ACE COMBAT after story of the demon of the round table   作:F.Y

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敵エース部隊の部隊名を決めていないことに、今さら気づきました。


第2ラウンド

 1996年 2月24日 1154時 ウェルヴァキア パヴロ・レイマンスキ空軍基地上空

 

『なんだ!?あいつらは!?』

 

『ビーバー3、ミサイルだ!ブレイク!ブレイク!』

 

『畜生!』

 

 MiG-29SMTのうち1機がノルドランド空軍のF-16Cの真後ろにまで接近し、R-73を放った。機関砲の射程に入る程の近くだったため、ビーバー3の機体はパイロットが緊急脱出する間も無く炎上して落下していく。

 

『ビーバー3がやられた!誰かパラシュートを見たか!?』

 

『ミサイルアラート!避けろ!』

 

 たった8機のフルクラムが30機近い戦闘機部隊を引っ掻き回し、大混乱に陥らせた。今度は傭兵のF/A-18Dが撃墜される。

 

『くそっ!オウル1がやられた!』

 

『全機、撤退するぞ!逃げるんだ!』

 

 ノルドランド空軍と傭兵部隊の戦闘機が蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。このミグに乗っているのが何者であれ、自分たちが敵うような相手では無い。だが、敵は逃げる戦闘機を執拗に追跡し、獲物を狩り続けた。

 

『スパロー5!7時方向に敵だ!ケツに付かれているぞ!』

 

 1996年 2月24日 1157時 ウェルヴァキア パヴロ・レイマンスキ空軍基地上空

 

『ヴィペラ1よりヴィペラ隊全機へ。持ってきた弾は全部撃ちつくせ。やつらを殺せ』

 

『イェッサー!』

 

 ヴィペラ隊隊長、ダニエル・"ルップ"・イオネスク大佐は部下に指示を出し、自ら編隊の先頭を飛んだ。

ようやくバセスク大尉の命を奪った復讐をする機会が巡ってきたのだ。バセスクの代わりの人員は、コーマン大尉という若者で、イオネスクが見た限りは、かなり優秀な若者である。

 

『ヴィペラ8、お前はヴィペラ7の後ろにつけ。ヴィペラ2、お前は俺の後ろだ。奴らを殺せ!』

 

 8機のフルクラムは4機ずつの編隊に分かれ、敵を狩り始めた。R-73が飛び、ノルドランド空軍のJAS-39Cを撃墜する。

 

『メーデー!メーデー!シャーク3被弾!脱出する!』

 

 JAS-39Cのキャノピーが吹き飛び、射出座席がロケットモーターで飛び出した。そのすぐ後にパラシュートが開き、パイロットが空中を漂う。

 

『あの野郎!ぶっ殺してやる!』

 

『シャーク1、交戦する!シャーク3の仇だ!』

 

『シャーク2了解』

 

『シャーク4、交戦します』

 

 1機のグリペンと2機のF/A-18Cホーネットが反転し、派手な塗装のフルクラムの集団に向かった。背面が大きく膨らんでいるのを見る限り、サブタイプはMiG-29SMTのようだ。ユークが開発した傑作戦闘機の最新型だ。機動性に富む代わりに犠牲になった航続距離を、燃料タンクを増設し、更に空中給油能力を追加することで補っている。また、レーダーや電子防御システムも一新され、初期のMiG-29Sとは別物の機体となっている。

 

 シャーク隊は一旦上昇し、ハイGヨーヨー機動で敵編隊の後ろに回り込もうとした。しかし、敵エース部隊はその機動を完全に読んでいた。降下しつつ、スローロール機動を行った。

 

『こいつ!』

 

 シャーク2は目の前にいるフルクラムの後ろに回り込むべく、機体をロールさせた。だが、その敵機はシャーク2の下に潜り込み、減速した。フルクラムはシャーク2の真後ろに張り付くとHUDのレティクルの真ん中に捉え、操縦桿にある機関砲の引き金を絞った。

 

 1996年 2月24日 1158時 ウェルヴァキア パヴロ・レイマンスキ空軍基地上空

 

 突如として現れた8機の敵戦闘機にノルドランド空軍・傭兵の連合部隊は引っ掻き回され始めていた。フルクラム自体、機動性に優れ、抜群の空戦性能を持つ戦闘機であるが、乗っているパイロットが相当な腕前を持っているらしく、瞬く間に連合軍の戦闘機を破壊していく。

 

『畜生!』

 

『何て奴らだ!ウェルヴァキアにこんな奴がいたのか!』

 

 一方でサイファーは遠巻きに新手の様子をじっくりと観察していた。その後ろでジャガーはぴったりと編隊を組んで援護している。

 

 新手は整然とした動きで味方を攻撃している。どうやら攻撃に一定のルーティンがあるらしい。その隙を見つければ漬け込むタイミングが現れるはずだ。

 

