フェアリー・エフェクト(完結)   作:ヒョロヒョロ

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前話では色々やらかして失礼しました……
本当、ご指摘に感謝……感謝……!

【前回のあらすじ】
法国「ほぎゃー! ゴ○ブリ!」
影の悪魔(……計画通り)
吸血鬼「よくもペロロンチーノ様から賜った名を侮辱したなぁッ!」
東の巨人「」永遠の生き地獄へボッシュート
闇妖精(姉)「弟の助手、ゲ~ット!」
森精霊(“滅びの魔樹”滅ぼすとか、こいつらヤバイ)
蟲王「戦士トシテノ気概ハ買ウガ、森ノ()王……?」
南の大魔獣「そ、そんな~! 酷いでござる!」
西の魔蛇(預かった縄張りを守らないと……!)必死
白金の竜王「よし、この森は正常だ」騙されてる


至高の方々、相談する

 ルイが目覚めた翌日の昼、ヘロヘロの部屋にて。

「ああ~~~……ルイさんには本当に申し訳ないことを……」

「ヘ、ヘロヘロさん、気を確かに! ルイさんも許してくれたじゃないですか!」

 卓に突っ伏すようにして呻くヘロヘロを、モモンガが必死に宥めている。

 人格(プレイヤー)(アバター)に引っ張られる危険性を察していたにも拘らず、ルイのそれだけ軽視してしまったことを、ヘロヘロはすさまじく後悔しているのだ。

 今回の件でルイは一回死んだも同然な(デスペナくらった)ので、ヘロヘロの罪悪感は相当なものである。

 昼前にパンドラズ・アクターが発掘してきた【人化の腕輪】で、ルイの“種族特性”の抑え込みはできたが、探せば手段はあったからこそ、「もっと早く言っておけば」という悔いが強くなる訳だ。

「むしろ、今回の件はいい教訓になったと思いましょう! これからは、どんな些細なことでも報告・連絡・相談(ほうれんそう)を徹底するということで!」

「…………そうですね……これで、同じようなことを繰り返したら、本当に救いようがない……」

 モモンガの言葉に、ヘロヘロは力なく顔を上げる。

「──モモンガさんは、明日からまた都市(まち)に出てしまう訳ですし、今のうちに相談しなきゃいけないことは山ほどありますしね……」

「なんていうか……情報増えすぎてヤバイことになってますよね……いや、ないよりあった方がずっといいんですけど……」

 ははは、と乾いた笑いが感染する。

 法国からの諜報魔法への反撃(カウンター)で送り込んだり、王都へと連行された開拓村襲撃犯(法国の囮部隊)につけたりした影の悪魔(シャドウ・デーモン)達は、うまいこと影から影を渡って情報を集めてくれたのだが。

「──よりによってなんでナザリックは王国領に転移してしまったのか」

「王国ヤバすぎですよね」

 ──調査資料を読んだ結果の感想は、これに尽きる。

「貴族は腐ってるし、犯罪組織が麻薬ばらまいてるし」

「その麻薬が回ったせいで帝国に恨まれてるし、法国には見限られてむしろ潰されそうになってるし」

「国力的に、次に帝国と戦争したら、まず負けますよね」

「法国が帝国側についてるし、むしろ国ごと食われそうですよね」

「……あのガゼフが忠誠を誓っている以上、国王自身は悪い人じゃないんでしょうけど……」

「王としての才気と、人格は別ってことですかね……」

 正直、ナザリックとしては、土地の主が王国だろうが帝国だろうが関係ないと言えば関係ない。無駄にもめないで済むならどっちでもいい──のだが。

「──今の帝国のトップは、相当な切れ者らしいですからね。併呑した領地を調査しないなんて手抜きは、期待しない方がいいでしょう」

「……ナザリックの存在が知れたら、どう出ますかね」

「わかりませんが……領地内にいる以上、最低でも、課税とかは免れないですよね……最悪、モンスターの巣として、討伐対象に……」

「……どっちにしろ、NPCの反応が怖い」

「……そこなんですよね~~~!!!」

 今のところ『無辜の者に手を出すな、無用な諍いを起こすな(自衛は許す)』という指示に従い、(多少やらかしつつも)概ね情報収集に徹してくれているが──

 そんな事態になったら「至高の御方々を下に見るとは不敬な!」とか「そっちから手を出してきたのですから、正当防衛ですよね」とか言って、全力の実力行使に出る未来しか見えない。

