衛宮士郎が大真面目に存在が不真面目なサーヴァントを呼ぶようです   作:融合好き

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清少納言の宝具を見て思った。サーヴァントって基本、なんでもありなんやなって。


優雅に歌え、かの聖誕を:A+

──気づいた時には、何もない地平へと立たされていた。

 

「………?」

 

辺り一面は、一筋の光さえもない暗闇。いつか授業か何かで一度だけ訪れたことがある小学校の暗室も、この光景と比較すれば白夜に匹敵することだろう。

 

何もない。上も下も、見渡す限りが闇の中に包まれている。しかし実際に光が無いのかと言えばそれも否で、そんな空間の中にいて俺は、どういうわけか自身の手の指先からそこにある毛穴まで、しっかりはっきりと認識することができていた。

 

画用紙に描かれた絵の上に乗せられた人形のように、テレビ画面にマジックで書いた落書きのように。確かにその場所に俺はいるはずなのにそこには居ない。一歩引いた視界で俯瞰するように。そう。それはまさしくこの場所との隔絶であり、決定的なまでの拒絶であった。

 

異様な感覚に戸惑う俺に、どこからか響く声が、あまりに聞き覚えのある幼い言葉が、いないはずの彼女が、当たり前のように現れて。それはいつかの再現(初対面の時)のごとく、どこからともなく、訳知り顔で、相変わらず唐突に、いつものように非常識な言葉を紡ぐ。

 

「──凄まじい違和感と嫌悪感を感じるやもしれませんが、まさかここに適応させるわけにもいかないのでご容赦ください」

「ランサー………?」

「はい。久しぶり、というほどではありませんね。どうして、という疑問はさておき、先に結論を申し上げますと、貴方が今いるこの場所は、ずばり冬木の聖杯の内部です」

「………!?」

 

聖杯の内部。端的に告げられたその単語にぎょっとする。流石の俺でも、これまでの経験から、既にこの地に眠っていた聖杯とやらがろくでもないものだろうことは察している。経緯はさておき俺はその中に居るのだと告げられた。動揺するのも無理はない。

 

「ここでの居心地は、すなわちこの場所と貴方の親和性の程度を示しています。不快に思う、というのは、まだ貴方が手遅れでないという証明。であればこそ、一刻も早くここから脱出すべき────なのですが、そうもいかないのが現状です」

「…………」

 

黙り込む。そう、考えるまでもないこと。ここに俺がいる経緯はとにかく、どう見てもこの空間はそうやすやすと脱出可能な場所には見えない。既に消滅したはずの───曰く、聖杯の燃料にされたはずのランサーがここにいる。それはつまり、俺も似たような状況下に陥っているか、あるいはこれ自体がただの夢か、あるいは、

 

「………覚えていない? そんなはずは、って、ああ──思い出したくないのね。あの女の誘惑は精神を犯す。だからこそ、彼女は人類悪として成り下がったのだから」

「…………」

 

(…………?)

 

掠める違和感。話の内容も理解ができないが、理解させるつもりもない呟きではあるのだろうが、それ以上に。あまりにらしく(・・・)ない彼女の口調に戸惑う。

 

(いや、違う。そうだ、あの時も──)

 

忘れるはずもない、彼女の心象風景。人類史に刻まれたジャンヌダルクの末路をあっさりと切り裂いて現れた黄金の男。あの男に対峙したその時、彼女の様子は明らかにおかしかった。

 

それに加えて、今の彼女の様子。背格好そのものは先の固有結界の内で見かけたものと相違無いようだが、よくよく見れば衣装が全体的に黒く染まっている。そもそも、どうして俺はこんな暗闇の中で彼女を視認できるのか。何もかもがわからないまま、そんな俺を敢えて突き放すように、一切の説明も何もないまま、何事もなかったかのように、彼女はいつもの口調で語り始める。

 

「ひとまず、貴方がここに来た経緯は一旦置いておきます。何よりも私が貴方に伝えるべきなのは、これから貴方はどうすべきかという一点」

「どうすべきか……?」

「ええ。………私はこれから、貴方にとても残酷なことを言います。お願いします。無視してください。聞き流してください。目を背けてください。逃げてください。しかし、これは、貴方にしかできないことです」

「…………」

 

そう告げて、たっぷりと間を開け、それでもやや躊躇うような仕草をしてから彼女はかぶりを振って、

 

「まずは前提として、貴方がどこまで覚えているか………あの泥から、私じゃない女性が現れたのは覚えていますか?」

「……覚えてる。瘴気に塗れて風貌はハッキリと見えなかったけど、あれは確かにランサーとは別人だった」

「それだけ覚えているなら充分です。──彼女の名は殺生院キアラ。我がうたかたの夢より迷い出た悪夢。そして同時に、今後貴方の人生において最大のトラウマとなる人物です(・・・・・・・・・・・・・・・)

「………。…………」

 

(……………え?)

