ACE COMBAT after story of the demon of the round table 作:F.Y
1996年 2月5日 0119時 ウェルヴァキア 某所
男はこの天然の巨大な洞窟に作られたドックで建造されている艦船を見上げた。その真っ黒な、恐ろしく巨大な物体は、上が真っ平で、後ろには扉が付いた格納庫のようなものと対空ミサイルや対艦ミサイルのランチャーが付いている。
この艦船の全長は330m。装備は長魚雷発射機6基、そして、艦載機としてYak-38を10機搭載することができる。
この艦船の周囲では、ウェルヴァキア人の技術者、海軍関係者、そしてベルカ人の技術者が動き回り、作業を続けていた。やがて、作業をしていた海軍の大尉が、ドックの扉から歩いてきた、立派な服装をした50代くらいの男の存在に気づいた。
「将軍、お知らせ頂ければお迎えを・・・・・・・・」
「楽にしたまえ、大尉。それよりも、自分の仕事に集中してくれ」
「はっ、では失礼いたします」
大尉は将軍に敬礼し、持ち場に戻った。将軍の男は、ドックで建造されている艦船を見上げた。
この艦船は、実はもともとはウェルヴァキア海軍のアイディアで建造されている訳では無かった。この艦船を建造することを提案したのは、ウェルヴァキアにやってきたベルカ人の技術者たちだ。
この技術者たちは、元々はベルカの国営企業である、南ベルカ兵器工廠に所属していた人物たちだ。ベルカ戦争当時は、XB-O、エクスカリバーといった兵器の開発に関わり、現在では戦犯としてオーシアやウスティオから訴追されている人間たちだ。
彼らはオーシアやウスティオの当局から匿ってもらう代わりに、ウェルヴァキアに対してベルカの驚くべき様々な技術を提供してくれた。流石は世界トップクラスの工業国だ。そのおかげで、ウェルヴァキアの兵器技術が20年から30年は進んだ。
「どうですかな、将軍。この艦船は」技術者の一人が、将軍に近づいて言った。
「素晴らしいですな。流石、貴国の技術とアイディアには頭が下がります」
「実は、ですな。この技術は盗用したものなのです。冷戦時代に、ユークから密かに拉致した技術者によってもたらされた技術でして・・・・・・・」
「ほう?ユークトバニアですか?それはまた」
「我々は、その技術者を再教育施設で洗脳したのです。おかげで、ベルカにかなりの技術がもたらされましたよ。結果としては、悪くないでしょう?貴国にも同じ技術が入ったのですから」
「ふむ。一理あるな」
「そして、我々はオーシアやウスティオの制裁下から逃れた状態で兵器開発を続けることができる。まさに、ウィンウィンの関係と言えるでしょう。そして、あの技術者たちは、オーシアやウスティオに大打撃を与えた兵器の数々、更には戦略兵器のV2の開発にも関わっていました」
「それが、あんたらベルカ人のやり方か。他国の兵器開発に協力する傍らで、技術者をオーシアやウスティオの訴追から隠し、密かに兵器製造技術を蓄積するというのが。ふむ。悪くは無いな」
「そうでしょう。これがあれば、先日のような酷い敗北をすることは無いでしょう。それに、ノルドランドは我々にとっては、にくっきオーシアの友好国。叩き潰してやりたいのは、我々とて同じです」
「我々が望んでいるのは、ガス田やレアメタル鉱山が集中している地域の割譲、これまでの経済的支援の打ちきりに伴う経済的損失の保障だ。はっきり言って、ベルカの威信の回復にはこれっぽっちも興味など無い」
「なるほど。しかし、それには我々の協力なくして果たせる目標では無いですな」
「確かに、その通りだな」
1996年 2月5日 0631時 ノルドランド
2機の古めかしい航空機が高速で飛行していた。その飛行機はノルドランド空軍の戦術偵察機、RF-4EファントムⅡだ。
RF-4Eはオーシア海軍及び空軍が1960~80年代に主力戦闘機として多数配備していたが、今ではF-15CやF-22Aといった新鋭機に置き換わり、その数を減らしつつあるF-4Eファントムの偵察機型である。ミサイル搭載能力と20mm機関砲を撤去し、その代わり地上偵察用カメラや電波情報収集装備を使い、戦場を偵察する。自衛装備は外付けのECMポッドとチャフ/フレアディスペンサーのみだ。
「こちらセンチネル1、現在のところ幹線道路には異常無し。引き続き監視を行う」
『こちらにAEWファルコンアイ。センチネル1は西の方の監視を行え。センチネル2は南、ウォッチャー1とウォッチャー2は南西側の国境ぎりぎりの辺りへ向かえ。ただし、ウェルヴァキア領空への侵入は禁止。繰り返す。ウェルヴァキア領空への侵入は禁ずる』
「センチネル1了解。センチネル2、聞こえたな」
『イェッサー』
通常、RF-4Eでの偵察行動は単機で行うのだが、領空侵犯してきたウェルヴァキア空軍機からいきなり撃墜される危険性があるため、ノルドランド空軍は戦術偵察においては複数のファントムを使う方針に変更していた。それに、この空域にいるのはファントムだけではない。
F-16CとトーネードIDS、JAS-39CとMiG-31Bがそれぞれ2機ずつ、早朝の上空哨戒任務に当たっていた。ノルドランド空軍と傭兵部隊の混成部隊だ。
『やれやれ。こんな朝早くから偵察機の子守りとはな』
『コブラ2、そう言うな。奴らは最近静かだが、俺にはむしろ、それが不気味に思えてな。間違い無く、こうしている間に何か企んでいるはずた。それに、昨日は報酬を貰っただろ?報酬分は仕事をしろ』
『それについては文句は無いですがね。しかし、この前の艦隊阻止作戦。あの"鬼神"の報酬額には驚きましたよ』
『あいつはまあ・・・・何と言うか、特別だ。まあ、噂に嘘が無いことを確認できただけでも、俺にとっては十分だ。お前も稼ぎたければ、奴の戦果を追い抜くことだ』
『無茶言わんで下さいよ。この前の模擬空戦訓練で、あいつを模擬撃墜どころか、ロックオンできたパイロットがいたと思いますか?』
『まあ、いたとは思えんな。俺が見た限り、あいつに向かって行った奴はことごとく"墜とされ"ていったからな』
『全くですよ。あいつはただ空戦に強いだけじゃない。きっと後ろと横にも目玉が付いているか、そうでなければ、頭に小型のレーダー警戒装置を手術で埋め込・・・・・・』
そこまで言った時、ミサイル警報装置が耳障りな音を立てた。
『ミサイル!一体何処から!?』
『避けろ!チャフ!フレア!』
『畜生、間に合わん!うわあああああ!』
その場にいた戦闘機は、突然のミサイル攻撃により全て撃墜されてしまった。一方、偵察機の方は、そんな事とはつゆ知らず、そのまま当初の作戦通りに偵察飛行を続行していた。
この艦船は、シンファクシ/リムファクシのプロトタイプのようなものと考えてください。
無人機管制能力が無いので、有人機を搭載。
そのせいで弾道ミサイルの大型VLSを載せられるスペースが犠牲になり、
対艦ミサイル/対空ミサイルを搭載する中型VLSに変更されています。