ACE COMBAT after story of the demon of the round table   作:F.Y

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開戦

 1996年 1月15日 1009時 ノルドランド ヨアキムロル空軍基地

 

 ノルドランド空軍と傭兵のパイロットがブリーフィングルームに集結した直後、軍の情報将校、ロビン・リーが入ってきた。そして、PCを起動し、スクリーンにノルドランド周辺の地図を映し出した。

 

「諸君、緊急出撃だ。今、整備部隊には、諸君の戦闘機に武器弾薬を搭載させ、燃料補給も行わせている。これが終了したら、即座に出撃してもらう」

 

 情報将校がPCを操作すると、ウェルヴァキアの東部に赤い三角形のアイコンが表示され、矢印を曳きながらノルドランド方面へ動き始めた。

 

「レーダーサイトと警戒飛行中のAWACSが、我が国領空へ向かう航空機の編隊を捉えた。恐らく、ウェルヴァキアのH-6K爆撃機の編隊と思われる。また、この編隊には、J-10BやMiG-29SMTといった戦闘機、JH-7といった戦闘爆撃機が随伴しているものと予想できる」

 

 地図上で航空機を表すアイコンのうち、幾つかが動き、ウェルヴァキア方面へ向かった。

 

「更に、その後、ウェルヴァキア方面へ引き返した航空機も確認された。恐らく、空中給油機だろう。このままでは、あと1時間程度で我が国の領空にウェルヴァキア空軍機は侵入を開始するものと考えられる。勿論、我々は、それを阻止せねばならない。出撃した機体は、AWACSの指示に従って飛行せよ。全ての爆撃機の破壊。それが、本作戦の任務だ。では、解散!準備ができた者から出撃せよ!」

 

 1996年 1月15日 1034時 ノルドランド ヨアキムロル空軍基地

 

『マングース隊、タキシングを許可する。急ぎ、出撃せよ』

 

 Su-35BMとJAS-39Cが誘導路を高速で滑走し、滑走路へと向かった。その傍らでは、F-15EとF-16Cが轟音を立てながら離陸していく。更に、後ろからはタイフーンとグリペンが続いている。

 

『サイファー、上空ではお願いします』

 

 ジャガーの声が無線から聞こえてた。

 

「君は援護を頼む。敵機の撃墜は、俺に任せるんだ」

 

『了解、サイファー。仰せのままに』

 

 ジャガーはPJとは違い、あまり余計な事は言わないタイプの人間のようだ。だが、サイファーにとっては、その方がありがたかった。おかげで、僚機に背中を任せつつ、獲物を狩ることに集中できる。

 

『タワーよりマングース隊、離陸せよ』

 

「了解。マングース1、テイクオフ」

 

『マングース2、テイクオフ』

 

 Su-35BMとJAS-39Cが離陸した。その後ろでは、F-14DとF-16Aが離陸の準備をしている。基地では、空襲警報のサイレンが鳴り響いていていた。今日は、長い1日になりそうだ、とサイファーは思った。

 

 1996年 1月15日 1042時 ノルドランド南東部 グノヴァヘリム平原上空

 

『迎撃に上がった各機へ、こちら空中管制機ガーディアン。本作戦の指揮を担当する。全機、方位224へ向かえ。既にレーダーサイトが対レーダーミサイルの攻撃を受け、被害が出ている。爆撃機は、現在、平原上空を飛行中。このままのコースを飛び続けると、アムノゼリン市上空へ到達すると予想される。爆撃機が攻撃を開始する前に撃墜、破壊せよ』

 

 サイファーは、2回、無線機のスイッチを上げ下げした。ジッパー・コマンドというやつだ。面倒くさいときは、いつもこうやって答えている。

 

 いよいよ戦争が始まった。敵は、まずは爆撃し、国境に一番近い町を攻撃することにしたらしい。その後は、恐らくは地上部隊を送り込んでくるだろう。

 だが、サイファーにとっては、敵機は、単なる獲物にしか見えなかった。敵を撃ち落とすことで、自分は生活している。まずは、先を越される前に獲物をある程度撃ち落としておきたかった。

 

『さて、あんたの腕前、見せて貰うぜ、鬼神さんよ』

 

 傭兵の誰かが、無線で話しかけてきた。が、サイファーは無視した。話す必要があれば、そうするし、必要がなければ、そうしない。サイファーは、航法と索敵に集中し、時折、僚機の方を見た。マングース2こと、ジャガーは、しっかりとついてきている。

 