 

目を見開き、ランサーを改めて見返す。その表情は真剣そのもので、一欠片の遊びも残されてはいない。衝撃的な発言、しかしその実感は薄い。当然だ、俺はまだ、この期に及んで彼女が何を言っているのかさえ今ひとつ理解できていないのだから。

 

「未来の貴方は、悪である彼女を殺すために無辜の民に手をかけた──そう聞き及んでいます。尤も、私も単純な未来から訪れたわけではなく、遠坂さんの仰っていた第二魔法の件にもあるように、未来とはそれ一本で決まるものでもなし、あくまで可能性の一つではありますが、それに、ええと、」

 

それからランサーは矢継ぎ早に、おそらく自分の思いつく限りの理屈と根拠、クオンタムがどうだのサーヴァントシステムだの魔術的な要素も含めて語り続け、しかし芳しくない反応しかできない俺に、ある程度話したところで埒があかないと判断したのか、かなり強引に「とにかく」と区切りを入れて、

 

「脱落したサーヴァントは例外なく聖杯に取り込まれる。私は脱落の直前、そのシステムを利用して聖杯に干渉し、内部に溜まった毒を排出しようとしました。毒を取り出し、器を洗浄して再発しないようシステムにいくらかのプロテクトを仕込む。その試み自体はまあ成功したと言っていいでしょう。我ながらこれ以上はないと断言できるような、単純に目的だけを達成するならば完璧な仕事を私は熟しました。ですが、それがいけなかった」

「それは……?」

「作業が完璧過ぎた(・・・・・)のです。具体的には、私が霊基の中、固有結界の奥底に隠した聖杯の毒を書き換えた聖杯に感知され、座に還ることそれ自体を聖杯に弾かれました。これがサーヴァントシステムと妙な干渉を起こし、私と入れ替わる形で泥そのものをサーヴァントとして現界させるに至った。

──つまり、まあ、要するに。あれは私の代理のサーヴァントということになります」

「………代理」

「そう。そしてご存知の通り、私には自身の代理のサーヴァントを座から呼び出せるようなスキル及び宝具を所持していない。否、正確には一つ、辛うじてそうでっち上げる(・・・・・・)ことが出来なくもないスキルを私は保有していました」

 

それがランサーの持つユニークスキル、うたかたの夢。ランサーの持つスキルの中でも特異極まる、ランサーの存在そのものの根幹とも言えるモノ。現実を虚構に、虚構を現実に。妄想を実現する技能。曖昧かつ不確定であるがゆえに、無限の可能性を秘めたスキル。

 

「姿がああなってしまった理由はいくつか推測はできますが、おそらくは大した理由はなく単純にあの人が私にとっての、あるいはマスターにとっての悪を具現化したような人型であると言うだけで、肝心の人格や宝具も再現し切れてはいないので、それ自体はまあいいのですけど」

 

しかし、あの泥が特級の呪詛であることには変わりなく、なまじ外観だけ中途半端に宝具を再現している分、本来とは別の意味で拙い。と彼女は言う。

 

「『周囲の生物を無差別に取り込む』。言ってしまえばアレの能力はそれだけのこと。しかし、忘れてはならないのが、アレは聖杯の泥から生まれた存在であるということです。触れただけで侵食される呪詛に、既存の魔術とはまるでアプローチが異なる電脳術式(コードキャスト)をベースとした宝具は控えめに言ってマズいです。初見殺しであるというなら、これに勝るものはそうそうありません」

「──………」

「それでも当然のように無効化していた王様と、初見で対応したメディアさんは流石だとは思いますが、それ以外はちょっと……ですかね。サーヴァントは元より聖杯から召喚されているので取り込まれた段階でアウトですし、それでもどうにかマスターである士郎さんは辛うじて保護できたんですけど、だからこそ、こうして私は──」

「…………」

 

(何を………)

 

何を、言っているんだろう。彼女は俺に、何をさせたいのだろう。

 

奔流の如き情報の雨。專門用語がふんだんに盛り込まれた長文。しかし、俺にはわからない。俺には、彼女が何を言っているのか、何が言いたいのかが理解できない。

 

(…………)

 

ただ、彼女の生み出した悪夢は、聖杯に溜まった毒は、この地に秘められた呪詛は、もはや彼女の妄想の域には収まり切らない脅威であり、最早どうにもならないようなものであるのはなんとなくわかる。だからこそ解せない。そんなものを相手に、彼女から直々に戦力外通告をされた俺が、何をできると言うのだろうか──

 

(…………?)

