【前回のあらすじ】
????「タレントくれたら姉を返そう」
ニニャ「わかった!」
ツアレ、妹とは再会するも、セバスルート消失
「よく来て下さった、モモン殿!」
王都についたモモンは、ガゼフに手厚い歓迎を受けた。
ガゼフの自宅は、彼の肩書きには釣り合わないほど質素だったが、彼の人となりからすれば実に
アクトと入れ替わったセバスを紹介し、そのカバーストーリーを語れば、ガゼフはアクトと会えないことを残念がりつつも、その帰郷を喜んでくれた。
「では、モモン殿も、その儀式を待って帰郷を?」
「当初は、そのつもりだったのですが……実は、一応、セバスと一緒に帰郷できるアテが出来まして」
「なんと!」
モモンの言葉に、ガゼフは目を見開いた。
「それは良かった! ──と、言いたいところですが……その割には、モモン殿はあまり嬉しそうに見えませんな」
「いえ、帰郷自体は喜ばしいんですけど……」
口ごもって、セバスに目配せする──ここから先は、モモンの口から語るには気恥ずかしい設定なのだ。
「──実は、モモン様は、我が国で祀る神と縁深い御血統なのです」
合図を受けて口を開いた老執事に、ガゼフの視線が移った。
「神、とは……こちらで祀られている四大神や六大神とは、また別の?」
「ええ。特に名はなく、“慈悲深き方”と呼ばれております」
そうして、セバスは滔々と語り出す。──主にパンドラズ・アクターによってでっち上げられた、
あるところに、魔法を極めた末に、神に等しい力を得た者がいた。
肉体を捨て、殆ど魔法そのものになってしまったその者は、周りの人々の願いを叶えるようになった。
最初は特に目的もない気まぐれに過ぎなかったが、願いを叶えた相手からの感謝の念が心地よく、次第に誰かを喜ばす為の存在へと変わっていったのだ。
しかし、相手が喜ぶからと無償で願いを叶え続けるうちに、“神”は力の使いすぎで弱っていった。
それでも願いを叶え続けようとする“神”を、叱りつけた人間がいた。
「無償で奇跡をばらまくからそうなるのだ! それでお前が損なわれることに、我らが何とも思わないとでも!? 何より、お前に願えば何でも叶うことに慣れてしまっては、我らは堕落する!」
その人間は、かつての“神”にこそ及ばないものの、優れた魔法の使い手だった。
「──元の力を取り戻すまで、奇跡は禁止だ! それまで寝ていろ!」
そう言って、弱りきった“神”を封印してしまったのだ。
“神”を封じた魔法使いは、“神”がくれた奇跡を語り継ぎ、それに感謝を捧げつつも、“神”が無茶をしないように封じ続けた。
その伝承と封印は、その後、魔法使いの子孫に受け継がれてゆく──
「……もしや、その魔法使いの子孫、というのが」
「モモン様、そして、アクト様です」
老執事は、顔色一つ変えずに大法螺を吹きおおせた。
「……“神”相手に説教するとは……すごいご先祖様だな」
「やめてください……」
感心とも呆れともつかないガゼフの言葉に、モモンは思わず両手で顔を覆った。──設定でも結構恥ずかしいから、本当にやめて欲しい。
「──しかし、このタイミングでこの話……まさか、帰郷の方法というのが?」
「ええ──これも縁なのでしょうか。“慈悲深き方”は、つい先だってかつての力を取り戻され、封印から目覚められたのです」
復活最初の奇跡が、モモンとセバスの帰郷──という設定なのである。
「……まあ、そんな訳で我々は故郷に帰ります。──ガゼフ殿も、どうかお元気で」
『──挨拶は済みましたか?』
モモンの言葉に続いて、どこからともなく響いた声に、ガゼフが腰を浮かせる。
手を翳してそれを止め、困ったように微笑んで見せれば、ガゼフはその声の主こそが、“神”だと察したようだった。──実際には、隠密特化の外装を使用したパンドラズ・アクターの声なのだが。
「──ああ、済んだよ。帰ろう」
モモンが答えるなり、モモンとセバスの姿が霞み、消えた──ように、ガゼフには見えたはずだ。
そうして、異邦の神話だけを残して、異邦人達はこの地を去った──ことになった。
「──で、あなたが、例の“異邦の神”ですか?」
突然自分の部屋に現れた謎の人影に、けろっとした態度で話しかけてきたお姫様。
