緋弾のアリア ~千里眼の矢《second sight》~   作:リバポから世界へ

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皆さんお久しぶりです。リバポから世界へです。約三ヶ月ぶりの更新になってしまいました。遅くなって申し訳ありませんm(__)m

前回のプロローグに続き、ようやく第一話を投稿することが出来ました。

それではどうぞ!


第壱章 「矢は放たれた」
Snipe 01 「ショウとユキ」


―――――トントントン

 

「……ん?」

 

頭まで被った毛布越し。そのまた更に自室のドア越しに何やら物音が聞こえる。ここには自分以外の住人など、誰一人として居ないはずなのに……。

本来なら不審者に驚いて部屋から飛び出すところだ。しかし布団の中で未だに寝惚け眼の少年は毛布から顔を出し、チラリとドアを見ただけで再び夢の中へと旅立ってしまった。

 

”世の中に寝るより楽は無かりけり”

 

親しい友人の言葉だが、成程。よく言ったものだ。

 

……コンコン

 

それより数分後、ドアが控えめにノックされる。

 

『ショウくん? 白雪です。起きてますか?』

 

ノックの主が、やや緊張した声で少年を呼んだ。控えめではあるが、ハッキリと聞こえたその声に”ショウくん”と呼ばれた少年はパチリと目を開ける。しかし……

 

「いいえ、寝ています。起こさないでください」

『え、えぇー!?』

 

大真面目な口調でそう言ったショウにドアの向こうの白雪は困惑してしまった。

 

(ど、どうしよう……? まだ寝かせてあげたいけど、今日は始業式だし……。それより何より、折角作った朝ごはんが冷めちゃうよぉ……)

 

ドアの前でオロオロとしていると、部屋の中からクスクスと小さな笑い声が聞こえてきた。

それに気づいた白雪はハッとした後にショウに抗議の声を上げた。

 

「ショウくんひどいよ! ホントは”見えてる”んでしょ!?」

『いや……悪い。ちょっと意地悪だったな。プッ……ククッ』

 

そのすぐ後に部屋の中からガサゴソと物音がする。白雪はハッとすると漆塗りの小さなコンパクトを取り出し、前髪を整え始めた。

 

(こ、これで大丈夫……!)

 

パチリとコンパクトを閉じ、セーラー服のポケットに仕舞った数秒後……ドアを開ける音と共にショウの姿が露わになった。

 

「お、おはようございます!」

「はい、おはよう」

 

ペコリ! そう聞こえるくらい、しっかりとした姿勢でお辞儀をする幼馴染の少女にショウは苦笑いをしながらも挨拶を返す。

艶やかな黒髪ロングの髪を白いリボンで結んだ、スタイル抜群の美少女・星伽白雪は顔を上げると、何かを期待するようにニコニコと微笑んだ。その表情に気づいたショウは彼女の顔を覗き込む。

 

「ユキ」

「は、はい」

「前髪切った?」

「……うん、変じゃないかな?」

「いいや、似合ってる。可愛いよ」

「あ……あう……」

 

確かに多少のリアクションは欲しかったが、面と向かってストレートに”可愛い”と言われると返答に困る。

だが、決して嫌というわけではない。むしろ嬉しいくらいだ。真っ赤になって口元が緩むのを我慢していると、テーブルを見たショウが声を上げた。

 

「おお、うまそー」

 

テーブルの上には白雪が作ってくれた朝食が綺麗に並べられていた。ふんわりとした玉子焼きと海老の甘辛煮、こんがり焼けた銀鮭に彼女が漬けた沢庵漬。どれも手間をかけて作られている。

 

「ごめんな、大変だっただろ?」

「ううん、これぐらいは大丈夫」

 

キッチンから声がしたので中を覗くと、白雪は2人分のご飯と味噌汁を御盆の上に乗せていた。ショウは彼女に近づくと御盆を取り上げる。

 

「え?」

「持ってくよ」

「あ、ありがとう……」

 

テーブルに茶碗を並べると、二人は向かい合って席に着いた。

 

「「いただきます」」

 

故郷の青森から二人で東京に出てきて以来、この部屋で一緒に朝食を食べるのが、ほとんど毎日の日課になっている。朝早くに白雪が来て二人分の食事を作り、寝起きの悪いショウを起こす。食事だけではない。洗濯や掃除も気付けば彼女がやるようになっていた。

ショウも最初は”申し訳ないから”と断っていたが、白雪の「お母様に叱られちゃうから」という台詞に押し切られてしまっている。

どうやら白雪は彼女の母親から自分の世話をするように言い付けられているらしい。

ショウも彼女が怒られるのは見たくない。だが、はっきり言ってショウの私生活は白雪にかなり依存していた。

なので”せめて食費ぐらいは”と毎月、白雪に無理矢理手渡している。最低限の礼儀として。

 

