戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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リバースアームズ

「雷ごと寝落ちしてるし

可愛いからいっか、可愛いは正義」

 

パシャっと写真撮影タイムに入った隼鷹は

笑って写真を転送し

 

「早く提督来ないかなぁー」

かなり暇していたので、

 

「待たせたな!(蛇感)」

 

部屋に空母棲鬼を置いて

出撃ドックの更衣室に到着した俺は

ドアを一気に、かつ静かに開けて

ダイナミックエントリーした

 

「ふぅーー、俺、参上!(小声)

生で観させてもらおうじゃないか」

 

そっと更衣室の奥側を見て……

レ級と雷が寄り添うように眠っていた

身長が近い故か、姉妹が一緒に寝ている

と行った風情である

 

「可愛い………」

「可愛い……」

 

「提督、お布団は用意できましたけど……おやすみですか、お風呂は無理そうですね、お二人はどうしますか?」

 

「アタシは、入るよ

流石に忙しいからって、ってかほぼ朝風呂だけど、そのイベント無視したら女として大切なものを失う気がする」

 

「俺は…提督私室には小型のユニットバスが存在してな……以前の提督の遺産だが」

 

「私ハ大浴場ノホウ二行クワ…

彼処ナラ湯煙デ色彩を誤魔化せるから」

何故居る!?

 

「提督二挨拶シニ…一応泊めてもらう形ダシ」

 

ん?なんかこんな事以前もあったような

って!話はそこじゃない!

問題は、

 

「なぁ、空母棲鬼、お前…

日本語堪能になってないか?」

「エッ?どういう事?」

 

困惑の表情になる空母棲鬼

「それだよそれ!カタカナばっかりじゃなくなってるじゃないか!」

 

「……ソウカシラ?」

「変わってる?提督」

急にカタカナに戻った空母棲鬼にツッコミを入れつつ、置きっぱなしになっていた空母棲鬼の艤装を起動する

 

「俺はこの艤装とちょっとお話をするから、二人は先行っててな、空母棲鬼は残ってくれる?」

「エェ、私の艤装ノ話ダモノ」

 

「…深海棲艦と二人きりは少々心配ですが、仕方ありませんね、隼鷹さん、行きましょう」

「りよーかい、提督もガンバー…やっと酒が飲める〜」

 

お前はそれで良いのか隼鷹…

まぁ良いか

 

ディスアセンブリング(データ抽出)を開始する」

 

俺は集中して艤装の外観を観察する

 

ネジの一本さえ規格がそっくりな別物が存在するのだ、艦娘の艤装と同列には考えられない

構造が根本的に違う上に

半ば生物なので機嫌も損ねないように静かに動かねばならない、艤装技師はトリマーでは無いのだが……

 

「よぉーし、、いける」

 

ネジを外し、装甲板を外し…中身肉塊かよ

SAN値下がるわ

随所にある機械的なパーツは艦娘の艤装と共通の構造を持っていたため、ある程度目星が効き

 

完全に分解することができた

しかし

艤装の機能が停止してもガリガリと動いている黒塗り艤装…いや体色なのかもしれないが

 

「ヴァァエ…」

「びぎぃっぃい(小声)」

 

「ヴァアァヴェマァ」

「ぴぎいっっぴぃいぅぃ!!」

 

会話してる……

 

帽子の中から上半身だけ(?)出して小声で会話してる

お前たち別種同族と意思疎通出来たんか…

 

でも可愛い、

 

「ぴぃっびっぴいぅいえぅ!」

「ァゴァヴェァアー、、ガァヴ」

 

謎語過ぎて理解できない…

 

「ピィィキヒキキ」

出撃して来たー!めっちゃ驚いた!

赤タコヤキ艦載機が空母棲鬼艤装から一匹で出てきた後は本体側の艤装は沈黙している

 

「びっぴぃぃぴっ!」

「ピィピィィピッ!」

 

こくん、と互いにうなずき合って、いや会釈してるのか?これは挨拶なのか?

