コンテストに出すには欠点が多すぎるので、熟考の末ボツ。
在りし日の語らい
━━魔女。
クロ。お前もこの地に来たのなら、その者達の名前くらい聞いた事があるじゃろう? ……なに? 聞いた事がない? 全く、世間知らずな小娘め。これだからお主は……なんじゃ、師匠に言われたくはないとは? それはどういう意味じゃ!? えぇい、撫でまわすでないわ! 闇に沈めるぞ!?
━━んん、全く、お主といると疲れて仕方がない。なに? 魔女とは結局何者か、だと?
ふむ……そうじゃな。魔女は世界の裏側で生きる、ワシらの総称じゃ。
くふふ、どうじゃ? ワシが魔女で驚いたか? 分かったら今後は確りと敬う様に……なんじゃ、その可哀想なモノを見るような目は。えぇい! 撫でようとするでない! なに、師匠が小さくて可愛いのが悪い? ……お、お主、よりにもよってワシのせいにするか!? くぅっ、こんな事ならもう少し肉体が成長してから魔女になるのであったわ……そうすればこんなチンチクリンではなくナイスバデーだったに違いないに…………ん? 魔女が何なのかイマイチ分からない?
━━━━そうじゃな。そろそろ良かろう。
よいか、魔女というのは世間では悪だと言われておる。火は人を焼き、水は人を飲み込み、土は人を押し潰し、風は人を切り刻む……とな。特に闇の魔女など恐ろしさのあまり魔王と呼ばれる事もある程じゃ。
しかし、それは違う。それは魔女の怒りを買った愚か者の末路が誇張されただけに過ぎぬ。魔女とは本来……守護者じゃ。人々の、あるいは自然の、巡り巡っては星の守護者。それが魔女じゃ。
魔女は人を守り、自然を守り、星を守る存在なのじゃよ。現に火の魔女は敵を焼く事で人を守るし、風も敵を切る事で自然を守っておる。土なんぞその場にいるだけで自然が安定する程じゃ。……魔女が悪と言われるのは、守る対象に、敵の対象に、人も獣も含まれているからなのじゃよ。
ん? ワシは何の魔女で、何を守っておるか、だと? フッ、ひよっ子に言える話では……なんじゃ、その憐れなモノを見るような目は。もしやお主、ワシが働いていないとでも言うつもりか……?
ふ、ふふふ……よかろう。ならば言うてやる。驚け! ワシこそがこの星の守護者にして魔王! 闇の魔女である!
くふふ、どうじゃ? 驚いたか? ……なんじゃ、その可哀想なモノを見るような目は? う、嘘ではないぞ!? ワシはちゃんとした闇の魔女じゃぞ!? 星の守護者ぞ!? えぇい、撫でまわすでないわ!
くっ、百年以上生きて来たがお主の様な奴は始めてじゃ……あぁ、こんな事ならもう少し成長してから魔女になるんじゃったのぅ。そうすればお主の様な小娘に撫でられるチンチクリンではなく、撫でまわしてやるナイスバデーなお姉さんになれていたろうに……なに? 師匠はそのままでいい? ……複雑な言葉じゃな。全く。
まぁ、ともかく今は『魔女は世間では悪だが、実際は純粋な守護者である』という事が分かっておけばよいぞ。それ以上は……今は知らずともよい。
さぁ、お喋りはここまで。修行の続きじゃ。まだ先の話とはいえ、お主には闇の魔女を継いで貰わねばならぬでのう。それ、ハイポーションの生成か、重力魔法の練習か、好きな方を選ぶと良いぞ? どちらかで合格点を出したら今日は終いとしようではないか。今日の夕食は豪華じゃぞー? くふふ。
……………………
…………
……
のう、クロ。
好きに生きていいんじゃよ? 何もワシの後を継ぐ必要性は…………そうか。そうじゃな。お主はそういう奴じゃ。そういう奴じゃからワシは、お主を……いや、なんでもない。
クロ。ワシはお主を━━━━