 

握り締めようとした拳が、悴んだように力が入らない。それを疑問に思うより先に、ランサーは俺に語りかける。

 

「──士郎さん?」

「………!」

 

びくり、身体が震える。どこか朦朧げだった意識が引き戻される。何だ。何を言われるんだ。俺に何が出来るんだ。彼女は俺に、何をさせるつもりだ。いや、違う。俺は──

 

(俺は、何がしたいんだ(・・・・・・・)……?)

 

先程から、身体の震えが止まらない。寒い、暗い、気持ち悪い。示される道は明白なのに、吐き気に近い違和感がそれを拒む。なんだ、これは、こんなことは、今まで。いや、でも。

 

「…………」

 

気づいた時には、ランサーに無言で見据えられていた。だが、そんな測るような視線さえ今の俺には気にならない。何が起きた。俺は一体、なぜ、どうしてこんなにも、ヘラクレスと相対した時でさえ、これほどでは──

 

「…………英雄王ギルガメッシュは、決して人間の味方じゃない」

「…………?」

「彼ならば、確かにあの泥を完膚なきまでにこの地から消し去ることも可能でしょう。いえ、それどころか、あの状態の聖杯を普通に使用して、その上であそこにいた全員の望みを叶えることだってできるかもしれない。でも、彼は決してそれをしない」

 

何故なら。彼は正しく王であり、暴君であり、まさしく人類の裁定者足る偉大なる人物。しかし、彼は体裁として人間であっても、その精神性は神に近い。むしろ現代の価値観に照らし合わせれば、彼は犯罪者とまでは言わないが、間違いなく不良や悪い大人とかそう言ったカテゴリに分類される。

 

でも、それでも。

 

「そう、それでも。それでも彼は原初の英雄として神話に語られ、数多の信仰によってその存在を認められている。それは何故か。わかりますか。衛宮さん。エミヤシロウさん。正義の味方さん」

「…………」

 

奇妙なイントネーションで、何を揶揄するようにランサーは詰め寄る。

 

だが、分からない。答えられない。質問が抽象的すぎるのもそうだが、彼女がどんな回答を求めているのかが見当も付かない。

 

「何故なら、英雄とは──」

「…………」

 

いや、分かるのだ。否、普通は分かるはずなのだ。その答えは。仮に間違っていたとして、ここで俺は声高に自分の意見を主張するべきなのだ。

 

だって、何故なら、それは彼が英雄となるために何をしたかと言う話であって、

 

それはすなわち、俺の人生の目標と言っても過言ではないのだから。

 

「英雄とは、正義の味方とは単なる結果論。自身がそう在るのではなく、他人が勝手に称するもの。

故に、『目指す』ことがそもそもの誤り。だからこそ、貴方には私のような偽物(ハリボテ)の英霊が相応しい」

「…………!」

 

何も答えられなかった俺に、感動もドラマもなく、ただ事実としてあっさりと彼女はその結論を語り、しかし付け加えられた言葉があまりに異様で、ハリボテなどと、彼女が誰かをそのように表現することが信じられなくて、いつの間にか下がっていた視線を上げると、彼女は、

 

「魔術とは縁。貴方がこの私を呼んだことは、決してただの偶然ではない」

 

それはいつかセイバーが告げた言葉。あの固有結界の中、状況と沈黙に耐え切れなかった俺が切り出した世間話の一つ。大半の魔術は繋がりを重要視する。ならば当然、召喚術式であるこの聖杯戦争もその例に漏れることはない。

 

「我が名はジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ。聖杯の力で創り上げたジャンヌ・ダルクの別側面(オルタナティブ)を非常識な手段でリリィ化し、その上で英霊足り得る霊基を補強しでっち上げた英雄のまがいもの──そして、」

「………!?」

 

突如として、ランサーの姿がぶれる。ブラウン管の映りが悪くなったかのように、闇に紛れて見えなくなる。

 

現実味がない、と言えば今の現状こそがそうなのだが、まさかカメラが切り替わったように目の前の人物が入れ替わるなんて、一体誰が予想できようか──。

 

「それは即ち、それこそが貴様の本質だ。衛宮士郎」

「お前は──」

 

現れた人物──厳格な雰囲気で語りかけてきた人物だが、一瞬、疑問符がよぎってしまったのも無理はない。

 

いや、むしろ最初は「誰だろう」とすら思ってしまった。流石にその特徴的な姿を見れば否応なく思い出すが、何故ここで彼が何の関わりもないだろう俺の前に現れる。

 

思い出すと言っても俺はこの男の名前も知らない。アーチャー、と呼ばれていたが、その呼称が正しいのかすら分からない。会話をしたことがあったのかも怪しい。

 

──赤い外套の大男、アーチャー。この聖杯戦争の参加者の一人であり、遠坂凛のサーヴァントであった彼は、当たり前のようにそこに佇んでいた。

 