『サイファー、気づきましたか?あいつら、まるで航空ショーの編隊飛行みたいにキレイに並んで飛んでいますよ』

 

「ベルカ空軍にもこんな連中がいたという話を聞いたな。こいつらは相当な腕前だ。注意しろ」

 

 あのユキヒョウ模様の8機のフルクラムは次の獲物に狙いを定めたようだ。動きを見れば、何を狙っているのかだいたいわかる。正面の2機のタイフーンと2機のグリペンの編隊を狙っているようだ。

 

『ガーディアンから戦闘機部隊へ。新手を迎撃せよ』

 

『畜生!ケツに付かれた!誰か何とかしてくれ!』

 

『バット4、待ってろ!援護する!』

 

 1番機のタイフーンが反転し、フルクラムを追い始めた。空力面だけで見たら、タイフーンの方が有利であるとのデータがあるが・・・・・・。

 

『ヴィペラ3、Fox2』

 

 派手なカラーリングのMiG-29SMTがR-73を放った。コンマ数秒のタイミングで放たれたミサイルはタイフーンを直撃し、ズタズタに切り裂いた。

 

『くそっ!バット1被弾!脱出する!』

 

 ヴィペラ3のパイロットは勝利を確信し、次の獲物をHUDの中に収めようとした。ノルドランド空軍も噂の傭兵部隊も、思ったほど大したことは無さそうだ。これまでのウェルヴァキア軍の敗北は何だったのか。まるで手応えが無い。こんな連中に苦戦していたとは、全く、わが空軍のパイロットも腕が落ちたものだ。

 獲物はまだその辺に沢山飛んでいる。僚機のヴィペラ4はしっかり援護してくれている。まあ、こいつらを全滅させるのが当面の目標だ。次は・・・・・・・・・。

 

『畜生!ヴィペラ4被弾!やられた!』

 

 なんだと。ヴィペラ3のパイロットが後ろを見ると、ヴィペラ4の機体からキャノピーが吹き飛び、パラシュートが飛び出すのが見えた。やがてすぐにミサイルアラートが鳴り、反応する間も無く機体に衝撃が走った。

 

『ヴィペラ3、イジェクト!』

 

 1996年 2月24日 1159時 ウェルヴァキア パヴロ・レイマンスキ航空基地上空

 

 サイファーは新手のフルクラムを2機、立て続けに撃墜した。1機は機関砲で、もう1機はR-73短射程ミサイルで。その鮮やかさは見る者を魅了するほどだ。

 

『マングース1、敵機撃墜。ガーディアン、次の獲物は?』

 

『ガーディアンよりマングース1へ。待て・・・・・奴ら逃げ出したぞ。退却していく』

 

 先ほど、突如として現れたフルクラムの編隊は戦闘空域からどんどん遠ざかって行った。地上からは燃えさかるジェット燃料のタンクや弾薬庫から真っ黒煙が立ち上っている。

 

『ガーディアンより作戦中の戦闘機へ。目標の破壊を確認した。帰り道に空中給油機を待たせてある。作戦終了。帰還せよ』

 

 1996年 2月24日 1234時 ノルドランド ヨアキムロル航空基地

 

『マングース1、着陸を許可する』

 

 サイファーはギアをダウンさせ、着陸態勢に入った。タワーはからは相変わらずダミ声の管制官がGCAで誘導している。

 

『着陸まで10マイル』

 

 HUDを見て、ローカライザーとグライドスロープが適正な位置にあるかどうかを確認し、ラダーとエレベーターを動かして微調整する。もう何百回、もしかしたら千回以上もやってきたことだが、いつでも極めて慎重な操縦を要求される。

 

『着陸まで5マイル』

 

 機種をやや上げ気味にして主脚からタッチダウンした。少し主脚だけで滑走した後、機首を下げて滑走路を走る。ジャガーがのるグリペンもすぐに着陸し、滑走路からエプロンに向かった。

 

 今日戦ったミグの部隊。一度、戦ったエース部隊だろう。ウェルヴァキア空軍も、ベルカやオーシア、サピンのようにエース部隊を抱えているようだ。そういう奴は、空戦の腕前は勿論のこと、殆ど第六感を持っているような奴も多い。だが、そういった数々の強敵をサイファーは葬ってきた。ベルカ戦争では、5つのエース部隊を撃破してきた。それも、2対4や3対8、2対8のような圧倒的不利な状況で。だが、その時は、腕の良い相棒がいたから退けることができたようなものだ。だが、次こそはあのミグを撃墜してやろう、とサイファーは心の中で誓った。それまでに、空戦の腕を更に磨いておく必要がある。奴らを撃墜できれば、報酬は一気に高額なものになるはずだ。

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