戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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今回ちょっとグロいです


ダークサイド

何故か隅においてあった段ボールを被り

スコーピオンとケルベロスを持って

膝立てでゆっくり廊下を移動し、

 

こっそりと881研究室に潜入する

とは言ってもここは実験棟であり、資料室ではないため、実際一番やばい資料はないが

 

その分…危ない研究の現場でもある

 

ごそごそ侵入して…よし、隠蔽率(ハイドレート)は高い

なんとか誤魔化せてはいる

 

ん、、壁の感触が変わった

 

なんか冷たい……うげっ!

 

これ、壁じゃない、艦娘の足だ

生きたまま…体を壁に埋められてる…

 

なんて、酷い………

愛宕さん、こっちは時津風、あっちの片目無くなってるのは霞…、なんだこれ、耳になんかつけられてる…

感覚器を改造されているのか

 

この長門、なんか左腕にチューブみたいなのが突き刺さってる、これは筋力強化措置か?

 

うおっ、全裸で関節が球体にされてるのはヲ級か?

これは、もう、救いようがない

としか思えないわ

 

「無念だが…すまない、俺は君たちを助けられない…」

壁に埋め込まれていては

壁を破壊しないと出せない

 

俺はその場を通り過ぎて、ダンボールで移動する

 

そして、

 

茫洋とした表情で突っ立っている艦娘や

ガラスの筒、いわゆる培養容器?の中で眠っている艦娘たちの間を抜けて

 

「これか……881の中核は」

 

そこには、大量の書類と共に

アンプル容器が置かれていた

 

こいつぁまぁ、、人類を裏切る用意でもできてんのかオイ…

 

艦娘を殺すためのウイルスなんてよぉ

これは公開するには場所を選びすぎるブツだなぁ

一般には危険すぎる

 

俺は周辺の写真や映像を確保したあと

 

振り返って、また気味の悪い壁を突破

 

出来なかった

 

「おやおや、悪い蛇さんが紛れ込んだものだね」

「………」

一応隅に隠れてただの段ボールであることを主張するものの、ダメだった

 

「僕は881研、第四席花油莱、よろしく侵入者さん」

「…ちっ!いきなりナンバー持ちか」

 

ダンボールを放棄して

立ち上がり、腰の拳銃に手を掛ける

 

第四席、ということはかなりの上位だ

室長、副長、課長の次席、

「さて、侵入者さんにはそこの壁に埋まってもらうとしよう」

 

「あぁん?ザッケンナゴラー」

俺が身分証明書を持っていないからって、いきなりそりゃ過激すぎんぞ

 

「侵入者防止システム、no pain-marionnette起動」

 

「っ!」

 

早撃ち(クィックドロウ)でカユとやらが左手に持っていた何か、おそらくリモコンの類を破壊しようとして発砲

 

しかし、

「拳銃弾ごとき、躱せるさ」

驚くべきことに、奴は銃弾を躱してみせた

 

「じゃあね〜!」

 

 

そして、

リモコンが起動され

 

俺の首に手がかかる

 

「何っ!」

 

反射的に肘打ちで後ろを攻撃

辛くも拘束から逃れる

 

「なんだと………」

 

そこにいたのは、摩耶

 

先程まで、壁に埋め込まれていた摩耶だった

 

「………ゥ」「…ァ…」

次々に、壁の中から出てくる艦娘達

 

「マズっ!」

 

このままでは取り囲まれる!

 

「クソッ!」

 

発砲を決意して銃を向け

「…フッ…」

 

瞬間移動の如きスピードで突進して来た時津風に轢き飛ばされる

 

「ぬぐあっ!」

最悪なことに、銃が吹っ飛ばされた、仮に回収できたとしても銃身に異常が出ていると思われる

 

「使うしか…」

 

しかし、これは威力が高すぎて生身では使えない代物

 

たとえ艦娘とて物理攻撃によるダメージは防ぎきれない、ゾンビ化していると考えても

 

「原型の残っている艦娘を…()せというのかっ!」

 

俺に、その決断は…下せない

 

「…ニゲ…」

 