「──何のことはない。この場所が聖杯の内部、というのは彼女も言っていたことだろう。ならば、脱落したサーヴァントがここに集うは道理。例外は貴様だ。サーヴァントではない貴様がこの場で意識を保てるのは、貴様がランサーのマスターであるからに他ならない」

「そう、か………」

 

いや待て。ならこの男、さっきの会話を聞いていたのか。しかもその上でこんなタイミングで平然と話に混ざってきたのか。なんて図々しい奴なんだ。………いや、そんなことはどうでもいい。重要なのは、どうして彼がここで出張るのかという一点。

 

同盟者ということで曲がりなりにも戦友と言っていい彼だが、言ったらアレだがそれでも彼と俺との関係性は他人に近い。なのに、何故?

 

「…………私にも、お前のような時期があった」

「…………?」

「己が理想に燃えていた。目に見える全てを救うのだと、この世の悪を駆逐するのだと息巻いて、生涯を戦場に置き、紛争地域を我武者羅に駆け回った」

「───」

 

いきなり何を──という当然の疑問は、不思議と口から出ることは無かった。唐突な独白に、俺は口を挟むことが出来ずにいた。それは、俺自身を指して告げられた言葉だからだろうか、彼の寂しそうな表情を見てしまったからだろうか。………俺には、分からない。何も。

 

「しかし、その結果は悲惨なものだ。無心と言えば聞こえはいいが、あの場において心身を賭した奉仕は、その姿は傍目には異様でしかない。怪しまれ、訝しまれ、疑われ、気味悪がられ、ついには助けた当人からも拒絶されるようになった。最初は抱いたはずの『何故』『どうして』という疑問も、それでも、と突き進むうちにいつしか抱かなくなっていた。私は………俺は、何も分かっちゃいなかった」

「…………!」

 

その言葉に、吐き捨てられたその諦観に、思わず彼の顔を見上げる。が、いつのまにか、彼の表情そのものが認識出来なくなっていたことに今更ながら気づき目を瞬かせる。

 

否、そもそもがこの空間で互いに面識が成立すること自体おかしなことなのだ。この空間がどんな理屈で成り立っているのかはさっぱりだが、拒絶されたら認識できなくなるというのは特段おかしな因果関係ではない。しかし。

 

「…………」

 

何故だろうか。言葉が出ない。いや、そもそも俺は何を過剰に反応していたのか。こいつが突然意味不明な独り言を漏らしたところで、それが俺に何の関係がある。

 

「正義の味方が客観に依るものならば、私の結果は既に私がどうこうできるものではない。だが………いや、そうだ。それは無論、貴様自身にも当て嵌まる。故に。

 

───衛宮士郎。もしも貴様が、それでも正義を志すなら、正義を為すために動くのであれば、それに貴様の理念や信念を宿らせるな(・・・・・・・・・・・・・・・)

「…………は?」

「なに、単なるお節介だ。従うも無視するも貴様の自由、そもそも最早私にできることなど何もない。ただ───」

 

不意に視界にノイズが走る。目の錯覚かと袖で拭う。しかし、

 

「──ただ、そうですね。貴方、そのままでいるつもりなら、『正義の味方』どころか、単なる自殺志願者にしかなりませんよ」

「───!?」

 

惚ける思考に畳み掛けるように、またも唐突に目の前の人物が入れ替わるのを間近で見てしまい、いよいよ頭がおかしくなりそうになる。

 

両眼を覆うバイザーに、長身で紫色の髪をしたボンテージの………確か彼女は、慎二のサーヴァントだったライダー………──否、メデューサ、だったか。会話をしたのは多分これが初めてだが、怪物として語られる割に丁寧な口調の人なんだな、などと無意味な思考が脳裏によぎる。

 

「今、ここにいる私たちは、ランサーの夢によってどうにかカタチだけを保っている残滓のようなもの。それ故に、不躾ではありますが、貴方がたのこれまでのやり取りを僅かばかり覗かせて戴きました。………あの聖杯が、どういうものであるかも含めて」

「!」

「貴方はその片鱗を垣間見、その上でアレに立ち向かうと決めた。義憤、と言えば聞こえはいいですし、正直、私個人からの印象は中々ですが、しかし既にこの現状では、それは蛮勇とさえ呼べない状況まで陥っていますね」

「…………」

「ですが」

 

またも目の前の人物。つまりライダーの姿がぶれる。が、今度は別人に変わることはなく、何故か上唇を舌舐めずりをしたライダーは、押し黙る俺を吟味するように、

 

