戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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天使の梯子を上る

さて、何を意味するのでしょうか


レイズ ア エンゼルラダー

その後一日中寝て食ってを繰り返して養分と休憩をチャージした俺はウイダーオンゼリーを大量に買い込み、間宮さんに弁当を工廠に届けてくれと頼んだ

 

大分失礼な行為だが、毎食ちゃんと食べろと説教しておいて、職場に届けてくれと言われれば断りようもなかったらしく、あっさりと引き受けてくれた、

可愛い間宮さん結婚してくれ、、

 

その後、いつのまにか使われているらしい艤装をメンテし、食事し、メンテし、食事してメンテした

最終的に一日中続けてメンテを達成し

 

夜八時あたりから妙なテンションに入り、十時ごろに最高潮になって、十一時になってからはテンションも収まり、さっさと寝て、また朝五時には目を覚ましてメンテを再開する

 

そんな生活を一月ほど進めていたら目の前が真っ暗になったのでまた医務室と五月雨の膝のお世話になり、自律神経失調症と過労の診断が出たので一日休み、食堂で五目チャーハンとワンタンスープをいただき、そこにいた浦風から何かあったのかと心配された

どうも工廠にいなかったからではなく、俺がうどん以外を頼んだのが不思議だったらしい

 

「浦風ェ」

 

俺は泣いて良いと思う、泣くよ?

 

さて、休みが出たのでいくつかの艤装から細かいギアを持ち出して組み立て、直してバラしてまた直す

摩擦や劣化の確認をしていただけなのだが、

なぜか駆逐艦の間で顔面蒼白で無表情な技師がひたすらに歯車をかませているという

ホラー系の話題になってしまったようで、ちっさい子に心配されるという絵面事故を起こし掛けたが、なんとか納得してくれた

 

あと叢雲が様子を見に来てくれた、可愛い

 

「別に心配なんかしてないわよ!一回倒れたのなら次にそうならないように改善くらいしなさいって言いに来ただけなの!」

 

「はいはい、ご忠告ありがとう」

 

「真面目に聞きなさいよ!」

 

「聞いてるよ?で、なんだっけ?」

 

俺のとぼけた聞き返しに見事にキレた叢雲にガクガク揺すられながら

 

「アンタは!少しくらい!自分の事を!省みなさいって!言ってるの!分かった!?」

 

「うぉぅ、、わかっ、、わかったから、、」

 

どこの叢雲もこんな感じなんだろうか?

 

「ほんっとにもう!私がいないとダメダメじゃない!

良い!?明日から仕事は一日八時間までよ!」

 

「それは困る!まだ全艤装フルメンテどころか予備部品さえ充分じゃないのに八時間なんて!半分以下じゃないか!」

 

寝床(工廠の椅子)から無理矢理体を起こして吐き気をこらえてまで

必死に抗議を試みるが、叢雲は聞く耳を持たないどころか、いつも以上の冷ややかな目で睨みつけて来る

 

「何か言ったかしら?私には聞こえなったわね」

 

思いっきり不機嫌な声だった、、

 

「八時間までよ!分かってるわね!?破ったら今度こそ怒るんだから!」

 

さっさと叢雲が工廠を出て行く、その迫力は凄まじく

既に怒ってると思うんだが、、という俺の言葉は口から出ることすらなく消えて行った

 

いや、心配してくれてるのはわかるが、、あれか曙と大井と並ぶアンチ勢の実力か

叢雲、、恐ろしい子だ

 

さらに一月経った頃には体も慣れて来たのだが、やはり夜に急にテンションが上がるのはどうにもならない、川内のせいか?

 

あぁ、川内といえばもう一つ成果がある

 

[川内、川内!]

 

[なーに?]

 

このように、直通ラインでお話しできるようになりました

 

[夜に急にテンションが上がるのはお前のせいか?]

 

[・・・・・多分]

 

「その間はなんだその間は」

 

[だって初めてだったし、いきなり何が何だかわかんないくらいに気持ちよくされちゃって、私も訳分かんないよ]

 

[その言い様は誤解を招くからやめろや]

 

艦橋(あたま)真っ白にされちゃったし]

 

[それまだ言う気かよ]

 

俺は叢雲を追うように移動して、

人にぶつかりかける

 

「うおっと、、失礼しました」

 

「うむ、君かね、最近着任したというこの鎮守府の技師は」

 

 

「この鎮守府の技師は私だけですが、、」

 

ってよく見るとこの人階級大将じゃないか!

