ACE COMBAT after story of the demon of the round table 作:F.Y
1996年 2月5日 0944時 ノルドランド=ウェルヴァキア国境地帯上空
ウェルヴァキア空軍の迎撃機が上がってきた。MiG-29Sフルクラム、MiG-23MLフロッガー、MiG-21MFフィッシュベッドという編成だ。フルクラム以外の機体はやや旧式ではあるが、ウェルヴァキアは"灰色の男たち"の協力を得てこれらの機体をアップデートしていた。
そのため、MiG-23MLにはR-77やPL-11といった、新型のアクティブレーダー誘導ミサイルの運用能力が追加され、更にはレーダーの性能向上改修により、最大4機までの目標の同時捕捉・追跡が可能になった。
更に、MiG-21MFはヘルメット搭載照準装置により、R-73によるオフボアサイト交戦能力も獲得していた。旧式の機体とは言え、見くびっていたらかなり苦戦するだろう。
「アルビナ1より各機へ。奴らを撃墜する。逃がすな!」
恐らく、先日の偵察機撃墜に対する報復だろうとウェルヴァキア空軍のパイロットは考えていた。だが、そんな事は彼にとってはどうでもいい話だった。自分は軍人だ。与えられた任務を遂行することだけを考えていれば良い。
『センチネルよりアルビナ隊へ。敵機正面。距離3500』
A-50早期警戒機がレーダーで敵機を捉えたようだ。ウェルヴァキアは開戦前にこの機体をエルジアから導入し、戦力化していた。
決して安い買い物では無かった。しかしながら、この航空機はウェルヴァキア空軍の戦力を大幅に向上させていた。今まで地上のレーダーサイトに頼りきりだった
「アルビナ1、交戦する」
『アルビナ2、交戦する』
1996年 2月5日 0944時 ノルドランド=ウェルヴァキア国境地帯上空
『AWACSホワイトキングより作戦中の戦闘機へ。ウェルヴァキアの迎撃機が接近中。排除せよ』
サイファーはレーダーで敵機を確認した。敵は物凄い勢いでこちらに接近してきている。レーダーを中距離交戦モードに切り替え、兵装選択画面を表示させた。HUDの目標指示ボックスにはMiG-23という文字が表示された。なるほど。フロッガーならば、中射程ミサイルであっても、やや旧式のR-23程度のはずだ。F/A-18CやF-16C程度の電子防御システムを持ってすれば、よく注意さえしていればそれ程怖がる必要は無い。
だが、そう考えていた時、レーダー警報装置が作動した。サイファーは一瞬、面食らったが、冷静に電子妨害システムを作動させ、低空に逃げる。ジャガーも同様にJAS-39Cを操縦してサイファーに追随する。やがてミサイルアラートが鳴り出した。畜生!
サイファーは後ろを見て、バレルロールの機動を行いながらチャフを断続的に撒き散らした。ミサイルはぐるぐる回りながらサイファーのSu-35BMを追いかけてきたが、チャフに騙されて空中で爆発した。
『サイファー、大丈夫ですか!?』
「くそっ!奴ら、フロッガーやフィッシュベッドを近代化改修したな。気を付けろ!R-27かR-77を撃ってくるぞ!」
命の危険を覚悟したのは、アヴァロンダムの上空でピクシーと一対一の空中戦をした時以来だ。だが、それが逆にサイファーの闘争本能を掻き立てた。彼は先ほどのミグのパイロットを血祭りに上げることにした。
1996年 2月5日 0944時 ノルドランド=ウェルヴァキア国境地帯上空
先ほど、自分が仕留めそこなったのが"円卓の鬼神"であることなどつゆ知らず、フロッガーのパイロットは仕留めそこなったフランカーを諦めて次の標的を探し始めた。それにしても、このユークトバニアで開発された新型ミサイルの性能を過信しすぎていたようだ。オーシアのAMRAAMやユージアのミーティア、オーレリア製のIダービー程度の性能があると売り込んできていたが、それほど信頼性は高いとは言えないようだ。
これはユークで開発されたものをベルカが設計図を入手して盗用して製造したものであるが、ベルカ程の工業力がある国であれば、それを模造し、さらには近代化改修を施すなど造作もないことのはずだが。
そのフロッガーのパイロットは、僚機を引き連れ、次なる標的を探して空域を飛び回った。丁度、低空を飛ぶミラージュ2000CとF-16Cが目に入った。次の標的はこいつらだ。ミサイルの残りを確認した。R-73が2発、R-77が1発、R-27が2発。これだけあれば、奴らをある程度仕留めることができるだろう。
1996年 2月5日 0945時 ノルドランド=ウェルヴァキア国境地帯上空
サイファーはジャガーを引き連れ、一旦混戦状態のエリアから離れてから、再び接近を試みていた。時折、戦闘機が爆発し、曇り空に小さな花火を咲かせる。だが、それは祭りや楽しいことを知らせるものでは無く、誰かが空の上で死んだことを表している。
「サイファーよりジャガーへ。正面に敵機。数2」
『やってやりましょう!後ろは任せて下さい!』
サイファーは電子妨害装置のモードを確認した。Sバンドレーダーに対応させている。サイファーはレーダーモードを目標追尾に切り替え、R-77の安全装置を解除した。
ジャガーはグリペンに搭載されているミーティアの発射準備を整えた。相棒のSu-35BMが持つR-77よりは射程が長いため、先に標的をロックオンしていた。
『ジャガー、目標補足』
「やれ」
グリペンからミーティアが1発、リリースされた。サイファーは少しタイミングをずらしてからR-77を発射する。2発のミサイルは敵機が空中にばら撒いたチャフやECMに騙されること無く標的を破壊する。交戦規則のため、敵国の領空内部に侵入してしまわぬよう注意せねばならなかったが、それさえ気を配れば、あとは自由に敵を仕留めても良い。レーダーサイトはあらかた潰したため、領空内に入ってきた敵機を仕留めることにこの作戦の最終目標は変化しつつあった。