「貴方はその過程を、これからの結果で覆すつもりのようで。であれば、これ以上の言葉は無粋でしょう。あの子は怒りそうですが、仮に最善の過程を踏んでも、それが最良の結果になるかはまた別の話。逆に、過程が如何なるものであっても、結果さえ良ければ私の時代では許容されます」

 

メデューサが女神としてよりも怪物として語られるように、ヘラクレスが賢者よりかは勇者として語られるように、メディアが王女ではなく魔女として語られるように。

 

一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。とある映画の一節であるが、それはつまり、如何なる事件もやり方次第で取り繕える(・・・・・)ということ。

 

流石に英雄云々は飛躍しすぎではあるが、それでも仮に、通りすがりにこの状況を綺麗に治められる人物がいるとしたら、俺はその人物に土下座でもなんでも、それこそできることはなんだってするのだろう。それでもし、その人物が頷いたとする。

 

「…………」

 

そうして、その場を治めた人物は周りから崇められる。しかし当然、そいつに信念や理念など欠片も無い。否、もしかするとその人物は、俺が支払う対価に釣られただけの俗人かもしれない。それでも、俺にとってのその誰かは英雄でしかないのだ。

 

(…………結果、か)

 

たいへんよくがんばりました。は評価はされても見向きはされない。注目されても、価値が無ければ意味がない。そしてその結果が如何に立派なものであっても、後世の都合で容易く塗り変えられる。

 

なるほど。確かに正義の味方とは目指すようなものじゃない。そして、なろうとしてなるものでもない──そう、それこそ。それは、まるで。今の俺のように、逃れられない状況下で、否応なく………押し付けられる、ような──でも、それでは、何一つ、

 

(───)

 

──いや、そうか、そうだ。そうなら………なら、俺は、どんなに馬鹿なことを。いや、でも、それでも。

 

視界がぶれる。世界が揺れる。泡沫のように、揺蕩う波のように、次々と言葉が浮かんでは消えていく、

 

「………ま、お前の葛藤なんてぶっちゃけどうでもいいけどさ。まだそれでも、なんて言うつもりなら、せめて間桐家の問題くらいはなんとかしてもらいたいね」

「慎二……?」

「貴方はいずれ、折れてしまうかもしれない。まだ聖杯そのものがどうにかなったわけじゃない。聖杯が汚染された理由も知らない。この地に潜む魔術師たちのことも理解していない。先輩や私の身体のことも何一つ分かってはいない」

「桜………!」

「私も私で色々と衝撃の真実を知って頭が痛いけど………まあ確かに、あの子が言う通り、衛宮くんは今すぐに逃げるべきでしょうね」

「遠坂………」

 

──でも、それでも?

 

最後にそんな問いかけが、既にここ数日で聴き慣れてしまった、あの舌足らずなソプラノ口調で再現される。

 

ジャンヌ・ダルク。15世紀におけるフランスの国民的英雄。しかし、1431年に行われた異端審問で有罪判決になり、「魔女」としての汚名を着せられ処刑された女性。

 

彼女の風評が改善されたのは、彼女が処刑されてから随分と後の話になる。故に、ここで俺が何をしたとして、魔術師だからと迫害されるのはむしろ当然のことだ。

 

正義の味方になるために、理念や信念など必要ない。その行いが善である理由さえない。ただそれが、大多数にとってその方が都合が良い(・・・・・・・・・)から、そうでっち上げられるだけなのだ。

 

「──そう。だからこそ私のトナカイさん(マスター)は、あれほどの偉業を成し遂げてなお、決して自身を誇ることはなかった。とはいえ、あの人の場合は他に理由があるような気もしますが、それでも。………それでも、あの人は決して、望んで世界を救ったわけではないのです」

 

今度は決して幻聴ではない、ランサーの声がはっきりと聞こえる。姿も見える。固有結界内で見た姿とも違う、出会った時のそのままの姿。最初に話していたときには成長した姿だった気がするのだが、どうもここはランサーがスキルで聖杯の内部に創り上げた夢の世界のようなので、そのあたりの定義は曖昧なのだろう。

 

「この際、直接この戦争と関係あるかは置いておきまして、既に死者に絞っても10人以上、キャスターさんの件も含めると1000人近い被害者がこの街で発生しています。故に、貴方がこの案件をどう治めても貴方の評価が加害者の立場から覆ることはなく、関与を疑われた時点で、ますます貴方の夢は遠ざかる…………」

 

だから貴方は、逃げるべきだ。それも、今すぐ。と続け、しかし。

 

──それでも? という疑問は、敢えて彼女の口から紡がれる事はなかった。だが、確かに胸に響いた。ここが夢の中だからだろうか? 分からない。が、この決断が俺の人生を左右するだろうことは、否応無しに理解した。

 

(俺は──)

 