危ねぇ、あと一歩で首が飛んでた

 

「ふむ、よし来たまえ」

 

「はっ!」

 

そのまま大将に先導されて移動した先は

提督の執務室

 

「先生ですか」

 

「あぁ、話にあった彼を連れて来た、

さて、神巫蒼羅(カンナギソラ)技術少尉!」

 

「はっ!」

 

唐突に呼ばれて咄嗟に姿勢を正す俺に、大将は笑いながら一枚の書状を手渡して来た

 

「貴官の働きを鑑み、特段の功ありとして

貴官を中尉に昇進とする!」

 

 

「・・・はっ!」

 

慌てて書状を受け取るが、

一瞬処理が追いつかなかった、何があった?

 

「案ずることはないよ、君が今まで上げていた報告書だがね、到底イチ技士が書くような量じゃない、詳細に予測される不都合まで書いてあるとは恐れ入るよ」

 

「えっ?あっはい!不適合を放置するとどうなるかを知っていただくために、詳細に記載させて頂きましたらので!」

 

とりあえず取り繕った表情で真面目に返答しておく、

正直大将ともなると接触の機会は無いに等しいがまぁ、褒められてるならそれでいい

 

「それでな、君の階級は現刻を以って中尉だが、依然として三級艤装技師のままだ、それはいかん、実にいかん

というわけで君、二級受けてみんかね?」

 

というわけでから先が理解できない、、

 

「しかし!実働任期が二年間以上なければ

二級の受験資格は取れないと記憶しておりますが」

 

なんとか要項を思い返して断りの理由を挙げてみる

そんなに急速に成り上がったら自分の権益しか考えていない老害に睨まれるに決まっている!

 

「将官の推薦があればその限りではない、

どうかな?わしが君を推薦しよう」

 

かるく言いくるめられてしまった、

海軍においては上官の命令は絶対である、

つまりは

 

「はっ、、神巫技術中尉、謹んでご推薦をお受けします」

 

こういうことである

項垂れている俺に、加ニ倉さんが奥のデスクから声をかけてくる

 

「貴官も昇進については否やは無いだろうが、なぜそこまでに昇級を嫌がるのだ

禄も上がる、権利も増える、身分も上がる、いい事だろうに」

 

「大本営の技術保守派から睨まれれば失態を偽造されて転落ですよ、、上の座ってのは上に行くほど狭くなるんですから」

 

俺が無表情で淡々と呟いた内容がなかなか刺さったようで加ニ倉少佐は黙りこくる

 

「まぁ、上官の命令は絶対です、(カナエ)大将、お力をお借りします」

 

俺は深々と頭を下げてから退室の許可を求めた

 

「艤装の修理がまだ終わっていないので、工廠の方に戻ってもよろしいでしょうか?」

 

「あぁ、下がっていいぞ」

 

「構わんよ、どのみちそれさえ伝えればいいだけじゃからの」

 

二人とも許可してくれたので

さっさと下がる

 

「失礼しました」

 

退出後、まずは工廠の奥のスペース

作業デスクやCAD・CAMのためのコンパューターが置かれているあたりに行き、ダンボールの中に突っ込まれていた冊子を手に取る、

 

《艤装技師免許二級》というお堅いタイトルの本だが、その裏をよくみると、著者 鼎、、、

大将じゃねえか!

 

まぁ、一番確実な教本と呼ばれてるくらいだし

難関試験と呼ばれている三級をはるかに凌駕する難易度の試験だというし、備えすぎる事はないだろう

 

具体的には一時間以内に駆逐艦(年によって変化)の艤装(大破)を修理するとか

バラバラのパーツからダミーを的確にスルーして艤装を組み立てるとか

油圧シリンジを自作して交換して起動試験するとか

昨年は10センチ高射砲を構成するパーツを写真に写したものから、混ざっている不要なパーツを指定して、そのパーツが何のパーツなのかを当てるとかあったらしい

 

もはや人間の所業ではない

 




人間の所業ではない!(ジェフサ博士)


サブタイの意味は昇格でした!

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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