まっっったくネタが思いつかず、何回かすっぽかしてしまいました。すみません。
そのくせ今回は短いです。
ぐだマシュ。楽しんでいただけると嬉しいです。
藤丸 SIDE
「ふぅ、はぁ……」
「お疲れ様です、先輩」
「ああうん、ありがとマシュ」
マシュから差し出されたハンドタオルと飲料水を受け取り、お礼を言う。
いつもよりだいぶ量が多い気がする汗を拭って、飲料水で喉を潤せばだいぶ落ち着いた。
「ふぅ……やっぱりちょっと鈍ってるなぁ」
「仕方がありません、右腕があの状態では無理をする方が危険です」
「わかってるけど、ちょっとね」
スポーツなどが毎日練習することに意味があるように、トレーニングも同じことだ。
勿論、あまり腕を使わないトレーニングも続けてはいた。腹筋とか、ランニングマシンとか。
けど、いつもよりずっと足りない。
幸いドクターやルーソフィアさん、医療班のスタッフのおかげで右腕は元に戻った。
だから久しぶりにトレーニングルームに来たはいいけど……やっぱりいつもより疲れたなぁ。
「特異点でマシュ達に迷惑かけないためにも、しっかり鍛え直さないと」
「その心構えは素晴らしいの一言につきますが、しっかり休息もとってくださいね」
眉を下げるマシュ。
彼女は今日からトレーニングを再開する俺を案じて、一緒にきてくれた。
「大丈夫だよ、今日のノルマはこれで終わりだし。ドクターからも調子に乗らないよう注意されてるからね。ありがとうマシュ」
「いえ……私は先輩のサーヴァントですから。心配するのは当然です」
「あはは、本気出すと俺よりずっと凄いからなぁ」
そんな彼女を心配させないよう、なるべく明るく笑いながらベンチから立ち上がる。
それから、広々とした部屋の中で様々なトレーニングを行なっている英霊達を見た。
腕相撲してる呂布とスパルタクス、サンドバッグを乱舞させてるマルタさん、人形を滅多刺しにする荊軻さんetcetc……
背中を任されたマスターとして、彼らの恥にならない程度には頑張ろう。
そんなことを内心で思いながら、マシュと一緒にトレーニングルームを出る。
自室に戻ってシャワー室で汗を流し、さっぱりとした。
「ふぅ……それにしても、綺麗に治ったなぁ」
シャワーを止め、バスタオルで頭を拭きながら普通に動いている自分の右腕を見る。
一週間くらい前までは、お湯に当たるとかなりヒリヒリして結構慎重に洗っていたのだが。
魔術がすごいのか、ルーソフィアさん達がすごいのか。
「……多分両方だろうな。みんないろんな分野のエキスパートって話だし」
マスター適性があったから補欠要因で連れてこられた俺と違い、職員みんなスペシャリスト。
それに少し居心地の悪さを感じないわけでもない。みんな優しいので、大して気にならないけど。
そんなことを思いながらシャワー室を出て、髪を乾かし服を着替えて……
「あれ……なんか……」
制服があったかい。これ、クローゼットにあったストックの一つで出したばっかなんだけど。
「うふふふふ……」
「──っ!?」
「ますたぁのお召し物は、この清姫が温めておきました……ええ、この身で抱き、しっかりと体温で……」
………………後ろから声が聞こえたけど、幻聴だろう。うん。
とりあえず妙に生暖かい制服を羽織り、なんだか部屋にいると危ない気がするので出る。
すると、ちょうど目の前を通りがかったマシュと目があった。
「あ、先輩。どこかお出かけですか?」
「そ、そうだよマシュ。ちょっと散歩しようかなって」
「ではお供します。また先輩が迷ってはいけません」
「そんなこと……ないって言い切れないんだよなぁ」
もう何ヶ月かいるはずなんだが、この施設の半分も網羅できてない気がする。
なにせ、共有施設だけでなくサーヴァントや職員の人たちが使っている部屋も含めたら400部屋以上。
とても覚えきれるわけがない。そもそも主要な場所さえ把握しておけば、行く意味もない。
とはいえ、このまま部屋に戻るのもかなり不自然なので、マシュと一緒に適当に歩き回ることにする。
シミュレーションのトレーニングはまだ不許可ということで、座学の時間までは暇だし。
「そういえば先輩、知ってますか?」
「ん?」
「ダ・ヴィンチちゃんの奮闘のおかげでリソースの運用にも少し余裕ができて、レクリエーションルームが解放されたらしいですよ」
「へえ。何があるの?」
「私も実際に行ったことがないので、資料を読んだだけなのですが。軽いフィットネス器具やゲーム機器もあるとか……」
「ゲームか……」
あっちにいた頃は友達付き合いで、結構やる機会も多かったなぁ。
ずらりとゲームソフトが棚に並んでいた同級生ほどじゃないが、ある程度はできる自信がある。
でもここ北極だし、そもそも俺の知ってる日本のゲームってあるんだろうか?