俺は、正義の味方になりたかった。俺にとっての魔術とは、そのための手段の一つに過ぎなかった。しかし、そもそも正義の味方になるためには魔術に関わるべきではなく、この戦争に首を突っ込んでもいけなかった。

 

 

──つまり。

 

 

──正義の定義が、あくまで結果論でしかないのなら。

 

 

──俺はもう既に、正義の味方だと認められることはないのだ。

 

 

 

 

(────)

 

 

思考が白く染まる。今更ながらに実感した事実に、その衝撃に眩暈がする。

 

気づいていたはずだった。これまでも、それよりも前にも、それこそ爺さんが生きていた頃から、ずっと散々諭されていたのだ。気付かないはずはない。

 

分かってはいた。分かってはいたのだ。ただ、目を逸らしていただけで。

 

「先程、あの泥のモデル………殺生院キアラと呼ばれた女性が、貴方のトラウマだと言う話をしましたね」

「…………え?」

「アレは、逆です。あの人は、彼女の行いはきっと誰よりも『悪』であるのに、それが人の目にあまりにも綺麗に映るから、結果的にその行いを肯定されていた。しかし、貴方には、それが理解できなかった。貴方にとって、彼女は悪でしかなかった。

──貴方にとって、彼女の行いは、あまりにも自分の理想とかけ離れていて目障り(・・・)なものでしかなかった」

「それは、どういう──」

「今回も、この先も、貴方はいずれ、無数の『嫌なもの』を見る羽目になる。それは貴方に限らず誰しもに平等に訪れ、けれど貴方は、それを決して見過ごせない。

たかがカルト教団のトップなんて、見て見ぬ振りをすればよかった。名前も顔も知らない人に、貴方がそうまでする理由はなかった。結果として、貴方は折れ、彼女を殺した罪から悪人として投獄された。貴方の正義は、彼女によって喰い荒らされた」

「────!?」

「私は知っている。貴方の結末を、貴方の未来を知っている。だから私は嫌だった。貴方がこの戦争に参加することが。むしろ魔術に関わることすら嫌で、嫌で嫌で嫌で。でも、でも、でも」

 

バキン、と不穏な破砕音が耳に届く。彼女が握っていたボロボロな旗、既に魔力の一欠片も感じられない旗、それでも頑なに廃棄しようとはせずにいた彼女の象徴が、彼女自身の膂力によって握り潰される。

 

「…………でも、私は、その行いがあまりに眩いことを。素晴らしいことであると知っている。それがたとえ世間からどう思われても、その行為は紛れもなく、それが貴方にとっての正義であったと知っている」

 

そう告げ、何故か次いで取り出した黒い旗も続けざまに握り潰した彼女は、流石に絶句する他ない俺を尻目に、更に畳み掛けるように彼女が普段使いしている槍、クリスマスカラーである赤と緑のリボンが非常に特徴的な槍を取り出す。

 

まさかそれも破壊するつもりでは、と内心戦々恐々する俺だが、今度は強く握り締めるだけで何をするわけでもない。それでも人外の膂力からか、持ち手の部分が僅かに歪んでいるような気がする。

 

「最後に、ここまで聞いて、まだ貴方が折れていないなら、あるいはもっと単純にこの街を見捨てられないと思うのであれば、ならばせめてその命だけは、我が身を賭して守護いたしましょう」

 

それでも、内心の激情を胸に秘め、彼女は柔らかくにっこりと微笑む。その姿は、どれほどチグハグな姿をしていても、如何に年齢が不釣り合いでも、こんな暗黒の世界にいてもなお。彼女が冠する肩書のごとく美しく。

 

「ただ、それが叶うのは今回だけです。貴方が今後、それでも、と突き進むつもりでしたら、命の保証はもちろんありません。いえ、むしろ今回の件ですら、命の保証はできないと言っていいでしょう。一応、貴方は私のマスターであり、アレが私の代理である以上勝てるはず………ですが、いや、私が脱落したはずなのに令呪が遺されているのはつまりそういうことなんですが、ええと、あれ? そもそも脱落しても令呪は遺される? え、マジですか。ふむぅ、再契約……なるほど。ですがまあ、多分、きっと大丈夫でしょう。ええ、私の感覚ではまだ……ですので、ええ、99.9%勝ちます。勝たせますので、はい」

「…………」

 

そして、最後に全てを台無しにするあたり、あくまで彼女がハリボテでしかないことを、俺は深く実感するのだった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

『聖杯の中、と申しましても、この空間は士郎さんが想像するようなものは少し異なりまして───』

 

目を覚ます(・・・・・)と同時に、それまで身体が無意識のうちに支えていたであろう姿勢に妙な力が加わったのか、体勢を崩してよろける。ランサーが言っていたように、どこからか弾き出されたような、いわゆる反動の類は一切見受けられず、本当にさっきまでのあれが夢であったかの如く覚醒する。