『……そう、ふっつーの態度で対応されると、何だか敗北感がありますねぇ……ちょっとくらい驚いてもいいのでは?』
魔法でもやもやした人影と化したパンドラズ・アクターは、内心も若干もやもやさせて呟いた。──その声も、不明瞭にもやもやさせてある。
「あら、あなたは人を喜ばせる存在であって、別に人を驚かせる存在ではないでしょう?」
『……貴女は、それを信じていらっしゃるので?』
「少なくとも今はそのように振る舞うおつもりだから、そういう話を戦士長に吹き込んだのでしょう?」
にこにこと笑んだままの姫君は──なるほど、先だって入手していた情報の通り、
(──“精神的異形種”ですか……知恵が巡り過ぎるというのも、ある意味悲劇なんですかね……)
はあ、と息をついてから、パンドラズ・アクターはさっさと本題に入ることにした。
『では、そのように振る舞いましょう。──貴女の願いを一つ叶えてあげるので、こっちのお願いも聞いて下さい』
「対価を取らずに奇跡の大盤振る舞いをした結果、危うく一度滅びかけ、“神”は相応の対価をとることを覚えた──という設定ですか」
『設定って言わないで下さい』
まあ、その通りなのだが。
「私の願いはわかっているんですか?」
『──貴女の専属兵士と結ばれたい、的なものだと予想はしてるんですが』
途端、愛らしかった姫の笑みが、どろりと暗く濁ったものになる。
「ええ……そうよ、その通り──でも、ただ結ばれるだけじゃなくて……鎖で繋いで飼いたいの」
『──は?』
素で、間の抜けた声が漏れた。
「ずっとずっと、私だけを、あの無邪気な子犬みたいな目で見つめてて欲しいの!」
『──あ~……あぁ、そういう……』
拗らせた独占欲、というか、歪んだ感性なりの愛、というか。
『まあ……それなら、正式な婚姻とかよりは、逆にハードル低いですかね』
「できるの?」
速攻で食いつかれて、ちょっと引いた。
『ペアのマジックアイテムで、相手を自分の手元に召喚できる、という効果のものがあります。……それを一度つけたら外せないようにすれば、まあ、鎖で繋いだようなものでは?』
「まあ、素敵! ……でも、私、魔法の才能がないのだけれど、それでもそのアイテムは使えるかしら?」
『特にレベル制限や
「じゃあ、それでお願いするわ!──それで、そちらのお願いって?」
にこにことご機嫌なお姫様に、パンドラズ・アクターは大きく溜息をついてから、盛大にぶっちゃけた。
『──安全に引きこもれる独立した土地が欲しいので、協力して下さい』
──翌日、王国の第三王女は、
「戦士長のお話で聞いた“異邦の神様”が夢に出てきたから、『“八本指”を捕まえて下さい』ってお願いしたの。神様は、『代わりに人が住んでない土地の一部をもらう』って言ってたわ」
などと王へ話し、微笑ましさと苦さの混じった笑みを返された。
しかし、実際にその日の夜に“八本指”が軒並み消え、トブの大森林が
神?『あなたの姫があなたを呼んだ時、すぐに駆けつけられるようになる指輪です』
クライム「なんと……!」
物は言い様。
【ダーリン今すぐ会いたいの!】
(フレーバーテキスト:愛する女性に呼ばれたら、すぐに駆けつけるのが男の甲斐性だ)
男女ペアでしか使えない指輪装備。女性用が召喚する側、男性用が召喚される側。
使用すると、男性装備者が女性装備者と向かい合う形で召喚される。
演出として、そのまま見つめ合う姿勢で3秒の硬直が発生。その間、ラブラブな感じのBGMが流れ、ハートの視覚エフェクトが乱舞する。
(ある年のバレンタインの時期に行われたイベントの報酬。嫉妬マスクとは別方向に非リア充へ喧嘩売った装備だったため、AOGでは早々に封印された)
クライムに渡される際には、デスドロップでしか外せない呪いが付与された。
パンドラがこれをはっきり記憶してたのは、ルイの装備を検討してた時に、緊急SOS用の装備として候補にしたから(使ったところを見ていないのでクソ演出を知らない)
結局、ルイの指輪スロットが各状態異常耐性で埋まったので流れた。
トブの大森林は、カルネ村とか人里を避ける形で、ナザリックのある無人草原地を埋めて拡大しました。