ACE COMBAT after story of the demon of the round table   作:F.Y

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延長戦

 1996年 2月5日 1011時 ノルドランド・ウェルヴァキア国境地帯

 

 F-16CとF/A-18Dの編隊がノルド貨物航空1132便の反応が消えたエリアの付近を飛行していた。この傭兵のF/A-18DはM61A1機関砲が取り外され、その代わりにATARSという偵察用カメラを搭載している。そのため、後席で地上の様子を確認することができる。後席に座るイワン・ゼニフはATARSが捉えた映像をHMDで確認していた。

 

「相棒、状況はどうだ?」

 

 パイロットのジョエル・オライリーが身を乗り出すようにして地上の様子を窺いながら言った。

 

「今のところは手掛かりなしだ。飛行機の破片らしきものは見えないな」

 

「しかし、ウェルヴァキアの奴ら、本気なのか?領空侵犯していない民間の飛行機をいきなり撃墜するだなんて。普通に考えて異常だろ」ゼニフが相棒に返す。

 

「全くだ。イワン、ミサイルの残弾は大丈夫か?この機体は20mmガンが無いから、全部撃ったら逃げるしか無いぞ」

 

「AMRAAMが2発、サイドワインダーが2発残っている。さっきミグを2機撃ち落としたからな」

 

「わかった。AMRAAMを1発でも撃ったら、一旦引き返そう。ウィーゼル1、それでいいか?」

 

『ああ。ウィーゼル2、それでいい。敵も証拠隠滅を図ってこっちに部隊を差し向けてこないとも限らない。それに、誰かが上空警戒をする必要もあるかなら』

 

「AWACSに他に戦闘機の援護を付けてもらえないかどうか聞いてみよう。AWACSガーディアン、こちらウィーゼル1。1132便の捜索中だ。現在、撃墜された飛行機のようなものは地上に見当たらない。ミサイルの残弾数も多くは無いので、援護の機体を寄越してくれるとありがたい」

 

『ウィーゼル1、こちらAWACSガーディアン。了解した。手が空いている隊がないかどうか調べてみよう』

 

「頼むぞ。こっちはたったの2機でこのエリアを防衛しているんだ。敵が大勢やってきたら、守り切れんかもしれない」

 

『ああ。できるだけ急がせる・・・・・いたぞ。ウィーゼル1、喜べ。最高の助っ人を寄越してやることが出来そうだ』

 

 1996年 2月5日 1013時 ノルドランド上空

 

 Su-35BMとJAS-39Cがヨアキムロル基地から離陸し、ウェルヴァキアとの国境地帯の近くへ向かって飛行していた。予定では先程哨戒飛行していた空域に戻り、押し寄せる敵機の迎撃に向かうはずだった。

 

『マングース隊、聞こえるか。こちらAWACSガーディアンだ』

 

「ガーディアン、こちらマングース1」

 

『エリア、ヴィクター9に敵機が向かっている。迎撃せよ』

 

「了解、迎撃する。マングース2」

 

『はい、サイファー』

 

「狩りの時間だ。弾が無くなるまで奴らを撃墜してやれ」

 

『了解です。援護は任せてください』

 

 ジャガーは、一度スイッチが入ったサイファーを止める方法が無いことはわかっていた。このパイロットは敵の姿が無くなるか、文字通り残弾が無くなるまで目の前の獲物を食らいつくす。

 

『ガーディアンよりマングース1へ。敵機2。方位、223。ヘッドオン』

 

「マングース1了解。迎撃する」

 

 サイファーはレーダーを索敵から中距離空対空戦闘に切り替えた。IFFの質問信号に回答信号を返さない機体を2機確認した。兵装選択画面を表示させ、R-77を選択する。

 

「レーダーロック、Fox1!」

 