 

『あと2、3年もすると、クラウドと呼ばれるネットワークシステムが一般家庭にも普及するようになります。ざっくりと当て嵌めるとこの場合の共有サーバーが聖杯、個々の意識がスマ、もとい、携帯端末と言ったところでしょうか。ネットの回線さえ繋げてない士郎さんにはちょっとピンと来ないかもしれませんが、まあ、とにかく、要はここにいる士郎さんは魂だけで、肉体は現実に取り残されたままであるということです』

 

「…………!」

「いきなり覚醒した……? って、ちょっ──アナタ、何を……!?」

 

幸いにも、倒れた方向は真正面。震脚の要領で足を深く大地に踏み込み、脇目も振らず正面へ駆け出す。

 

その時、誰かの慌てた声が聞こえた気がしたが、意図して無視する。震えが止まらない。恐ろしくて堪らない。文字通り、全身を震い(・・)立たせでもしなければ、立つことすらもままならないほどに。

 

アレ(・・)を視認したのはまだ2回目。アレが現れて即座に呑まれたのと、先程方向だけを確認するための一瞬。なのにどうしてか目を合わせることさえ叶わず、姿を視界に入れることさえ()の奥底から拒絶している。つまり、やはり、ランサーの言葉は、彼女が俺のトラウマだという話は真実なのだろう。

 

「…………」

 

『なら、接続さえどうにかすれば、とお思いかもしれませんが、それはそれで問題があります。というのも、貴方の魂は既に聖杯に取り込まれました。池に垂らしたワインの一滴を掬えないように、貴方の魂もこの聖杯に溶け込んでいる───』

 

魔術は繋がりを重視(・・・・・・・・・)する(・・)

 

金属の持つ性質を抽出して照らし合わせることで別の金属へ置換したり、特定の所作を道具や動物に結び付けて誰かに呪いを掛けたり、地形や状況を逸話に見立てて何かしらを呼び出したり、友達の友達を6度重ねれば世界中の人に巡り会うように、時にその繋がりは、予想もつかないところでブレイクスルーを引き起こすこともある。

 

『ですが幸いにも、聖杯に取り込まれたということは、言い換えると、聖杯に接続しているということ。むしろ状態としては接続の方が適切な呼び方ですし、それはすなわち座にも干渉しているということです。ですので』

 

しかし当然、奇跡を起こすならばそれ相応の理由がいる。例えばこの聖杯戦争のように、何をどうすれば過去の英雄を呼び出したりできるのか、という無理難題も、ランサー曰く、何でも地球の防衛機能を模したものであるらしい。

 

『──これから私は、貴方の精神を残された貴方の身体に召喚(・・)します。貴方もご存知のように、聖杯にはそのための機能がある。そして貴方には、紛れもなく英雄としての資格がある。ああ、ご安心ください。どういう意味かはすぐにわかります。否応無しに、貴方を自身の因果に括らせてもらいます』

 

「…………っ、」

 

因果応報、という言葉はあるが、これはかなり珍しい例だろう。見覚えのない光景が脳裏に過ぎる。聞き覚えのない罵倒が耳に響く。あるはずのない視線が気に障る。

 

多分、今、立ち止まってしまったら。この状態に馴染んでしまったら。俺はもう、そこから立ち上がることができなくなる。未来の俺は、失敗した俺も、この重圧に耐えられなかったのだろうか。ただ口だけの、何の経験も持たない俺には、それさえも理解することはできない。

 

『残酷なことを言いますが、今の貴方が彼女の前に飛び出したところで何の役にも立ちません。貴方は立場上、彼女に対する鬼札ではありますが、そもそもサーヴァントを相手にただの人間が一矢報いるなどと烏滸がましい。それは貴方が一番良く理解していると思います』

 

投影、開始(トレース・オン)──」

 

激痛。

 

日頃の鍛錬の数十倍では利かない痛み、苦痛。遠坂に窘められ、是正された魔術回路が燃え上がるように熱くなる。血液が沸騰する。視界が赤く染まる。未だ震える足と合わせて転びそうになる。

 

(っ、と──)

 

よろめく足。咄嗟に進行方向から右側に一歩分ズレる形になるが、どうにか転ばずに堪える。直後、頬を掠めるようにして左側に黒いナニカが着弾する。冷や汗が湯水の如く流れ出る。確認する余裕はない。が、これが無意識によるものであるならば、俺の身体に何が起こっているというのか。

 

『これまでも、これからも。魔術なんて可能なら関わるべきじゃない。ですがそれでも。それでも、貴方が「それでも」と言うのなら。そんなんじゃダメだと、より良い未来を想うなら』

