童話赤ずきんを
中学生にして恋物語を書きました
赤ずきんさん。
いつもいつも
お気に入りの赤いずきんを被っている女の子。
人々は彼女を
赤ずきんと呼びました―――――。
赤ずきんさん、おはようございます。
「赤ずきん!早く起きて、おばあちゃんのお見舞いにいってあげなさい!!」
「ふぁい」
私はのっそりとベッドから起き上がった。
あぁあ。
私、朝は弱いのよねェ。
なんてったって、低血圧だからさ。
今何時・・・あ。
もう10時・・・。
昨日は夜更かししてオオカミとメールしてたからなぁ。
あ、ちなみに、オオカミは人間です。
「赤ずきん!早く起きなさい!もう11時よ!!」
「もう起きてるし…。」
それに、まだ10時だし。
私は鏡と向き合って、寝癖と戦っていた。
「髪、切らなければよかったなぁ…。」
私の髪はくせっ毛だから、肩上に切った途端、朝が忙しくなった。
でもまあ、茶髪のボブ、気に入ってるんだけどね。
よし、やっと直ったぁ…。
次は階下の洗面所へ。
顔洗わなきゃ。
「おはよぉ…。」
「あ、おはよう。いったい、昨日はいつまで起きてたのよ。」
「ふぇ?3時くらい?だったかなぁ…。」
「まったくもう!そんな時間に寝るから毎日起きれないのよ」
「寝れないんだってばぁ」
ふぅ、さっぱりした。
顔洗うと目が覚めるよね。
「ご飯はぁ?」
「テーブルの上に出てるから」
「はーい」
「じゃあ、お母さん仕事行ってくるから。そこにある果物持ってってあげて」
「いってらー」
テーブルの上には、
スクランブルエッグとサラダ、パン、はちみつと、ミルクが置いてあった。
さっそくそれを食べ、歯を磨いた。
「もう10時半・・・。」
11時くらいにはオオカミも起きてるだろうし、
ちょっと、オオカミの家、よっていこうかなぁ…。
着替えを終え、バスケットにフルーツを、ポケットに携帯と鍵を入れ、
家を出た。
――――――お気に入りの、赤いずきんで。
赤ずきんさん、森の中。
木、木、木、木、木………。
坂、坂、坂、坂、坂………。
はあぁ………。
おばあちゃん家、結構遠いんだよねぇ。
森の中抜けなきゃだし。
まあ、途中にあるお花畑は、
綺麗だし、空気は美味しいし、オオカミの家の前だし、
嬉しいんだけど。
てか、果物落としたらどうしよ。
おむすびころりんならぬ、果物ころりん的な。
あ、くっだりいぃィ~ッ♪
下りは楽だし、楽しいし、もぉ天国!
あ、花畑見えてきた!!
やっぱキレェ~…。
よっし!
おばあちゃんにも何本か、もってってあげよっ!
「赤ずきん」
「オオカミ!」
「窓から見えて、出てきたんだ。」
オオカミ――――――大上はにこりと笑った。
やっぱりカッコいい…?
今は片思いだけど、いつかは彼女にしてほしいなぁ、なんて。
「今からおばあちゃんのお見舞いなんだぁ」
「そっか。結構遠いでしょ。頑張って」
優しい。さっすがはモテオトコ!!
「あ、じゃあ、一緒に、おばあちゃん家来る?」
「えっいいのか?」
「いいのいいの。おばあちゃんも、たくさん人いたほうが楽しいだろうし。」
「そっか…。」
大上は考え込んだ。
「じゃあ、しばらくしたら
行かせてもらうよ。
赤ずきんとおばあちゃん、
2人でしゃべりたいこともいっぱいあるだろうしね。」
そんなところにも気を利かせるなんて…。
やっぱり紳士?
