「それで、結局作業ってなにすんの?ゲッソー。」
「簡単に言うと、カマキリのパソコンにとある仕掛けを施すんだ。」
「仕掛け?」
「仕掛けと言っても大したことじゃない。ただ奴のパソコンにウイルスを感染させるだけだ。」
「ちょ、ちょっと。ウイルスなんて簡単に感染させれないでしょ?」
紗季の疑問はもっともだ。普通ならそう簡単にできるような作業じゃない。だが…
「問題ない。そういった事の専門家に知り合いがいてな。そいつに任せてある。」
「でも、先生のパソコンにウイルスを感染させてどうするの?」
「奴のパソコンには男バスの試合映像、選手の個人のデータ、今のレギュラーのリストが入っている。それらをウイルスで別のパソコンに移動させる。」
「な、中々にえげつないことをするわね…。」
「今、データが美星先生のパソコンに入るように橋作りをしている途中なんだ。」
「そっか。みーたんの所に情報が入ってくれば、後はそのデータをCDか何かに映し出せば…。」
「ご名答だ。今のその作業を美星先生がしてくれている。」
「でもさゲッソー。カマキリにバレたらどーすんの?」
「それは問題ない。奴はもう既に帰宅している事は確認済みだ。」
「それならいい…のかな?」
「トモ、良くはないわよ。帰ってるって言ったって、パソコンがウイルスにかかってたら普通分かるんじゃないの?」
「いや、ウイルスは目的を果たしたら痕跡を残さず退去していくシステムになっている。まず分かる事は無いさ。」
「アンタ今結構問題発言してるわよ。創玄。」
「なに、俺は勝つためならどんな事だってするさ。あくまで良識の範囲内だがな。」
「思いっきり良識吹っ飛ばしてるわよ…。」
「まあまあいいじゃん。ゲッソーがあたし達のためにやってくれてんだからさ!」
「それはそうだけど…。」
「紗季ちゃん、創玄君は私達が勝つって信じてくれて行動してくれた。私は、創玄君の期待に応えたい。」
「おー。ひなも、一緒に頑張る。」
「私も、この場所を守るために頑張りたい。だから、私も出来ることを頑張る!」
「…そうね。創玄にこれだけの事をさせたんだもの。私達が勝たなきゃ、意味が無くなっちゃうもんね。」
…俺は、いい仲間に恵まれたな…。この幸せを手放すなんてことはしないさ。俺の命にかけてでも守ってみせる…。だから、見守っていてくれ…アリシア…。
「…俺は職員室に戻って作業を終わらせてくる。お前たちは着替えて先に帰っていてくれ。」
「分かったわ。作業、頑張ってね。」
「ああ。」
そう言って俺は、職員室へ向かった。
「お待たせしました。美星先生。」
「おー、お帰り。あの子たちの様子はどうだった?」
「…少し落ち込んではいましたが、あの分なら問題ないでしょう。」
「…そっか。こっちの作業も、もうそろそろ終わるけど。」
「なら、そのデータを資料と共に自宅へ持って帰っておいてください。」
「いいけど。学校に置いとかなくていいの?」
「万が一バレたら、俺たちはただじゃすみませんからね。それに、昴さんが戻ってきたときに資料があったほうが、効率がいいでしょう?」
「昴が戻ってきたらって…。それに、あいつが私の所に来るとは限らないんだぞ?」
「この状況下で一番データが手に入りやすそうなのは、美星先生の所だけですからね。」
「…なあ、アンタはどう思う?」
「どうとは?」
「男バスとの試合。勝てると思う?」
「…可能性は低い。精々5%と言ったところでしょう。」
「昴がコーチしてくれたら、勝率はどのくらい上がる?」
「練習の内容にもよりますが、恐らく10%強くらいかと。」
「……そっか。」
「ですが、それは策がない場合の話です。」
「え?」
「俺もいくつか策を考えてありますが、策の数と内容次第じゃ、勝率を50%まで上げれます。」
「そんなに!?」
「ええ。問題は、男バス相手にどこまで通じるか。それと―――」
「昴の奴が戻ってくるか。だよね。」
「それが一番不確定要素なんですがね…。」
「大丈夫。あいつは戻ってくるよ。」
「…なら、安心ですね。」
「ああ、安心しとけ。それじゃ、さっさと帰ってあんたも寝たら?ここ最近、隈がひどいよ?」
「…バレてましたか。」
「担任なめんなっての。自分の生徒くらい、ちゃんと見てるっての。」
「やれやれ…。やはり、貴女は凄い人ですよ。美星先生。」
「にゃふふ、アンタは頑張りすぎなんだよ。もうちょっと肩の力抜いてもいいんじゃない?」
「肩の力、ですか…。」
「アンタ結構目立ってんだから、これ以上目立つようなことはあんましないほうがいいんじゃない?
「…。」
「あたしはアンタの詳しい事情までは分からない。でもさ、今のアンタが気負いすぎてるのは分かる。」
「…。」
「無理に休めとは言わないけどさ。アンタが無理してんのは多分、皆気づいてるよ。」
「…そうですか。」
「そう。だからあの子たちの為にも、今は帰って寝な。それが一番いい。」
「…分かりました。それでは先生、失礼します。」
「おう、お休み。」
痛いところを突かれたな…。だが、体が限界に近付いているのも分かる。ここはゆっくり休むとするか…。その帰り道、普段は遠く感じる道のりが、今は少し短くなっているように感じた。
如何でしたか?眠い状態で書いたのであんまり出来が良くないかもしれないですが、面白く思ってもらえたならよかったです。それではまた次回~。