 

「──あ、ぁぁぁあああアアアア!!!」

 

無我夢中で駆ける。時折、迎撃で飛来する黒いナニカは不思議と命中することはない。そのことに内心で慄いている暇もなく、突き動かされるように、急かされるように動く身体は、これまでとは比較にもならない、かつてない精度で投影した()を構えて──

 

『この武器を──我が宝具を。私の夢を、理想を、妄想を。現実を塗り潰すその力を。喜んで、貴方に預けます──』

 

ぎゅっと目を瞑る。辛い現実から逃れるために。優しい幻想へ逃げるために。現実を虚構に、虚構を現実に。世にも恐ろしい怪物から、大切な誰かを救うために。だから、俺は、こんな巫山戯た結果を否定する(現実を塗り替える)

 

「── 『優雅に歌え、かの聖誕を(ラ・グラスフィーユ・ノエル)』!!」

 

俺は徹底して相手を視認せずにいた。故に、突き出した槍は当然のように空を裂く。

 

しかし、この宝具に命中の概念はない。威力の定義もない。範囲という括りもない。通じるか、通じないかの2択。それは正しく矛盾の否定、だからこそ、その強度は、どちらがより強く未来(幻想)を望めるかという一点のみに左右される。

 

(どれほど空虚でも、既に破綻していても、その力が及ばなくても── )

 

空間に溶け込んだ槍を起点に、世界が光に包まれる。それが単なる眩暈なのか、宝具の効果によるものなのかも理解できない。確かめようにも、酷使し過ぎて動かない足も、焼けるように熱い回路も、どうも脱臼したらしい両手では触れることさえ叶わない。

 

なんて無様。叩き込まれた経験では、如何にフィルターを通してもこの程度児戯だろうに、どこまで身の程知らずなんだ、俺は。でも、それでも。

 

それでも、そんな俺であっても。いや、誰であろうとも、それでも。

 

 

 

(それでも、ただ夢を見るくらいなら、それは誰だって自由だ──なあ、そうだろう? ジャンヌ・ダルク・オルタ、サン、タ………)

 

(…………)

 

(………やっぱり締まらないな、この真名………)

 

 

 

いや、俺だって、決められるところではピシャリと締めたいんだが。

 

でも、だからこそ、彼女が俺に選ばれたと考えると、それもまた悪くないような気はする。きっと気の迷いだろう。どうしてこうなった。一体何が悪かったのか。………多分、おそらく、最初から、なんだろうな、うん。

 

薄れ行く意識の中、最後に浮かんだものは、そんなランサーが真名を告げた時に見せた、困ったような微笑みだった。









優雅に歌え、かの聖誕を(ラ・グラスフィーユ・ノエル)

ランク:A+
種別:対人宝具
レンジ:???
最大補足:???

自身を構成する夢を現実に侵食させることで妄想を世界に実現する。
薄々と察しているとは思うが、作中に登場するリリィは作者の魔改造により水着含む全聖女を一人のサーヴァントとして落とし込むとか無茶苦茶やっているため、サーヴァントとしての体裁を保つためにかなり無理をしてその存在を保っている。
具体的にはスキルを使って、複数のジャンルの『自分』を全て一人の『リリィ』のものであると自己暗示している。ナーサリー・ライムが『ありす』という個人を対象に己が存在を映すことで自己を確立しているように、彼女は『トナカイさんが認識している「ジャンヌ・ダルク」という女性』を基礎として現界する。

すなわちサーヴァント・ランサーの本質は『リリィの抱いた理想』でしかなく、それ故に本来であれば『リリィ』には不可能な事象であっても、それを『リリィの理想』に落とし込むことで『そういう存在』として己を創り替えることで実現する。そしてその対象に個人という括りは理論上存在しない。

夢を見ることは誰にでもできる。人の欲望に果ては無く、如何に身勝手な妄想であろうと咎める権利は誰にもない。

最後に、彼女は夢を見た。彼女のマスターが、未熟な彼が、自分なんかよりもよほど危なっかしい少年が、こんな巫山戯た戦争を、押し付けられた結果なんて認められないと足掻く様を。

彼女はそんな彼の姿に既視感を抱いた。何故だろうか。彼女が慕う人物と彼は何一つとして似てはいない。あの人はここまで無謀じゃない。あそこまで考え無しでもない。魔術なんて特別な力も持たない。あの人はどこまでも英雄にはなれない。彼は違う。致命的に異なる。なのに、何故?

実のところ、答えは最後まで出せずにいた。気まぐれだと言われたらそれまでだ。けれど、それでいいんだよ、と誰かが笑った気がした。私の好きだった、人の良い笑顔。ただの妄想だけれども、その言葉だけで、彼女は確かに報われたのだ。
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