戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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雨降って地、ぬかるむ

「提督はもう食べたの?」

 

「ああ」

 

「じゃあ仕方ないね、食べ終わるまで待たせるのも嫌だし、先帰る?」

「いや、見ているのも嫌いじゃない」

 

蒼龍は凄いことにあんまり暴食感しない空母なのである、だからこそ、の話だが

落ち着いて『沢山食べる女の子』を見守ることができるというわけ…

 

これが赤城さんとかだったら資材消費が上がる、鎮守府が干上がる、提督の額は上がるの三上がりだ

まさに飛び上がライズ!である

 

アジャンプトゥザスカイもしたくないしターントゥザライダーキックもできない

 

そういえば仮面ライダーって平成初期はリスクあるのが流行ったよね?クウガ〜響鬼までは変身や戦闘にリスクがあったはず

 

ディケイドでは力を制御できなくなって暴走した鬼=牛鬼出て来たしクウガはアマダムの覚醒を受けとめきれずにブラックアイ化する可能性があり、アギトは進化の果てに自爆フォームにたどり着く

龍騎は言わずもがな、契約不履行でミラモンに食われる危険性である

 

まぁこの話は置いておこう

 

取り敢えず蒼龍だ

指定されたテーブル席で飛龍とレ級と一緒にハムハム始めた

可愛い

ちなみに初手はラーメン

 

いやもう初手とかのレベルではない気がするが

 

「おいレ級、おまえも食うのかよ」

「アァ、この体になってからはよく腹が減ル、以前の記憶なんてほとんどナイケドな、なんだか姉妹がいたような気がするんだ」

 

ナポリタンを貪りながらそういうレ級

おろしニンニクと和風だしのパレットまで用意しやがって、ナポリタンのミートソースを途中で食べきって和風にチェンジするつもりだな?

 

いやそれも否定しないが

少なくとも和風はナポリタンとしてどうかと思う

 

「オマエも食うか?」

「…いや、よしとくよ」

「そうか、美味いんだが、まぁ無理に食わせても仕方ないし、勿体ないカラナ」

 

意外なことにあっさりとレ級は引き下がった

いや、単に美味い飯を減らしたくない、という線は否定できないが

 

ちなみにレ級、今日は長袖Tシャツに深い青のジャケット、同色のキュロットスカート

高雄、愛宕みたいに見える

 

可愛いのは否定しないが

レ級がこんなファッションだと深海勢の戦力について議論が必要だと感じる

今度各辺境鎮守府の提督で総会でも開いて例示しようか?

いや思いっきり存在をバラしてしまうからやらんけど

 

「きゃははっ!やっぱり間宮の飯は美味いな!チャーハン三人前追加たのむ!」

「はーい!」

 

おまえどんだけ食うんだよ

 

食客はいいけどタダ飯食いはウチにいると資材的な意味でキツイんだが?

ただでさえ最近は潜水組がオリョクルを嫌がるから駆逐艦の輸送が激しいのに、

 

いや、数が多い分しっかり分散しているからそこまで激しく負担にはなっていないはずだが…やってること前任と同じじゃん

 

あれ?俺達提督って醜くないか?

結局何回首がすげ変わってもやることは同じとか凸凹で醜い、故に舗装し直したい

 

これはバールクス案件ですわ間違いない

クォーツァーの皆さんよろしくおねがいします

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来ないの?

 

そっかゼロワン始まっちゃったからなぁ

十年後くらいに

おまえ達の令和って、醜くないか?

って再出現してくれることを願う

 

「しれーかーん!」

食堂に駆け込んできたのは

「ん?清霜!?おっと、大丈夫か?」

「大丈夫!清霜に任せて!」

「いや任せることなんてないが」

 

「がーん!!」

 

口で言うな、

あと飛び込んできて人に突撃するな

 

そんなの装甲の厚い戦艦か高速の駆逐艦くらいしかしない戦法…清霜ならできるか

 

「ねぇねえ!司令官!

前の司令官はずっとおまえが戦艦になんてなれない!って言ってたけど、司令官なら信じてくれるよね!…ねっ!」

 

上目遣いの扱いを心得ている清霜

計算なのか、純粋なのかわからん

 

 

「残念ながら、それは今後の可能性次第

おまえの改二ならあり得るかもしれんが、いくら近代化改修しても、戦艦の艤装コアをリンクした程度では戦艦にはならないぞ?」

 

「ううぅ、やっぱり改二なの…?

改はできるけど改二はまだ無理なのに」

 

改二は難しいからね、

まず潤沢な資材が要るし、時間もかかるし、純粋な意志と感情が必要だ

意志はどうにかなるかもしれないが

前の提督はほぼ確定で資材を惜しんだな

 

「改二がそう簡単に発現できるはずないだろ?別に気にしやしないよ、そうだな

武蔵ならアテがある、会わせるくらいはできるかもしれないぞ?」

 

当然思い浮かべるのはあの佐世保の武蔵

怖すぎるかな?