 R-77中距離空対空ミサイルが1発、前方に向かって撃ち出された。そして、ほんのコンマ数秒後に2発目も撃ち出される。JAS-39Cからもミーティアが発射され、敵機を攻撃する。一方、ウェルヴァキア空軍側も、MiG-29SやMiG-23MLをからR-27を発射し、反撃してきた。

 

「前方からミサイル接近!ブレイク!ブレイク!」

 

 サイファーのSu-35BMをはじめ、ノルドランド空軍パイロットや傭兵が乗る戦闘機がチャフやフレアを撒きながら一斉に散会した。戦闘機がいた空間をミサイルが通り過ぎていく。

 

『ジャッカル3!後ろからミサイルが接近!避けろ!』

 

『畜生!』

 

 傭兵が乗るMiG-31BM戦闘機にミサイルが迫ってきた。この戦闘機は直線的な飛行で高速を出す性能に優れるが、機動性に難がある。そのため、パイロットはエネルギーを一気に失ってしまう可能性がある滅茶苦茶に旋回を続けるよりも、アフターバーナーに点火し、一気にミサイルとの距離を取る方法を選んだ。

 

『くそっ!追いつかれる!』

 

 フォックスハウンドはチャフとフレアを撒き、ECM装置を作動させ、ミサイルを避けようとした。R-27は金属がメッキされた細かいグラスファイバーの破片の雲の中に入ると、近接信管を作動させるアクティブレーダーがそれに騙され作動した。ミサイルは空中に金属の破片をまき散らしたものの、飛行機には一切被害を与えることなくロケットモーターを地上に落下させていった。

 

『畜生!今のは危なかった!』

 

『ジャッカル3、無事か!?』

 

『ああ!くそっ!危うく今日が命日になるところだったぜ』

 

『奴らに仕返しをしてやれ!敵機接近!方位、015!』

 

『ああ。前の2機だな?IFF確認。質問信号に応答無し!』

 

『やれ!』

 

『Fox1!』

 

 MiG-31BMからR-37空対空ミサイルが2発、連続して射出された。この大きなミサイルは約200kmという驚異的な射程を誇っているが、その分大型なので搭載できる機体は限られる。フォックスハウンドは、このミサイルを運用できる数少ない戦闘機の一つだ。

 

 1996年 2月5日 1015時 ノルドランド上空

 

 サイファーとジャガーは、なんとか敵が放ってきた矢を避けることに成功した。飛んできたミサイルを避けるために、数十分も回避機動を行いながらチャフを撒いていたような気がしたが、ミサイル接近警報が鳴り始めてから鳴りやむまでの時間は、実際には十数秒程度であった。

 

『サイファー、大丈夫ですか!?』

 

「ああ。流石に今のはやばかったがな」

 

『作戦中の各機へ。こちらガーディアン。作戦司令部より通達。敵機の攻撃が止んだ時点で今作戦を終了せよとの命令が出た。繰り返す。敵機の攻撃が終了した時点で、今回の作戦を終了せよとのことだ』

 

 適当なこと言いやがって。まあいい。奴らがこっちに向かって来なくなるまで撃墜していけばいい話だ。攻撃部隊の方は、目標である対空ミサイルサイトを壊滅させることができたようだ。とりあえず、今回の作戦の目標は達成できたということだ。

 

「マングース1よりガーディアンへ。報酬弾んでくれよ」

 

『無事に帰って来れたらな、サイファー。上層部に掛け合うことだけは約束しよう』

 

「確かにな」

 

 サイファーは敵に集中した。正面から敵機が迫ってきている。サイファーはレーダーモードを切り替え、敵機をロックオンした。

 

「レーダーロック・・・・マングース1、Fox1!」

 

 フランカーのエアインテーク下のランチャーから射出されたR-77ミサイルが前方に飛び、遥か彼方のMiG-23MLを撃墜した。続いて、その僚機に狙いを定める。付き合わされるジャガーは気の毒だが、サイファーは狩りの延長戦を楽しむことにした。

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