戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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ショックニュース

[ぁ〜、、つっかれたー]

川内がいい仕事した、と言わんばかりの表情で伸びをしていたので、

 

「お前働いてねぇだろ!」

 

反射的に突っ込んだ

 

[働いてるしぃ、提督の記憶の書き換……サポートとか!]「間の不自然な小声はなんだったんだ」

 

[気にしちゃ駄目なの!]

 

「まぁ、、良いか

それより執務だ………書類管理面倒すぎる」

 

山を作っている書類、殆どは予算申請やイベントの計画書で、艦娘による陳情書や大本営からの連絡などは少数にとどまる

 

「やるか、今日の分」

 

この程度の量なら午前で終わるな

 

「提督!遊んでーっぽい!」

「っぽい!?」

「なのですー!」

夕立、レ級の二人が執務室に飛び込んできて

直後に妖精を抱えた電が飛び込んできた

 

「電、なにがあったか説明」

「!妖精さんが暗いとか息苦しいとか視界が赤いとかって言い出して!倒れちゃったのです!」

 

その腕に抱えられた一体の艤装妖精を見た瞬間、記憶が帰ってくる

そうか、腕食われたんか俺

 

川内と瑞鶴が協力してまで記憶の書き換えなんて…ずいぶん警戒されたものだ

 

「いつ頃からだ?」

「今日の朝なのです!でも……」

「なんだ?」

 

口ごもる電に質問という形で躊躇を振り切らせて

「艦載機妖精や艤装妖精がみんな倒れちゃってるけど、家具職人や応急修理要員とかの妖精さんにはあんまり波及してないのです!」

 

「工廠妖精は!?」

「無事なのです!一部気分が悪い

って言い出した子はいましたが、問題になってはいないのです!」

 

「ならよし、…多分アレだな」

 

俺には今この現象の目星がついていた

それは、

『深海棲艦との戦闘を経験している妖精達にダメージがフィードバックされている』

『感染性は無い』

『戦闘数によって症状の軽重が分かれる』

ということだ

 

家具職人や応急修理要員は直接戦闘しないし

工廠妖精は一部、

武装妖精からの転向組を抱えている

 

つまり、そいつら転向組が

頭の痛くなった奴らに当たる

 

「どうすればいいですか提督!」

「……対処法か…」

 

具体的には戦闘回数そのものを変えることだが、時計の針は一周して元に戻ったように見えても進んでいる、つまり増やすことしかできない…

 

戦闘回数を増やすとはつまり症状の悪化につながる…

どうしようもないな

 

()()()

 

「レ級、夕立は明石の所へ行ってくれ

電は………」

 

………彼は確か死んでないなら

とか言っていたな

 

「医務官を呼んでくれ、里見君なら」

 

「いってくるのですぅ!」

言うより早く去っていった……

 

壁に反射する『なのです』のエコーが聞こえる

 

「鎮守府内線で繋がるんだが…」

11-3、本棟、1階、第3室

医務室につながるコールで里見君を呼び出す

 

「里見君、君の力が必要だ

妖精が倒れている」

 

「………どうにもならないですよ

僕の医術は人間専用です、死んでなければ治せますけど、人間ならの話です」

 

「人間なら…か、なら俺の方はどうにかならないかな?腕が銃弾を弾き飛ばしたんだが」

 

「………かわいそうに、重責でついにイカレましたか」

 

「ずいぶん辛辣だなっ!仮にも協力者だろうが!」

「腕が銃弾を弾くなんて鋼鉄製でもひしゃげるから無理ですよ、逸らすやら擦るならともかくですが」

 

「銃弾を腕に向かって撃つでしょ?」「うんおかしい、まず何故自分の腕を撃つんですか」

 

「そこに手形があるから?」

「山登ってんじゃないんですよ」

 

ブツン、と電話が切られる

まさかガチャ切りされるとは思ってなかった

 

しばらく床で転がっている妖精、に寄りかかられているタコヤキを眺めながら過ごしていると

 

「神巫…提督、本当に大丈夫かい?」

「良いよソラで、本当に大丈夫…ではないな

腕がやられてる…見ろよこれ

昨日食いちぎられたなんて言われて信じられるか?俺は信じないぞ?」

 

俺の腕を見て、軽く引っ張り

 

「これが食いちぎられた?寝言は寝てから言ってください」

 

「やっぱりかよ」「とでもいうとでも思いましたか?」

 

笑いながら言い放った

 

「確かに筋繊維に少々の傷があります、ですが、これは激しく運動した、程度の傷にすぎません

しかし、深層まで一様にとなると

少し妙です」

 

「ヤスリがけでもしたかの様な

一様な広範囲の傷、本来ならあり得ない

人間の身体は表層から深層にかけて構造が変化しますが、各層の間に防御システムがあります、

その防御を無視して、どころか傷つきやすい脂肪層にまで均質な傷なんておかしいんですよ」

 

「つまり?」

「これはまちがいなく、意図的に作られた、かつ、現在の技術では再現のできない構造を持つ傷です、となると既存の思考は役に立たない、信じますよ」

 

「噛みちぎられた後に強引に再生した傷、なんだが」

 

「学会に発表する資料をまとめたいのでちょっと協力してもらいますよ」

グイグイと腕を引っ張られる

「痛い痛い!再生してから時間経ってるけど完全に治ってる訳じゃないんだから!」

 

それを聞いた里見君はニヤリと笑い

「完全に治ってたら誰も信じないですよこんな超再生のモデルみたいな傷!

早く構造解析をしたいので協力して下さいっ!」

 

「マッド系医師ムーブはよせ!」

 

そのあと、結局連行された

 

どうも深海棲艦側の身体構造を調べたいとか言って解体を狙っていた様だが

あの艤装はどうも里見君に対して敵意を示したらしい

 

いい気味だ

 

「身体構造に変化は特になし」

「じゃああの効果は一体…」

「回復に伴う一時的なエフェクトじゃないんですか?その手形とやらの活性化で一時的に犠牲装甲(サクリファイスガード)みたいになったとか」

 

その線か…艦側に体質を引っ張られてる

ってわけじゃなく、一時的な擬似犠牲装甲が発現した、と考えた方が自然か?

ダメージを誘導する装甲なんだし、原理的には出来ないことはないか?

 

「まぁ、わかれば良いか…原理は知らんが

今は消えてる、それで構わない」

 

人間として存在しているんだったら抹殺部隊も二の足を踏むだろう…

 

「あぁ、あと興味深いことがわかりましたよ

あなたの()()()()、どうも変質しているようです、空母棲姫の目に変化したようですね、あと…資材エネルギーの体内流量が異常値に膨れ上がっています、しばらくは儀装の使用は控えてください」

 

「しかし、戦略上俺が出ないわけには」

「なりません、アイヴィと輝那の2つだけで

制限上は精一杯ですから自衛力なんてないに等しい、そんな状態で出させるわけないでしょう

 

それに、妖精の件はあなたが原因だと分かりましたから」

 

はっ?

 

そう発音する前に、答えは明かされた

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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