「なあ、ユキ」

「はい?」

 

ショウは味噌汁のお椀を置くと、真っ直ぐに白雪の目を見た。

 

「いつもありがとう。世話焼いてくれて」

「あ……」

 

箸を置いた白雪の頬が微かに赤くなる。ショウは彼女の手に自身のそれを重ねると恥ずかしそうに続けた。

 

「俺、生活力全然無いからさ。この前だって見たろ? スパゲッティ作ろうとして、麺がデロンデロンになっちまったし……」

「ああ……うん……」

 

いつも白雪に食事を作って貰うばかりだった。”たまには自分が彼女に”と張り切って台所に立つまでは良かったのだが……パスタは茹ですぎてしまい、ミートソースは焦がしてしまう有様。その日も結局、彼女に任せることになってしまった。

 

「セーター洗濯したら縮んじまったし……」

「あはは……」

 

縮んでしまったセーターを手に洗濯機の前で呆然と佇むショウの姿を思い出し、白雪は思わず苦笑いを浮かべる。

 

「だから、お前に来てもらって正直かなり助かってるんだ」

「……ショウくん」

「これからもその……たまにで良い。暇な時で構わないから、飯作ってくれると嬉しい……かな」

「うん、何時でも」

 

白雪は嬉しそうにショウの手をそっと握り返した。そんな彼女を見たショウは真っ赤になって頭を抱える。

 

「やっべえな……俺めっちゃ恥ずかしいこと言ってる……」

「ふふっ、でもちゃんと言ってくれたから嬉しいです」

 

満足げに微笑んだ白雪は立ち上がると、トテトテとショウの背後までやってくる。そして椅子に座っている彼の頭を両手で優しく撫で始めた。

 

「あ、あの……白雪さん?」

「はい、どうしましたか?」

「どうしたのって……何してるんすか?」

「ショウくんの頭撫でているんです」

「…………」

 

白雪は時折、ショウに対してお姉さんぶる事がある。彼女の方が半年以上後に生まれているのにだ。

ショウも別に嫌ではないのだが、子ども扱いされるのは流石に……と感じている。

だが、こうして優しく撫でられると気持ちいい。段々と眠たくなってくる。

 

「ショウくんの髪、柔らかくて綺麗だね。すぐ切っちゃうなんてもったいないよ。伸ばしたりしないの?」

「……長いの嫌いなんだよ。狙撃の邪魔になるし、暑苦しいし」

 

白飯をモソモソと食べていたショウが眠そうに答えると白雪の手が止まった。

 

「ユキ?」

 

急に静かになった白雪を不審に思い、振り返る。すると彼女は少しショックを受けたような表情をしていた。

 

「どうかした?」

「あの……ショウくんは女の子の髪も短い方が良いと思う?」

 

自身の綺麗な黒髪を触りながら心配そうに言う白雪にショウは眉をひそめる。何故そんな質問をするのか? 意味が分からない。

 

「え、何で?」

「……だって今長いのキライって」

 

そう言った白雪を見てハッとしたショウは、椅子から立ち上がると慌てて彼女の質問を否定した。

 

「ち、違う違う! 俺自身が伸ばしたくないって話だよ! お前は……その……」

「私は……?」

 

上目遣いでそう聞いてくる白雪が一歩前へ詰めてくる。

 

「……ッ!」

 

桃のような優しく甘い香りがショウの鼻孔をくすぐる。もう二人はほとんど密着していた。白雪の豊満な双丘がショウの胸に押し付けられる。

 

(困った()だよ、マジで……)

 

恐らく彼女は……ショウにどのように迫れば効果的か分かっているのだろう。

このままだとマズイことになるかもしれない。……色々と。

 

「い、今のままでいい。いや……今のままがいい」

「そ、そっか。……良かった」

 

ホッとしたように寄り添ってくる白雪の頭をポンポンと撫でる。

ここまでのスキンシップをとっていても、二人は付き合うどころかキスすらした事が無い。だが、この様子だと二人の関係が進歩するのは時間の問題だろう。

 

 




いかがでしたか?

白雪のキャラが微妙に違うかな・・・とも思ったのですが、対象が変われば反応や態度も変わるだろうと思い、このまま投稿することにしました。

最初から飛ばしすぎたかな・・・? まあ、概ねこんな感じで進んでいく予定です笑

感想、批評は大歓迎です!

それでは読んでくださってありがとうございました。失礼します。
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