結城リトのToLOVEるな日々   作:竜宮 黍

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一先ずプロローグは短めに。

これ以降は、1話10000文字前後で進めようと思います。多分


プロローグ

「知らない天井だ」

 

元ネタは知らないが、二次小説でよく聞く台詞を呟く。

しかし決してネタではなく、今私の目の前には本当に知らない天井が広がっていた。

 

て言うか、知らない部屋だった。

6畳ぐらいの広さだろうか。今寝てるベッドと、カバンや教科書の置かれた勉強机の様な物、漫画やアルバムが仕舞われた棚、ロッカー、ゲーム機、床に転がったサッカーボール。

見たかぎり、中学生か高校生の男の子の部屋だ。ランドセルが無いから、多分そうだと思う。あ、ブレザーの制服がかかってる。どうやら間違いなさそうだ。

 

とりあえず起きてみる。非常に冷静に見えるかも知れないが、単にまだ寝惚けてるだけだ。碌に起動していない頭では、真に状況を判断することは出来ない。つまりこの時頭は半分夢の中だった。

 

が、次の瞬間、強烈な勢いで目が覚める光景が広がっていた。

 

「…………あ?」

 

……ええと、所謂『男の象徴』が、元気にそそり立っていた。幸い、ズボンは穿いてないがパンツはしっかり着用していたので、直接見ることにはならずにすんだのは僥倖と言える。

これが俗に言う『朝勃ち』という奴か。

初めて見たが、これは一体どういうことだろう。

 

私は昨日まで女だったはずなんだが。

確かに女らしいとは言えない人物だったが、間違いなく女だった。胸だって少なからずあったはずだが、今では見る影もない。

 

とりあえず元気な逸物はそのままに、ベッドの横にかかっているカーテンを開ける。瞬間、朝日が目に飛び込んできて顔をしかめる。

何度か瞬きし、視界が戻ってきた所で窓を開けて外を眺める。

やはりと言うかなんと言うか、そこは知らない場所だった。

普通の住宅街の様だが、全く見覚えが無い。ランニングをしている人、井戸端会議をする主婦、犬の散歩をする少女、全てが何処にでもある光景だが、やはりその全てに見覚えはなかった。

 

頭がクラクラする。知らずに息を止めていたらしい。一度深呼吸をする。無理だ。上手くいかない。息ってどうやって吸うんだっけ。

 

「ヒューッ………ヒューッ………!」

 

息を吸おうとしてるのに吸えない。まるで気管がぴったり閉じてしまったみたいだ。酸素が欲しい。今はそれしか考えられない。これって過呼吸? 過呼吸は確か、紙袋を使って、でもそんな物はここには

 

「…………っぶはっ!……っはあっ!……はあ……っふぁ………」

 

なんか知らんが漸く息を吸えた。良かった。これほど酸素を恋しいと思ったのは初めてだ。今日は初めてのことばかりだな。初めて記念日か。嬉しくないな。

 

緩慢な動作でベッドから下りる。まだクラクラするが、とにかく情報が欲しかった。

ここは何処で、私は誰なんだ。

記憶喪失でも無いはずなのに、こんな疑問が生まれるのは変な話だ。笑えてくる。嘘だ全然笑えん。

 

一瞬、ドアの方をチラッと見るが、まずは勉強机に向かうことにする。

部屋の外がどうなっていて、誰がいるかも分からない以上、とりあえずこの部屋から出る気にはならなかった。

 

机の上には教科書と、ノートがある。普通のキャンパスノートで、真ん中よりちょっと上に『数学Ⅰ』と手書きで書かれていた。そして右下の方には

 

『1-A 29番 結城梨斗』

 

と、書かれていた。

 

これは、どういう、いや、まさかーーある仮説が思い浮かぶが、即座に「あり得ない」と否定する。

しかし、確認しない訳にはいかない。鏡さえあれば仮説は実証されるのだ。実証されて欲しくはないが、同時にこれ以上の混乱は脳の許容量オーバーなので勘弁願いたくも思う。

予想通りであって欲しくないが、同時に予想通りでなかったらもう本当に意味が分からなくなる。つまりどっちも嫌だった。我儘だが、確認したいけどしたくない。

 

改めて部屋を見回すが、鏡らしき物は無い。窓は夜ならともかく、朝方では鏡の代わりになりそうもない。姿見くらい置いておけ。

 

ああ、もう、やけっぱちだ。

素早く部屋を飛び出て、すぐそこの階段を降りる。足音は極力立てずに、慎重に、しかし速やかに。

有難いことに階段を下りたすぐそこに洗面所があった。間取りなんて知ったことではなかったから助かった。

もうすでに認めたくない現実が見えているが、敢えて鏡の前まで来て洗面台に手を着く。

 

やはりと言うべきかそこには、『ToLOVEる』の主人公、『結城リト』がそこにいた。

 

顔を触って見ると、鏡の中の結城リトも同じ様に(正確には鏡映しに)顔を触る。

 

「あー…えー」

 

うん、CV.渡辺明乃だな。

 

 

これはもしかして夢だろうか、などと現実逃避をしている内に、気付けば、そそり立っていた男の象徴は、通常の状態に戻っていた。

 

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