戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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ビギニングナイト

三日後

 

「提督、失礼します」

「どうぞ」

 

「扶桑型超弩級戦艦、姉の扶桑です

妹の山城共々、よろしくお願いします」

 

「長い間意識が戻っていないようだったから、心配したよ、よろしく、扶桑さん」

 

「ええ、こちらこそ宜しくお願いします」

 

扶桑さんが素晴らしいよ、

 

まさに姉属性、年上の女性

「っていうかさ、一言言うよ

デカイ」

 

「?……っ!提督っ!」

 

パッと胸元を押さえる扶桑、

いやそう言う意味じゃない

[提督、、やっぱり大きい方がいいの?]

[ステータスよ!希少価値よ!]

 

「いや誤解だ、そう言う意味じゃない

艤装の話だ、、執務室に良く入りましたねそれ」

 

「執務室の扉は両開きですし、

両方をうまく開けて片方ずつ艤装を外して運び込めばなんとか…」

 

出入りの為にそんな労力を…

 

それ頻繁に出入りするときに戦艦娘は秘書に向かないって事か…軽巡か重巡かなぁ

 

軽巡で秘書向きの艦と言われると大淀さん、、そういえばこの鎮守府大淀さんいるの?

 

「てーいーとーくー……」

 

「フォウッ!」

背筋をびっとり濡れた手でなぞられた様な気分!

 

「ってその声!大淀じゃないか」

一瞬セイバーだ!って叫びそうになったぞ!

 

神風も同じ声帯の妖精がついてるんだけどね?

 

「大淀さん、いままでどこにっ!?」

「忘れ去られて鎮守府近海を漂ってました、前提督以降、代理官さんにも提督にもずっと認知されてなかったのは遺憾ですが、私自身があまり鎮守府にいなかったのも問題でしたね……秘書向きの艦をお求めなら、ぜひ私を」

 

ぐてっとした目から急にキリッという擬音が似合う顔になり

 

 

「問おう、貴方が私の…提督か?」

「お前意識してやってるだろ!」

思わず頭を叩いてしまった俺は悪くない

 

「痛いです…叩かないで……」

「ああっ、また変なトラウマ持ちかっ!?」

 

「大淀さん!大丈夫?」

 

扶桑さんが駆け寄って、静かに泣く大淀を抱きしめる

「大丈夫、落ち着いて…ほら、もう痛くない」

 

頭を優しく撫でながら言い聞かせる扶桑さん

「うぅ、……大丈夫です///」

 

これは堕ちましたわ〜

 

タワーオブキマシ建築開始ですわ

 

「提督!いかに意に添わぬとはいえど、暴力はいけません!」

 

「俺っ?!」

俺はいま、突然鉾が突きつけられる気分だ

 

「トラウマ持ち、その可能性を考慮していなかったとは言わせませんよ提督、じっくりと、提督自身の立場と責任についてお話ししますから、そこに座って待っていてください」

 

「ひぅ…あの…提督は悪くありません…」

「大淀さん、もう立てる?」

 

「はい、お姉様」

「お姉…さま?……私のことをそう呼ぶのは山城だけだと思っていたわ」

 

一瞬思案する顔になった扶桑さん

「提督、もしかして私、お姉様って呼ばせる様な気配か何か出てますか?」

 

「いや、出てないな

たしかに姉と呼ばれる様な気風はあったが」

 

「そうですか、、いつまでも姉ではいられませんし、先に死ぬのは私ですから…姉離れをさせておかないと…」

 

姉離れってなんだ?親離れの亜種か?

親に経済的、精神的に依存する子供って訳でもあるまいに、わざわざ離れるか?それ

 

「提督、誰が立っていいと言いましたか?」

「ヒッ…」

 

「提督には自分の責任についてご理解頂きますので、みっちりとお話ししましょう、良いですね?」

 

「アッハイ…」

「では、そうですね…執務、終了が20:00として、

21:00頃に、私の部屋に来てください」

 

「21:00っすか、ハイ」

 

「それでは、私は医務室に大淀さんを連れて行くので失礼します」

 

去っていく扶桑さん、、マジ怖い、

本当にあったんだな、怖い扶桑さん

 

扶桑さん怖い

 

これ以上はやめておこう

執務は、、終わるかなぁ?