『今日のエースは俺で決まりだな。なんなら、全部撃ち落としてやるよ』

 

『お前にゃ無理だ。そういう事は"鬼神"を追い抜いてから言うんだな』

 

『奴のことか?どうだか。俺は、噂話は信用しないたち何でね』

 

『じゃあ、賭けるか?サイファーの奴が、敵を撃ち落として生き残るか、それともいきなり落とされるか』

 

『ほう。乗った。俺は生き残る方に賭けるぜ』

 

『俺も』

 

『俺もだ』

 

 だが、サイファーはそんな傭兵たちの事を無視して、獲物へ向かった。ジャガーのJAS-39Cは、しっかりと援護位置にいる。

 

 MFDの表示を切り替え、AWACSとの戦術データリンク画面を開いた。もうすぐ、敵が射程内に入るはずだ。

 

 1996年 1月15日 1044時 ノルドランド南東部 グノヴァヘリム平原上空

 

 ウェルヴァキアの爆撃機乗りは、目標へ向かって順調にH-6Kを飛行させていた。敵の蠅は、随伴しているJ-10BやJF-17、MiG-29SMTに任せておけば良い。しかし、だ。今日の作戦は、なぜか傭兵を派遣させなかった。一体、空軍司令部は何を考えているのか。まあ、そんな事を考えても仕方がない。そろそろ敵の迎撃機がやって来る頃だ。戦闘機には、しっかり護衛をしてもらわねば。

 

「アーケロン01からバーサ31へ。護衛をしっかり頼むぞ。奴らを・・・・・」

 

 だが、バーサ31からの応答は無かった。

 

「バーサ31どうした?」

 

 1996年 1月15日 1045時 ノルドランド南東部 グノヴァヘリム平原上空

 

 サイファーは早くも最初の獲物を葬った。R-73がJ-10Bを捉え、爆発、炎上させる。続いて、ジャガーもIRIS-Tで敵の護衛機を撃墜した。

 

「サイファーよりジャガーへ。爆撃機をやるぞ」

 

『了解!』

 

 サイファーは兵装選択画面を表示させ、R-77に切り替えた。暫くすると、ミサイルの先端にあるレーダーが、敵機を捉えたことを知らせる電子音が聞こえてきた。サイファーは一度、IFFを表示を見て、敵であることを改めて確認する。

 

「マングース1、FoX1!」

 

『マングース2、Fox1!』

 

 R-77とAIM-120Cが戦闘機から射出され、敵目がけて飛んでいく。その間、サイファーは次の敵機を探した。戦闘機が2機、こちらに向かって接近中だ。

 

「ジャガー、敵機接近中。方位、354。距離180。数、2」

 

『任せて下さい!』

 

 味方もミサイルを放ったのか、何条もの煙が空に白いラインを描いていく。煙が出るのは古いタイプのミサイルだ。恐らく、AIM-7やAIM-54、スカイフラッシュなどであろう。

 

 敵機は高速で接近してきたため、ドッグファイトに入らざるをえなかった。その2機は、J-10B。最新型の機体だ。

 

「ジャガー、敵は新型だ!油断するな!」

 

 サイファーとジャガーは正面から接近してくる敵に向かって飛び、その後、やや上昇した。そして、敵の姿が見えると、左方向へ少しだけ上昇しながらターンして、旋回し、敵の後ろに回り込もうとした。ハイGヨーヨーだ。

 

 だが、敵機はそれを上昇してかわそうとした。が、その時、ほんの数十秒、サイファーのガンの射程内に入り込んでしまった。サイファーはそれを見逃さなかった。HUDに敵機を捉えると、一瞬だけ機関砲の引き金を引いた。Gsh-30から劣化ウラン弾が放たれ、J-10Bの背中に穴が空く。その後、燃料に引火したのか、機体が燃え始めた。パイロットは、すんでのところで射出座席を作動させ、脱出した。そして、敵の僚機も、同じ運命を辿った。

 

 ジャガーは一瞬だけだが、サイファーの鮮やかな撃墜に目を奪われた。これが、ベルカ戦争の英雄、円卓の鬼神。空戦は尚も続き、味方機も敵機も、火を吹いて落ちていく。だが、ぼーっとしている時間は無い。敵機は、どんどんこちらにやって来る。

 

『マングース2からマングース1へ。敵機が正面から接近中。わかりますか?』

 

「ああ。レーダーで捉えた。やるぞ」

 

 サイファーとジャガーは、敵機へ向かって飛び続けた。戦争は、まだ始まったばかりだ。

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