戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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ハイビスカスの髪飾り:右側

「んで、、そろそろ離してくれないかな?間宮さんにすごく睨まれてるんだ」

 

「離しませ〜ん」「離せません…」

 

「……」

食堂の奥からにっこりとこちらを見ている間宮さんの頭に、ついに青筋が浮かぶ

 

そして、程なくして

その瞬間は訪れた

 

「食堂は騒ぐところでも淫行に励むところでもありません!ご自分のお部屋でなさってください!」

 

直接来た間宮さんに怒られてしまったのだった

ちなみに、龍田さんは俺の腕を軽く捻って関節をキメて、腕を前に押し出すことで俺を盾にして

扶桑さんは俺を腕を強く抱いて身を乗り出し俺を引っ張る形である

 

痛い痛い!左腕から変な手形浮いちゃうからやめて!

 

「うふふ〜?お部屋でって言われちゃったわね〜?」

「提督!戦艦寮に行きましょう」

 

二人ともグイグイ押し付けながらそんなことを言い合うものだからかなり男として忍耐を試されていて集中できない…

 

「あぁん、おうどんが逃げちゃったわ〜」

 

なんとも巧な箸使いで

いかにも偶然の如く麺を天に躍らせてくれ

着地先は…

 

ふょん

 

「あっ、熱っ!て、提督っ」

「ぁ?」

 

扶桑さんの胸元

 

巫女装束型の制服の欠点、布の合わせ部分と開放部、つまり露出面積が広い、という点が最大限に発揮され

 

扶桑さんの胸元にうどんの麺が乗り

反射的に身をよじる様に動いた扶桑さんの胸の谷間に滑り込む

 

「きゃあっ!」

 

[提督は見ちゃダメー]

視界が消失、いや黒く染まる

当然の如くリンク側から干渉してきたのだろう、川内の仕業だ

 

[五月雨ちゃんもダメよ?あれは良くないことなの]

睦奥が五月雨の目を塞ぐ

駆逐艦だからねしょうがないね

 

俺は?

 

さて、目、話してくれない?

[まだダメ…………よし!]

視界が戻った直後、龍田さんが俺の口に麺を突っ込む

 

「ほら提督〜、扶桑のおっぱい麺のお味は?」

 

「…?は?」

……理解できない

それは流石に理解できない

 

「ぁ…あぁ……」

扶桑さんが顔を真っ赤にして伏せている

 

つまり、、本当に?

 

ありがとうございます!

いや違うなこれ

よせバカ!これも違う

 

美味しかったよ

当たり障りはない、よしこれだな

純粋にうどんとしては

「美味しかったよ」

 

「はぁぅぅ…」

扶桑さんオーバーヒート

机に倒れこむ、ちなみに扶桑さん自身はもう食べ終えていたため、特に被害はない

 

「あらあら〜?扶桑のお味が好みなのかしら〜?」

 

にやにやしながらこちらを見てくる龍田

「いや、単にうどんの味だった

で?そちらはどうだ?」

 

「私はサンドイッチだもの〜、そんなアクシデントは起こらないわ〜?」

 

「くっ!」

 

[対策は当然…上手いわね]

[睦奥さん真面目に検証しないで…]

 

[じゃあ、私は〜、どうぞ?」

 

はくん、とサンドイッチを小さく噛み切って、

俺の方を向き

 

「ん!?」

「んっ!、もう、焦れったいわよ〜?そういうのは男の方から取りにいくものよ〜」

 

「俺にそんな手腕を求めるな!」

口に突っ込まれたサンドイッチを飲み込んでから怒る

余談だが、この時点で天龍と時雨以外の艦娘は甘ったるい空気から逃れるために全員撤退している

 

球磨型が珍しく全員揃って移動していた

 

だからこそ怒れる訳だが

 

[今度私も……][私だって!]

 

[あ、あの瑞鶴さん、川内さん…][[なに?]]

[はうぅ…]

 

圧が強いよ二人とも、五月雨が押されてるじゃないか

 

[龍田ちゃんも攻勢、扶桑は不利ね…提督は頑張りなさい、この攻勢は一時的なものよ]

 

[一時的…?]