 

「ピィィキグキィイビッピッギィ?」

「びぴぃいびぴぃいぎぃかぃぴ」

 

「ピッピィ!イギピィ!」

「ぴぃぎぃ、、びぎずぃぃぴっき」

 

お前らコロコロ転がりながら会話やめろよ…

「あ、その辺危ない」

 

俺の忠告も虚しく、ころころ転がる艦載機ども(タコヤキ)は地面に伝っていたコードに近づき

 

「ぴっぃぎ!」「ピッィギィ!」

やっぱりコードに接触してしまった

 

通電中だから接触禁止って書いてあったのに

 

「びぉぎぎぎうぴきぃ!」

読めるわけないじゃん!って?

 

「お前ら言葉理解してんだろ?」

「ぴぃぎぃひづぎぃ!」

支店が低い?視点か

 

なるほど、壁に貼ってる

紙は床からじゃ見えないか

 

すまんな、お前ら

 

「提督、ソロソロ時間も無いでしょう

朝ニナッテしまうわ」

 

「随分日本語うまくなったな…」

 

「艤装と長イ間分離状態デイルノハ

棲艦二トッテは負担になる、けど

こんな効果あるなんて知らナカッタわ」

 

「そうか、、まぁ会話しやすいのは良い事だと思うよ?意思の疎通は重要だし、言語が通じるか否かで反応も変わると思うから」

 

微笑む

「艤装が外れてイル時間ガ一定ヲ超えると、何かガ薄レル気がする……自分の存在の一部のような、、とても忌まわしいものの様な」

 

「何かわかる気がする……」

「ギタァイガアゥァ」

 

顎を大きく開けた艤装が正面から近づいてきて

 

「うおっ、、マジか」

 

「提督っ!」

「ガブリンチョ」

 

がぶぅ、、と噛み付かれて

逃げそこなった左腕が食われる

 

「♪♪」

ガジガジと噛まれる

「痛い痛いやめなさい」

「ガゥエァア!」

「めっちゃムーチョってか?やめろや」

 

噛まれている腕から血が溢れる感覚があるが、骨までは到達していないようだ、問題はない

 

「♪♪〜!!」

がぶっと噛み付かれた腕が吐き出された

 

「なんだ辛かったか」

 

「ウグェアガァアー」(ふりふり)

尻尾と首を同時に振られても分からん

 

噛まれた左腕には派手な咬み傷と

肉の千切れたような跡と共に

真っ白い()()が残り、、ぐずぐずに溶けた肉が腕を組み上げて行く

 

「うわグロっ!我が腕ながらグロッ!」

数秒と経たないうちに見た目元どおりの腕に戻ってしまった………

 

俺いつのまにか人間やめてる(泣き顔)

 

「……さすが姫君…自身の力の一部を注いでいたとは…」

「なにそれ意味わからん教えてプリーズ」

 

「……姫の持つ、力の一部を譲渡されていたのでしょう…おそらく、その腕の手形が残り」

 

「ってことは返済額が赤になったら死ぬのかな?」「手形の意味が違う…」

 

どうにも訳がわからない

自分の理解を超えた現象がよりにもよって自身に対して発生してしまったのだから仕方ないと言えばそうだが

 

「詰まる所は…提督の肉体はどれだけ破壊されても死ぬことはない、、手形が残っている内は

それは姫級の回復力を注いで作られているから、理解できた?」

 

………

[提督…]

[ほっ、ほらっ!元気出してよっ!大丈夫だって!」

[どこがだよ…….]

 

俺は即座に輝那を取り出し、陸式を装填

自身の左腕に一発、撃つ

 

「これが人間の、提督の腕かよ…」

 

そこには、拳銃弾を弾き飛ばして傷ひとつない肌の俺の腕が、いつもと変わらない風情で鎮座していた…

 

「ていとくっ!それはダメよ!」

「知ったことか…輝那!」

 

自らの首を撃ち抜こうとするその瞬間

[駄目っ!]

反転

 

陸奥に魂かいに引き込まれて

直後に

意識が…暗く………

 

翌朝

 

「ん………ん?なんか違和感が…

??なんでもないか」

 

いつものように目を覚ました俺は、今日の予定を確認しながら、いつものよう執務を開始した




ディストピアとか毎回記憶を失ってるとかじゃなくありません

もしかしたらこんな展開複数あるかも

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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