 ──モモンガとヘロヘロが異形種として会話していたなら、「いっそ、それもありか」という方向に流れる可能性もあった。

 しかし、ルイの件で“精神の異形化”を深刻に受け止めていた二人は、できうる限り人間形態でいるようにしていた。

 ()()としての二人は、“人間との戦争”を当然の感覚で厭い、頭を悩ませる。

「──もういっそ、ナザリックだけで独立したい……」

「できればいいですけどね~……それこそ戦争沙汰でしょうしね……」

 げんなりしたモモンガの言葉に、ヘロヘロは乾いた笑いで返す。

 と、二人の間の煮詰まった空気を動かすように、ノックの音が響いた。

「──ご歓談中失礼します、パンドラズ・アクターです」

「ああ……いいところに来た。入れ」

 モモンガの言葉に、ルイを伴ったパンドラズ・アクターが入室する。

「とりあえず、ルイ殿の装備を調えたので、お披露目をば、と」

 黒髪の少女の姿になったルイは、居心地悪そうにそわそわしている。

 いかにも清楚なお嬢さんというような、品のいいロングのワンピース。装飾品もそれに合わせて固められていた。

 パンドラズ・アクターと、ルイの世話役をしているペスとシズ、渾身のコーディネイトである。

「……な、何か、こんなすごい装備お借りしちゃっていいんでしょうか……?」

「……あれ? その服、“伝説級(レジェンド)”じゃなくて、“聖遺物級(レリック)”?」

「ん? 何で……ああ、種族とレベルの制限か」

 しかし、装備しているルイ本人も、お披露目された二人も、デザインよりも性能に意識がいっていた。 

「……はい、父上のご推察の通り、“伝説級(レジェンド)”で装備できるものがなかったのです。その分、アクセサリの類は奮発しました」

「──うん、状態異常の対策はばっちりだし、防御力もレベルの割には十分だな。よくやった、パンドラズ・アクター」

「ありがたきお言葉。──ですが、そのお言葉は、どうぞペストーニャ殿とシズ殿にも」

「ああ、わかった」

 病み上がりのルイを立たせっぱなしには出来ないので、二人を席に着かせ、室外に控えているペストーニャとシズに茶を頼むついでに「よくやった」と声をかけておく。

 その一言で花でも背負ったような空気をまとったメイド二人は、素晴らしい手際でお茶を淹れてから、再び室外へ戻っていった。

「……この資料は、この辺りの国家情勢についてですか」

 と、卓上に広げられた資料に視線を向けてのパンドラズ・アクターの言葉に、モモンガとヘロヘロは頷いて、これ幸いと、先ほどまで話していた内容を告げる。

「──なるほど、ナザリックの独立ですか……手は、なくもないかと」

「……戦争抜きでか?」

 息子(パンドラ)の言葉に、父親(モモンガ)が驚いたように目を見開く。

「まあ、ある意味武力行使は伴いますが……相手は、王国自体ではなく、王国に巣くう犯罪組織です」

「──詳しく」

 ヘロヘロに促されるまま、パンドラズ・アクターはその策を語り出す。

 

 ──その日、当人達のまるで与り知らぬところで、犯罪組織“八本指”の運命が確定した。

 




※この世界線のナザリックは世界征服目指してません

転移直後、ナザリックの外を見た一同のやりとり
モモンガ「……いっそ、世界征服とか、面白いかも知れないな」
ルイ「えぇっ!?」
モモンガ「えっ? やだなぁ、冗談ですよ!」
ルイ「あっ、そ、そうですよね! びっくりしちゃいました!」
NPC(冗談だったのか……)
ヘロヘロ「っていうか、正直ナザリックだけで十分だし、世界とか別に要らないですよね」
モモンガ「確かに。ナザリックを守るための情報は要りますけどね」
NPC(『ナザリックだけで十分』……!!!)大歓喜

(なお、目指さなくても、結果そうなる可能性)
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