戦いたくなんてなかったんや

この後めちゃくちゃ夜戦した

流石五月雨、ドジさえなければ有能な艦娘

だもんな

［ありがとう、五月雨］

［どうしたしまして、です］

五月雨かわいい、いい子だわぁ…

［私はっ！？］

［川内も夜戦さえ無ければ良いのに］

［それはもう私じゃないよ！］

どんだけ夜戦命なんだよ

［夜戦に情熱を抱かない私なんて川内じゃない！

反転

それはかわうち！」

「川内もかわうちも同じだろうに、字は」

「字が違ったら人が違うの！」

ジタバタするな川内、

頭の中で跳ねられると邪魔で仕方がないから

「提督が、提督が夜戦禁止…」

［はいはい川内ちゃん、おやすみなさい］

睦奥さんって最近対川内用の能力でも身につけたんですか？

スキル高すぎない？

「そういうスペックです、とは言えないわね…まぁ子供をあやすのは慣れてるのよ」

わざわざ顕現してまでアピールにきた陸奥に、川内が飛びつく

「夜戦したいしたい！」

「あらあら、提督？随分と夜戦を休ませているようですね、夜戦は定期的にしないと川内ちゃんが泣いてしまいますよ？」

「……うぇぇん♪」

「お前ら示し合わせたようなコンボやめろや」

二人の地味な報復は非常に面倒だ

主に対処が、

「「提督？」」

「どうかしたか？」

「それは自分の胸にでも聞いてよっ！」

「私の胸でも貸してあげるわよ？」

「っ！陸奥さん！」

川内が裏切りられた顔で陸奥に視線を向ける

「まぁ胸はどうでも良いとして、夜戦か、そもそも最近俺は寝る時間が無いんだが？」

「昼に寝れば良いじゃん！」

「昼に寝れば執務が滞るし指揮が取れない」

「うぅ、、」

「なんで夜に眠れないのかしら？」

「それはですね、、ズバリ

瑞鶴と川内が話しかけてくるからです」

「川内ちゃん？」

「……（フルフル）」

首を横に振っても事実は変わらない、

君が夜戦の理由一つを潰していた事は変わらないよ

「提督、ごめんなさい、 その

夜戦したくて、できないから、提督に」

そこから先は声にならなかった

「はぁ、、良いよ大体わかった」

「提督っ！？」

川内が途端にキラキラになってこちらへと走り寄り、

「あまり無理をすると体を壊すわよ？」

陸奥の言葉で止まった

まぁ当然だよな？現在ギリギリなんだから

これ以上に負荷をかけることはできない

当然の話だ、だが成さねばならない、

それは川内の為だけにではない

俺の安定的な睡眠の為でもあるのだ！

「というわけで許可する、、今日はオールか…」

ちなみに、オールとはネット民や社畜の間で通じる徹夜の暗号である

まぁわかるよね？

「はぁ…無理はしないでね？」

「やっせーん！夜戦夜戦！夜戦ができるー！」

すげぇ、喜び方が通常の比じゃない…

改二化してまで

これが川内の本来の姿と言わんばかりに喜んでる

夜戦しないと鬱レベルで情緒不安定なのに］

「そこっ！情緒不安定とか言わない！」

「怒られちゃったか…」

まぁいい、静かに撤退しよう

そっと後ずさりながら川内の意識を晒し、、

「逃げようとしても無駄だよ」

速い！回り込まれた

「ほら！捕まえたっ！、提督ー、夜戦ありがとう！」

「あらあら、可愛いわね」

俺の耳の後ろから川内が、囁く、というには大きい声でお礼を言ってくれた、

喜色が伝わってくる声だが

どうやら表情の方も笑顔らしい

川内の笑顔は可愛いから見られないのがもったいないな

「はぁ、提督…これは夜中付き合わされるルートよ？頑張ってね」

陸奥が身体の実体化を解いて消滅した

多分自分の魂界に戻ったのだろう

「夜中…かぁ、まぁ耐えるさ」

「夜戦…夜戦しないと、いっしょに夜戦しよ？」

「耳元で囁く内容に色気が無さすぎるな、減点だぞ？」

「えぇー？自分はずっと秘密を隠してたクセに」

ジト目になった川内が見える…

何故だ、見えないのに心眼で伝わってくる…

「さて、現実側に戻るよ」

「うん！言ってらっしゃい！」

反転

現実側に帰ってきた俺は、、

「さぁ、艦隊出撃だ！」

メンテナンスも終わり、艦娘たちの精神ケアも大体終わっている為、書類まとめに入り……