「気になりますか?」
「んー、ちょっとね。もしかしたら俺の知ってるゲームとかあるかもって思って」
「どうせなら行ってみましょうか」
「そうだね、せっかくの機会だし」
そういうことで、資料でレクリエーションルームの場所を知ってるマシュに案内してもらった。
結論から言えば、俺の部屋からそこまで遠くない場所にあった。
中に入ると、カルデア職員用の自室と同じ大きさの室内に色々と置かれている。
「へぇ、こうなってるんだ……」
「あちらが体を動かすタイプの器具、そしてあちらにテレビとゲーム機の類が置かれているみたいですね」
「あっちはトレーニングしたばっかだし、ゲーム機の方見てみようか」
「はい」
レクリエーションルームの一角、ソファがある場所に行ってみると、棚の中にいくつもソフトが並んでいる。
「えーと、なんだこれ知らないタイトルだな……こっちも海外のっぽい……」
「なるほど、これがゲームソフト……」
色々手に取ってみるが、半分以上は外国製のものだった。職員の人達も日本人ほとんどいないもんなぁ。
他の日本で見たことあるやつもだいたいレトロゲームで、父さんに話だけ聞いたことあるような……
「ん? ああ!」
「どうしましたか先輩?」
「ちょっと知ってるソフト見つけてさ」
取り出して、隣に女の子座りしていたマシュに見せる。
某赤い帽子のヒゲの人がカートに乗り、様々なキャラクターとレースをしているパッケージ。
そう、いわゆる国民的大スターであるマ◯オの作品、マ◯オカートである。
「これは日本製のソフトですね」
「ああ。やっぱり◯リオは世界に通じるらしい」
「マ、マリ……?」
「ああえっと、とりあえずこれは複数人でやることのできるレーシングゲームだよ。やってみる?」
「先輩がそう仰るなら……」
パッケージを裏返して首を傾げているマシュに、俺は早速ゲーム機本体を探し出す。
幸いにもどうにかW◯i Uをテレビに繋ぐことに成功し、ソフトを入れて起動した。
「マシュはやるの初めてだろうから、まずは操作説明から見てね」
「は、はい」
初めての経験だからか、マシュの声は硬い。
それどころか、コントローラーを変な構え方してたので思わず苦笑いしてしまう。
「違う違う、これは横にこうやって持つんだ」
「こ、こうですか?」
「そう。それでボタンの向きはこう。どういう風にボタンを使うかは説明されるから」
「あ、ありがとうございます」
お礼を言うマシュに頷いて、隣に腰を下ろす……ちょっといい匂いしたな。
それはそれとして、どうやらソフト自体が一度も使われてなかったみたいだ。
そのため操作説明が自動で流れ、ふむふむと頷くマシュ(可愛い)と一緒に操作を思い出す。
「なるほど、だいたい理解できました」
「それは良かった。俺はこの赤帽子の人選ぶけど、マシュも好きなの選んでいいよ」
「わかりました、ではこの防御力が高そうなエネミーにします」
選択基準がサーヴァントっぽかった。
マシュが毎回姫様をさらう大亀を選んで、残りのメンバーがランダムで選ばれスタートする。
三つ並んだランプが点滅し、そして……レースが始まった。
「せっ、先輩! 始まりました!」
「うん、それじゃさっきの説明通りにやってみようか」
「はいっ」
やや慎重に、マシュがク◯パを走り出させる。
最初だし本気出すのもな、と思ったのでそれに合わせて俺もマリ◯を操作した。
マシュはなんというか、いかにも初心者って感じだった。
時折止まりながらノロノロと進み、壁にぶつかり、アイテムをスルーし、崖から落ち……
その度にコツを教え、ビュンビュンとNPC達が俺達二人を追い越す隣でレクチャーする。
さすがと言うべきか、マシュは一度教えると一生懸命再現し、すぐに習得した。
最初は覚束なかった操作も徐々に慣れてきて、ついに一周目をゴールすることに成功した。
「やりました先輩、ゴールできました!」
「おめでとうマシュ」
まあ、教えてる間にNPCが三週回り切ってしまったのでゲームとしては終わりなんだが……
最初に会った時とは比べ物にならない豊かな表情をするマシュを見てると、どうでもよくなる。
「どうする、もう一回やる?」
「先輩のアドバイスのおかげでもう少しうまくできそうですので、やってみたいです」
「そしたら同じステージでやってみよっか」
「はい」
その後、マシュといくつかのステージをやって楽しんだ。
読んでいただき、ありがとうございます。
オケアノス、どの王を出すかな…