ってか昼食取りにもいけないのか…

 

それは仕方ないから扶桑さんにもらって来て貰う

 

それくらいは許されるだろう

 

二時間後……

「マジで書類終わっちまったぞ」

 

「当然です、私は事務艦ですよ?」

「そうでしたね……それにお前たちも」

(われら秘書ようせい!)

(かわいい?すごい?知ってる!」

(ていとく、辛くなったらいつでも

言ってくださいね)

 

なんだらコイツレベルの知らない子たちなのだが、なぜか妖精のクセに執務に有能

 

何でこんな妖精を今まで知らなかったんだ?

 

この子たちがいたらダメにされるからか

雷はまだリカバリーが効くけど

この子たちは本当に人間サイズですらないからな

 

雷はまだリカバリーが効く

この思考が既に暗黒面(ロリコン)に飲まれているあたり末期なのだが、この頃の俺は気づかなかった

 

「司令官、、ぜぇ、、ぜぇ、はぁ

補給要請…」

 

「暁…わかった、間宮アイスのチケットをやろう、味わえよ?」

「はい……はぁ、はぁ…」

 

暁がヤバいことになってた

あらゆる出撃に志願して、移動は走り回り、食事は最低限、お前せめて暁型の団欒は守れよ

 

明日最後やぞ

 

「はぁ……はぁ、まだよ、私はまだ…戦える…」

 

「バトルジャンキーみたいな事するな」

正直中破ギリギリ状態の艤装を毎回修理してんだけど、資材が削れるねこれ

 

暁は足を引きずりながら鬼気迫る表情で去っていく……

 

すげえなぁ…一睡もせずによく四轍なんてできるよ

俺も頑張るかな

 

「司令官!今日は何の日?」

「社畜には○○の日などない、ただ出勤日があるだけだ」

 

「そう!子日って!そんな悲しそうなこと言わないっ!」

「事実なんだが……子日、お前はどうした?」「うぅーんとね、大淀さんからの伝言だよ、扶桑さんはああ言っていましたが、私は本当に何でもありませんから気にしないでください、って」

 

「なんか気ぃ使わせたかなぁ

まぁぐだっても仕方ないし、一旦医務室にいくかぁ?」

「それはやめておいた方が良いわ、扶桑さんがいるもの」

 

開けっ放しの扉から執務室に入って来たのは、神風

 

「大丈夫よ、本当に意趣返しとかではなくって、心配に返事を返してるだけね」

 

「そうか、、ならよかった」

医務室はナシか、、暁の為の艤装修理はもう終えたし、あとはぁ、書類整理は終わってるしなぁ…

 

よし!ひさしぶりにみんなで昼食を食べに行こう

 

《さんせーい!》

[あら、あらあら、駆逐艦の子達を連れてご飯?][そんな誘拐みたいに言うのはやめてください]

 

[食べ終わるのも一番速いんだからっ!]

お前らは食えないだろうに……

 

ちなみにそのあと、本当に何もすることがなくなって暁に何度か同行したりもしたが、

 

本当に暁が無双していた

 

駆逐艦を砲どころか拳や貫手で沈めて、軽巡の背後を取って砲撃

空母が艦載機を出せば波を駆り立てて水をぶちまけ、衝撃でよろけたところを飛び蹴り

 

艦載機本体の方は機銃を使うのももったいないとばかりにヲ級の艤装を剥ぎ取って投げつける

 

あえて艤装を止めて海面から潜り、潜水艦と殴り合い、浮上すれば戦艦を雷撃

 

お前は何を目指しているんだと言わんばかりの完成度で戦闘している…が、ダメージを考慮していない、あれは俺が回復してくれると信じ切って、完全にダメージを無視して突っ込んでいる動きだ

 

そんな方法ではやがて限界が来るのだが……まぁ、今はリカバリーできているし、まだ様子見かな?

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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