカー、さん……」
「戦士ならば戦え!その盾を掲げろ!諦めれば命を失うことになる!」
「……!」
皮肉な話だ。命を奪おうとする力から己を守るために、相手を殺す力を振るう。
しかし、どれだけ戦いたくなくても力を持つ以上決して使わないことはできない。
「いいか、よく聞け!貴公は
死にたくないのならば戦え。どれだけ恐ろしくても抗い続けろ。
それが一度きりしか死ぬことを許されない、人が背負う宿命だ。
「ならば己が生き残るため、他の誰かの命を救うために理不尽に反抗しろ!」
たとえそれが…………かつて、私ができなかったことだとしても。
「…………ッ!」
いつまでよそ見をしている。そう言うように、無名の王が何とか押し込めていた剣槍を振り上げた。
あえて力を抜いて流れに身を任せ、後ろに飛んでそのまま離れていく。無名の王はすぐさま追いかけてきた。
背後から飛んでくる雷の大槍をかわし、崖を大きく迂回して走り続ける。なるべくマシュ殿たちから離れなくては。
「っと……」
やがて、反対側まで来たところで立ち止まると振り返った。
「………………」
平然と追いかけてきた無名の王は息一つ切らさずに、こちらを見つめている。
再び私たちだけになった。静寂が場を支配し、セイバーの宝具の轟音だけが響く。
『…………皮肉だな…………お前が……あんなことを言うとは………………』
三度、ソウルを通じて話しかけられる。それはまるで、私の過去を知っているかのような口ぶりで。
「なぜだか言いたくなってね……悪いが、そろそろ終わりにしよう」
冷静になった頭で、決着をつけることを考える。
長引けば長引くほど、マシュ殿たちが危険だ。いつまでもこの狂気に身を任せて戦い続けるわけにはいかない。
今の私は一人ではない。マスターのことを守らなくてはいけないし、あることのためにこの事態を解決しなくてはいけない。
「貴公を倒す。今ここで」
「………………」
ドンッ!!!
あちらもそれは望むところなのだろう。無言で最大の雷を剣槍に纏い、突撃の構えをとった。
対する私も、まっすぐ無名の王を見据えて……両腕を下ろした。無名の王のソウルから、わずかに困惑が感じられる。
だが諦めたと踏んだのか、それともどちらでも良いのか、すぐに迷いを消して体を力ませ……
「────ッ!」
一本の槍のごとく、凄まじい速度で突進してきた。
これまでのどの一撃とも比べ物にならないそれは、まさしく無名の王の最高の一撃。
このまま何もしなければ、私はあっさりと貫かれて死ぬだろう。
「〝──これより開くは禁断の扉、人を貶める呪縛の監獄〟」
そして私は、詠唱を開始する。
「〝其はかつて一人の小人見出したる、悲しく、恐ろしき人の真実なり〟」
全身から莫大な魔力が立ち上る。周囲の空間に異変が生じ、ビリビリと震え始めた。
「〝されど真は永遠に変わることなく。ならばこそ我は受け入れよう、その絶望を〟」
空に赤い光が現れる。それはどんどん広がっていき、やがて円環となった。
「〝謳え、嗤え、狂え。意思あるならば全てを嗤うがいい〟」
円環が不気味に輝き、周囲に黒い霧が立ち込める。それはまるで、死そのものの具現のよう。
「〝その果てに、すべからく絶望すべし〟」
霧が荒野を満たす中、いよいよ剣槍があと三歩のところまで迫る。
「〝あまねく人よ、我が苦しみを見よ、憎しみを聞け。この残酷を、その身をもって知るがいい〟」
あと二歩。
「〝来たれ死よ、我らが人の内に眠る暗黒よ〟」
一歩。
「〝
そしてついに、この胸を剣槍が貫く瞬間。
「宝具解放──《
黒い光が爆ぜた。
〈宝具〉
〝
ランク:A+++
種別:対人〝類〟宝具
説明:人理創生の一因としての、人類に対する優位権及び絶対呪殺権。どんなに強力な英霊であろうと、それが人理に刻まれる存在である限り必ず呪い殺す。
それは彼が最後の火継ぎを行うまで闇の魂に溜め込み続けた死そのものであり、最上の呪いである。
薪の王とそれに連なるものに対する特攻能力付与。
だめだ、これまでで一番心配だ……
次回はあのワカメ魔神です。
思ったこと、感じたことを書いていただけると嬉しいです。