ACE COMBAT after story of the demon of the round table   作:F.Y

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再出撃

 1996年 1月19日 1214時 ウェルヴァキア東部

 

 RM-70多連装ロケット砲が火を吹き、ノルドランド軍地上部隊の陣地へ無数の火の矢が飛んでいった。このエストバキア製の自走多連装ロケットランチャーは旧式化しているものの、破壊力は十分だ。

 ウェルバキア陸軍部隊は反撃に転じ始めた。しかし、ノルドランドが雇った傭兵たちも負けてはいない。4機のA-10AサンダーボルトⅡ攻撃機が飛来し、ロケット砲陣地へ向かい始めた。

 

「バジャー1、攻撃を開始する。CBU投下スタンバイ」

 

 A-10編隊の隊長はFCSを操作して、CBU-87クラスター爆弾を選んだ。敵の上に2発、投下する。これが効果を発揮すれば、下にあるロケット砲陣地はただでは済まないはずだ。

 

「投下5秒前・・・・・・3、2、投下!」

 

 CBU-87が8つ、続けざまに敵陣地へと落ちていった。このキャニスターの外殻が空中で開き、202発の対人/対装甲小爆弾をばら撒く。効果はてきめんだった。RM-70ロケット砲はズタズタになり、予備の焼夷ロケット弾に引火して二次爆発が起きた。更に、ロケットランチャーを載せたトラックの中にいたウェルバキア軍兵士をミンチ肉に変える。

 

「攻撃完了。バジャー1よりバジャー隊各機へ。次のターゲットに向かう。稼ぐぞお前ら!」

 

 隊長の声に、バジャー隊の面々はときの声を上げた。彼らにとっては久々の大口の仕事である。ここで稼がない手は無い。

 A-10Aの編隊は一度飛び去った後、急上昇して対空ミサイルを避けるためにフレアを撒いた。後ろからはウェルヴァキア陸軍のZSU-23から放たれる23mm機関砲弾の曳光弾が追いかけてくる。4番機のパイロットは機体に衝撃が走るのを感じた。後ろを見ると、左エンジンのカバーに穴が空き、左の垂直尾翼の一部が欠けているのが見えた。だが、機体自体は安定し、問題なく飛び続けることはできている。エンジンの異常を示す警告灯も点灯しておらず、警告音も鳴っていない。

 

「バジャー4よりバジャー1へ。エンジンカバーの一部がやられましたが、エンジン自体には問題無さそうです。このまま攻撃を続行します」

 

『わかった。無理はせず、必要があれば基地に帰還せよ』

 

「了解です」

 

 1996年 1月19日 1218時 ウェルヴァキア東部

 

 サイファーのSu-35BMからR-77が放たれ、ウェルヴァキア空軍のMiG-29SMTを追い始めた。ミサイルは戦闘機に簡単に追いつき、近接信管を作動させる。爆発によって飛び散った金属の破片が戦闘機を切り裂き、燃料タンク、エンジンの一部、ミサイルランチャーを破壊した。パイロットは機体を立て直そうとしたが、失敗し、仕方がなく射出座席の黄色いハンドルを引いた。キャノピーが吹き飛び、座席がロケットモーターで機外に飛び出す。即座にパラシュートが開き、パイロットはそれにぶら下がりながら、ふわふわと空中を漂った。

 

「マングース1よりマングース2へ。正面の敵機をやるぞ」

 

『マングース2了解。攻撃します』

 

 ジャガーは円卓の鬼神についていき、彼に接近する敵機を排除するのがやっとの状態だった。サイファーは2番機のことなどお構いなしに敵に向かって飛び、ミサイルを放ち、敵を撃墜していく。だが、戦場ではへばっている余裕は無い。それに、この戦場において、最も生き残る可能性の高い行動の一つが、サイファーに付いてくことだとジャガーは確信していた。

 

 サイファーはそれから瞬く間に6発のミサイルを撃ち、全弾を命中させていた。一方、ジャガーも1発は外したものの、3機の敵を撃墜していた。

サイファーに食らいつく敵は、後ろからジャガーに撃たれるか、鬼神から返り討ちをされていた。

 

『マングース2からマングース1へ。ミサイルが残り1発です。基地で補給をさせてください』

 

「マングース2、その27mmは何のために付いているんだ?」

 

『えっ、あっ、はい・・・・・・・』

 

「なあに、冗談だよ。補給に戻るぞ。マングース1、RTB。露払いは任せてくれ」

 

『マングース2、RTB。ところで、機関砲だけで戦い続けたパイロットなんて、まず、聞いたことが無いのですが・・・・・・・・』

 

「まあ、俺も、そんな芸当ができた奴は二人しか知らない。そのうちの一人は、まあ、俺なんだが」

 

『もう一人は誰なんですか?』

 

「お前は知っているはずだ。そいつは超有名人だからな」

 

『勿体ぶらずに、教えてくださいよ』

 

「いつか話してやるよ。一旦帰るぞ」

 

 1996年 1月19日 1256時 ノルドランド ヨアキムロル空軍基地

 

『サイファー、ジャガー、滑走路への進入を許可する』

 

 ミサイルと爆弾、増槽を満載したSu-35BMとJAS-39Cが滑走路に向かい、左右に並んだ。サイファーは一旦、エンジンを空吹かしした。機体の調子は頗る良好だ。ラダー、フラップ、スラットの動きも問題無い。彼には、ジャガーが乗るグリペンのラダーやカナードの動きを観察する余裕すらあった。あちらも問題は無さそうだ。

実は、補給と整備自体は、サイファーのフランカーよりも、ジャガーのグリペンの方がずっと早く終わったのだ。場合によっては、グリペンを使うことも選択肢に入れること。サイファーは、そう心の中にメモを取った。

 

『マングース隊、離陸を許可する』

 

「マングース1、離陸」

 

 轟音を響かせ、フランカーが離陸した。サイファーは一旦まっすぐ飛ばしたものの、途中で推力偏向ノズルを使い、コブラの機動を行ってから、そのまま急上昇していった。

 

「マングース2、離陸」

 

 ジャガーはサイファーの芸術のような離陸に見とれながらも、しっかりと1番機についていく。そして、酸素を大きく吸い込んで肺に送り込み、気合いを入れた。戦いは、まだまだ続いているのだから。

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