俺に向かって、拳を振るう愛宕

その目に、僅かに光る、涙を見た

 

「ァア……」

 

「クソッ!このおっ!」

超速移動する時津風を捕まえて、何度も蹴り飛ばされながらも、なんとか表情を確認する

 

やはり、彼女も、泣いている

 

そう、これは完全なる改造ではない

意思を奪って、思考を停止して

痛み無き操り人形(ノーペイン-マリオネット)に仕立て上げたところで、彼女らの心はいまだ健在なのだ

 

「もうやめろ…お前等は操られてる人形なんかじゃない!」

長門に、霞に、時津風に、摩耶に、愛宕に、瑞鶴に、木曽に

 

 

「……」「…………」

「………ァ…」

 

「コ……ロ……セ……」

 

「………ニゲ………テ……」

 

俺はダンボールの元へ駆け寄り

それを持ち上げ、()()-()0()5()()()()()()の起動キーを入力する

 

「1.3.2…Enter」

『カイジョシマス』

 

ケルベロスを起動し、ガトリング砲身を展開

 

「終わりだ!」

 

GX-05ケルベロスをGM-01スコーピオンに接続

ケルベロスファイヤー

 

弾切れまで乱射する

 

動きの止まった艦娘達、

予測通りだ

 

機械部分まで犠牲装甲(サクリファイスガード)は延びていない

 

「いま、助けてやる」

軍装の上着を開き、中のレンチやニッパーを取り出す

 

「お前達の悪夢は、今日で終わりだ」

 

改造された腕や足は、見た目を戻す程度にしかならないかもしれない、

ガワにさえも、跡が残ってしまうかもしれない

だが、その責任は全て俺が取る

 

「だから、お前達はもう悪夢を見なくていい

 

安心して眠れ、明日の朝にはもう

全部治っているから」

 

艦娘も、深海棲艦も

みな隔てなく、

改造された四肢や感覚器を修復して

服の無いヲ級には俺の上着を渡した

 

「…アリ……ガト…ゥ…」

「あぁ、礼は良い、今は眠れ」

 

陸奥課長に連れ出した艦娘達を頼み、代わりに扶桑さんと車に戻る…結局、

第四席のカユとやらは逃してしまった

掴んだものも、到底公開できる代物では無い、

一部艦娘達を救い出せはしたが

耳や目、腕、足

 

改造されてしまった部位は、

完全には治せなかった

 

霞は眼帯か義眼を強いられるだろうし、

愛宕は電気に過剰に反応してしまう体質のまま、

長門は異常に強化された筋力の調整に苦労するだろうし、時津風は足艤装をつけられない

瑞鶴はツインテールが触角じみた感覚器になって

摩耶は脇腹から胸元、背に掛けて改造の跡が残ってしまった上に、臓器の大半がガラクタと化している

 

正直、急場で手を出して、見た目だけ繕うより、あのまま運んで、ちゃんとした機材や施設のある場所で修理を施したかったが、あのまま運んで

あの醜い鉄に囚われた姿を晒すのは俺が許せなかった、

 

そう、俺が招いてしまった事態

責任は…俺が取る

 

飛んだドライブになってしまったが

最低限のデータや資料は回収できたし

俺の痕跡は残していない

いやケルベロスは使用したが

あれは大本営においてあったもの、陸奥課長はあの後本当に施設に踏み込んでいるから、キーの使用履歴もごまかせる

 

拳銃は借り物、陸奥鉄も入っていない

遺伝子検査だって問題ないはず

 

だが、…カユとやらがみせた動き

視認困難な速度を持つ拳銃弾を躱すとは

明らかに人間業ではない

 

おそらくは、自らを改造している

あの改造艦娘達より進んだ技術で

 

深海棲艦の防御能力や艦娘の艤装などを使える可能性も高い、やはり危険すぎる

 

里見君を頼るか…最悪、他の提督達も頼る必要がありそうだ




艦娘達のサルベージに成功です
一部艦娘達は通常より強化された状態となります、あまり素直に喜べませんが、

まぁマッドってのは、こういうことですよね

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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