 

「えっ!武蔵さんに会えるの!?」

 

キラキラした目でこっちを見てくる清霜

「まぁ、向こうの予定が合えばの話だ、それまでに俺も手土産くらいは用意できるだろうし」

 

十分かはわからないが

取り敢えず手土産は用意しておかないとな

 

大和撫子が望ましいかも知れないが

コレを渡してしまうと大和まで壊れそうで怖い

 

[戦艦だからって、壊れないわけじゃありません…けど、心配してくださるのは嬉しいです]

 

大和さんが推して参って来た

さて、ウチの蔵に

46センチ三連装砲あったかな?

 

「もちろんお前は12.7センチな?」

「えぇー!」

 

「お前が30センチとか積んでみろ

艦体が傾くわ」

 

物理的に積載不能なのだから仕方がない

ドラム缶なら知らないが、清霜は

中以上の口径を持つ方は使えないのだ

 

「提督〜?どうし、、清霜ちゃんかぁ」

「蒼龍さん!清霜は司令官のところでオトナにしてもらいます!」

 

清霜の発言に、戦艦を大人、と表現した以外の意図は無かったと思われるが

 

その瞬間、空気が凍った

 

「は?どう言うこと、提督」

 

凍りついた声で、蒼龍に問われる

「いや、多分戦艦のことを」「そうじゃない、大人にしてもらうってなに?」

「だから戦艦を大人って」「夜なの?駆逐艦相手に夜戦して主砲口径あげて魚雷発射するの?」

 

「その表現やめろ!」

 

「アヒャヒャヒャ!女を変えてまた修羅場か!?提督のお食事は忙しいなぁ!」

 

「見てんなコラッ!」

「そーりゅー?どうしたの〜?」

「飛龍、ちょっと待ってて、いまこの不埒者を成敗するから」

 

声に起伏の伺えない蒼龍が

俺に向かって平手を振る

 

「危なっ!」

 

「このっ!」「ふぉっ!」

 

「あたりなさいっ!」「誰がっ!」

 

平手を何回も躱しているうちに、蒼龍側のリミッターが外れて来たらしい

 

だんだんスピードが上がってくる

まずいなぁ

 

次第にあたりかけるものや掠めるものが出始め

ついに

 

「ふっ!」「ぐっ!」

 

爪の先が擦れて頬を切り、生温い血が溢れる

「いってぇ、、」

 

「ちょっとお二人とも!騒ぎが過ぎますよ!

食堂は食事を取るところであって」「間宮さんごめん、でもさっさとケリをつけないと後で困る」

 

俺は間宮さんを制し

蒼龍に視線を戻す

 

「蒼龍、なにが気にくわないか知らないが、、これは上官反逆、俺には正当にお前を解体する権利がある」

 

階級章を見せびらかすように襟を立てて、少佐の階級をアピールする、、いや低いが

それは提督の中での話、一般的に佐官は高い階級に入る

 

「………」

 

「お前を解体するのは判子1つで済む、だが俺はあえて解体しない、なぜかわかるか」

「………」

「俺にはお前の思考を理解することはできん、故にお前を知るまで、お前を理解し、お前の真意を悟ることはできない、だから俺はお前を反抗的という一方的な括りに入れて強引に解体処置を取る事はない」

 

それをやったら、本当に前提督と同じだからな

 

「俺にはお前の思考がわからん

だから教えてくれ、蒼龍」

 

「………だって、提督が」

「俺が、?」

 

「提督が遠くに行っちゃうから、

帰ってこなかったら、どうしよって、思って、漸くお話できると思ったら、駆逐艦の子と夜戦なんて…」

 

「そこに誤解イィっ!」

 

思わず思いっきり突っ込む

「そもそも!俺は!清霜と夜戦()なんてしません!」

 

「……え?」

「君がどれだけ話を聞いてなかったかよくわかった」

「えええっ?!」

 

「アヒャヒャヒャ!」「蒼龍…変に思い込んで焦っちゃったんだね…」

 

「………………ごめんなさい………」

 

「うん、いいよ、ってまたこの流れ?」

これなんかさっきもやったような

 

「また?」

「さっき龍田さんとやった流れそっくり」

 

「へぇ〜ふぅ〜ん、軽巡の子かぁ

18なら夜戦できるもんね〜」

「待て待て待て、駆逐艦とってのは『別に軽巡相手に夜戦しないとは言ってない』みたいな意味ではなく!俺は」

 

「提督、自分を裏切らないでいいのよ

正直に言って、龍田ちゃん可愛かった?」

「はい」

 

「夜戦したい?」「…………いいえ?」

「嘘」

 

「いや嘘じゃねぇ!」

力説する俺に対して、飛龍がサラダを飲み込みながら告げる

 

「それ、間が空きすぎて説得力ないよ」

 

「…まじかよ」

「で?夜戦する?」

「しない!っ!」

 

俺は捕まりたくない!たとえ法律上『器物』でも!淫行防止条例は俺の心で有効だ!

 

「そう、、じゃあ、私は可愛い?」

「可愛い、っ!言わせたなっ!」

 

「えへへ、、心配させられたし!

これくらい役得欲しいの!」

 

笑顔になる蒼龍

しかし、さすがに

 

「お前っ!都合良すぎだコラッ!」

 

ほのあと、脳内でも同じ質問が繰り返されたことは想像に難くないだろう

 




台風ヤベェです、風で窓ガラス飛びそう

ちなみに、雨降って地固まるが正しいですが
彼の場合は泥沼イベントに突入したのでぬかるんでます

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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