[一時で済むの?]

[はぁ……]

露骨にホッとした表情になる五月雨

 

よかったね、助かって

 

「雰囲気とチャンスでノッてるだけよ、本来は奥手な性格だから、すぐに恥ずかしくなって止まるわ]

 

なにそれ…

 

「まぁ、止まるならいいか

そろそろやめよう、龍田」

「えっ?………ごめんなさい」

 

表情がスッと変化していく

たしかに一時的だった様だ…にしてもタイミング良くないかな?睦奥さん

 

 

「別に嫌なわけじゃないけど、ただ周囲にはちょっと配慮しよう、扶桑が倒れてしまったし」

 

扶桑さんの背を撫でながら(セクハラです)

龍田に軽く注意する

 

「…その、…一時の過ちということで」

いつもの余裕はどこへ行ったのか、と疑うほどの挙動不審な状態でチラチラこちらを見ながら謝ってくる

 

「うん、いいよ

誤って改めざる、これを過ちという

悔い改めるならそれは教訓だからね」

 

扶桑さんが徐々に回復して来た様で

気絶寸前状態ながらに姿勢を戻す

 

「提督…ていとく〜」

 

「うぉっ……俺の胸なら貸すが、制服は堅いぞ」

「…そういう時は黙って受け入れてくださるのが素敵な殿方です…」

 

黙って受け入れるのは難易度が高すぎると思う

 

扶桑さんを見て罪悪感が湧いたのか

龍田はやや暗い表情で去って行った

 

サンドイッチ食べてかないの?

なら俺もらうね?

 

「…ん、さっきは端っこだったからあんまり味なかったけど、 キャベツ+トマト+ハムなのか」

 

「…ていとく…受け入れるのは良いですけど、それは流石に自然体すぎです…」

 

「で、泣くの?泣かないの?」

「泣きません!もう止まりましたっ!」

 

ならよかった、、サンドイッチ美味い

もう一個の方はエッグサンドにタマネギが刻み込まれている

 

良いシャキシャキ感が出てるな、

生タマネギってやたら辛い印象があったが、どうやったのかタルタルソースのマヨ風味と絡んで刺激的なアクセントになっている

 

「私の涙は……こんなにも軽いの…」

 

扶桑さんが不幸な気配を纏っている…

「提督なんて嫌いです!」

「ええっ!!?!?」

 

「そんな…泣きそうなのはあえて気にかけず、わざと放置して無駄に傷つけない様にしてたのに…対応を間違ったのか?!教えてっ!今後のために!」

 

「まず傷ついている乙女を気にかけてくださらない時点で失格ですっ!」

 

「轟沈しました」

 

完全に間違った…終わった…さよなら人生

扶桑さんに嫌われた…事務的だったけど優しかった扶桑さんに…

 

「嘘です、…嫌いになんてなりません」

あまりにも沈んでいたからか

扶桑さんも哀れんでくれているようだが、

 

「どうせ俺は人の考えなんて分かりませんよ…」

 

へこんで見せる、

 

「…?提督、「どうしたの?」」

 

食堂にちょうど入って来た蒼龍と飛龍

の二航戦組に救われた

 

「ちょっと扶桑さんを…いや扶桑さんに泣かされただけだ」

「提督っ?!人聞きの悪いことを言わないでくださいっ!」

 

「扶桑さん?その発言は怪しく聞こえるよ?」

「提督、こっちこっちー」

 

「アヒャヒャヒャ!修羅場ってやんのー!」

 

レ級テメェ…処すぞ

 

「ワタシ悪いレ級ジャないよプルプル」

「信じられるかっ!」

 

喧嘩してる訳ではないが

割と激しめな口論をしている飛龍と扶桑を尻目にレ級を追う、ちなみに蒼龍は戦艦+空母×2という重編成で食堂を利用するために

間宮さんの方に行った

 

自分が大食なのはあまりよく思っていないという蒼龍だが

そういうケアはきっちりしている様だ




右側の場合はフリー、恋人募集中

扶桑さんの艦橋は右側です

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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