「あっ、デイリーの遠征やってなかった」

潜水艦にオリョクル出撃を命じた

「でちー！」

「なのー！」

抗議ボイスなんて聞こえない…事にしましょう

オリョクルは少々難しいバランス感覚を伴うが、大体4〜3隻で出撃する事になる

練度と武装によっては2隻でも可

まぁこの辺りは提督なら誰でも知っていると思うが、ゴーヤ、まるゆ、イクの三隻で出撃してもらった

夜が近いので急ぎであるが、文句の10つも言わずに付き合ってくれた、、まぁ俺のミスだ、あとで間宮羊羹でも奢ろう

それでチャラにしてくれると良いが

ダメだったら『誠心誠意対応に取り組んでいく』←政治的表現

しかないな

「羅針盤には従ってくれている、通信も繋がる、戦況モニターも使える、問題はない」

改めて状況を確認する

一応ながら指差し確認である

意味はないが、確認しておくに越したことはないだろう

「提督！もうじき終点なの！」

通信でイクから声が入る、

「よし！急ぎ、帰還してくれ」

「了解なの！」「……はぁ、了解でち」

今日のデイリー分もなんとか回収できそうだ

ちなみに、艦娘の建造は行っても艤装が出てくるのみであり、艤装に対する適性を持った、妖精が見える女性が、低レベル励起状態の艤装に（正確には艤装コアに）触れることで

艤装コアが高レベル励起に移行し、艦の魂にリンク、その際に使用者登録がなされて、身体、精神が書き換えられる

というプロセスで行われる

そのため、解体は純粋に艤装を解体するか

艤装を完全停止して、基底状態までエネルギーを低下させ、艤装を外し、解体する、この二つのパターンに分かれる

コアは何故か低レベル励起状態から基底状態、高レベル励起状態の片方しか移行できず、停止して基底状態の艤装はただの鉄の塊である

コアは実体を持たず、物理的には干渉できないため

これが傷つくと修理は妖精だのみのであるが、ぶっちゃけ練度を代償にすれば艤装の外装や中身は通常素材で修理可能であり、艤装を艤装たらしめている唯一の部品(ブラックボックス)である

が、このコアは資材と同質の《力》で構成されているらしく、艦娘、妖精、深海棲艦はこれに干渉できる

そのため、深海棲艦の艤装コア、深海樹華をいかに効率的に破壊するか、がワンパン大破、撃沈のポイントとなるわけだ

「ち、、もうじき帰還でち！」

「あぁ、、、わかった！」

危ない、聞き流すところだった

ゴーヤの報告を聞いて出撃ドックへ移動した俺は

「提督ー！帰還したのー！」

「早く休みたいでち！、、だめ？」

「ただいま、です」

「はぁ、、お疲れさま、すまないな」

三人を甘味処 間宮へ連れて行き

「日が変わる寸前ですまないが、間宮さん、まだ開いてるかい？」

「ええ、開いてます、24時間営業、とは行きませんがそれなりには長く開けていますから…お三方に、ですか？」

「あぁ、間宮羊羹三つ」

「はい、少々お待ちください♪」

前任がケチって電話を解約して居やがったため、代理官が契約し直してくれたという鎮守府内線で話を通したとはいえ、11時半という非常識な時間だが

間宮さんは笑顔で受けてくれた

「え？いいんですか！？」

「羊羹大好きなの！」

「三つ？、、じゃあゴーヤは無しでち」

「おい、ゴーヤ、何故そうなる

お前とまるゆ、イクで三つだろうが」

「じゃあ提督はどうするでち！？」

「俺はいいよ、夕食はもう食べたし」

「それは流石に…見てるのが辛いの」「隊長、まるゆの分を半分差し上げますね」

「いやだからそれじゃあ代価にならんだろう」

無意味な話し合いが発生してしまった

サプライズ的な突発イベントにする事で、オリョクル=間宮さんの式の成立を防ぐのも目的であったが、説明不足はダメだったか…

「はい、間宮羊羹三つと、、間宮からの優しさ一つです♪」

厨房の方から間宮さんが出てきて、

全員の前に一つずつ羊羹を置いていく、

いや、俺の分は多分『優しさ』おそらくプライスレス…涙が出てくる、

「「ありがとう」でち！」「ありがとうございます！」

「ありがとうなの！」

タイミングが合わないなぁ、、まぁ

そちらの方が『らしい』か

間宮さんの優しさは、とても甘くて

そして、暖かかった