そして、そんな大上の彼女である私は
超、超、超ォ~っ幸せ者☆
「でも、心配しなくていいよ。」
「でも・・・。」
「ほら、最近、ここらへん狼が多くて物騒でしょ?だから、不安で…。」
狼が多くて物騒っていうのは本当だけど、不安っていうのは単なる口実。
大上ならきっと、ついてきてくれるハズ!!
「そっか…。じゃあ、一緒に行くよ。」
「ありがとう」
ほら、やっぱりね。
「ちゃんと、向こうではしばらく、外で待ってるからね。」
「うん!」
「じゃ、荷物持ってくる!」
「うん」
荷物なんて、せいぜい携帯と鍵くらいのものだろうと思ってたんだけど…。
私はまだ、大上の性格を、わかってなかった。
「待たせちゃってごめんね」
「ええっと…。」
私は大上の持っているものに目を向けた。
「それは…?」
「ん?狼が出てきたときのために」
「本物?」
「うん?本物の銃だけど?」
「うっわぁー、心強ーい」
「へへっ」
大上は嬉しそうに鼻をかいた。
―――――――その時はまだ、想像もしていなかった。
大上の銃が、私を救うことになるなんて…。
赤ずきんさん、おばあちゃんの家で。
やっと、やっと、やっとついたよぉ・・・。
結構古い、一軒家。
ココが私のおばあちゃんの家。
「おばあちゃ…ん…ゼィ…来た…よ…ハァ」
私は、肩で息をしながら
大声でおばあちゃんに呼びかけた。
「赤ずきん!!入らないで!!!」
中から、おばあちゃんの叫び声がした。
「どうしたの、おばあちゃん!?」
「だいじょうぶですか!?」
私と大上は、大急ぎで中に入った。
中には…。
「なっなんで入ってきたの!?入らないでって言ったのに…。」
おばあちゃんの顔は真っ白で、目は大きく見開かれていた。
「おっおばあちゃ…キャアァァッッッ!!!」
腰を抜かしたおばあちゃんの前には…一匹の狼が。
「赤ずきん!おばあさんは腰を抜かしていて動けない!助けを呼んでくるんだ!」
大上に、そう言われた。
私も、そうすべきだと思う。
…でも。
「こっ腰が抜けて動けな…」
「赤ずきん!」
大上の顔が真っ白になった。
「しょうがない、俺が助けを呼んでくるから、
それまで頑張るんだ!
急にうごくんじゃないよ!」
「あの銃は!?」
大上の表情が、ふっと暗くなった。
「俺は…使い方がわからないんだ…。」
「持ってきて!」
「でもっ」
「でもじゃない!いいから!!」
大上はもう、冷静な判断力を失っていた。
赤ずきんさん、お手柄です!
「持ってきた!」
「よし」
「でも、これの使い方はわからな…」
「かしてっ!」
私は、その銃を取り上げた。
私もおばあちゃんも、とりあえずは無事だ。
大上は呆然と、阿呆みたいに口を大きく開けている。
―――――バンッッッ
ドサリ。
狼が倒れた。
静寂が流れている。
「赤ずきん、なんで…」
大上が、静かに口を動かした。
「赤ずきん、よくやったわ。さっすが、私の孫ね。」
「えへへ」
私は大上を振り返った。
「私、自分よりも弱い男と付き合うのは
嫌かな」
「どこで銃の撃ち方なんか…」
「おばあちゃんに」
「私は、狩人だったのよ」
「そんな…」
大上が、諦めたように笑った。
「カッコいい赤ずきんも、嫌いじゃない」
「私は、弱い男は嫌いよ」
私は大上に微笑みかけた。
「じゃあ、バイバイ」
「さよなら」
大上は、帰っていった。
赤ずきんさんのその後。
「赤ずきん、ずいぶんと髪が伸びたねェ」
「伸ばすことにしたの。」
私はもうすぐ高校生。
元彼の大上を、本当は好きじゃなかった自分に気が付いた。
高校で、いい出会いを期待するんだぁ♪
森のオオカミを上回るくらいのいい男を、ね。