へ級が落ち着いたあと、
俺は戦闘指揮を旗艦に委譲して
へ級の尋問に移った
「で、君は現状 艤装を失い
戦力外の状態だ」
「…それハ分カッテ居ル」
「それなら話は早い」
「情報は吐ケナイ…私程度ニハ
何も分カラナイノサ」
そつかぁ……何も教えられてない駒扱いなら仕方ないかぁ…なんていうとでも思ったか
「教えられてなくても雰囲気で何するかくらいわかるだろ」
「イキナリ強引にナッタな」
「本当に強引な人は拷問を始めるんだが
…ここに自白剤という抑制系精神薬があってな?本来は躁状態の緩和に用いるこれを過剰投与すると、なんと思考力が低下して嘘の辻褄合わせが出来なくなるんだ…さぁどっちが良い?」
「なんデモ吐カセテ頂きマス」
「よろしい、真っ当にお話ができて嬉しいよ」
「……なかなかエグい事しますね」
「提督はやることが極端なような」
「何もしないで受け入れる、か
強引に押し通すかの二択なら、俺は強引にでも情報を引き出すよ、それが出来ないのとしないのとは違う」
「まぁその通りですね」
「…ところで、このクルーザーに危険な精神薬は持ち込んでいないのですが」
里見君があらぬ事を呟く
「里見君シーっ!聞こえるだろ!」
「……ハッタリですか」
「いざという時にどうするつもりだったんですか」
呆れたような様子の里見君と
大本営の連絡員、
本来彼は連絡員なんて仕事であるはずが無いのだが、何故か彼は連絡員を名乗ってやってきた
以前、黒杉鎮守府として活動していた創海鎮守府の、俺のいない空白期間、8ヶ月程度の間
提督代理を務めていた人物でもある
何故か今朝方、連絡も無く現れたので驚いたし、もちろん問いただしもしたが
どうものらりくらりと躱されてしまうので、諦めてクルーザーに詰め込んできた
「……トリアエズ、作戦の概要ハ
鎮守府ノ提督交代ニ合わせテ波状攻撃シ、多数の連続攻撃をモッテ鎮守府を疲弊サセ
大艦隊にヨル殲滅を行ウ…」
「モットモ、その先遣ヲ請ケ負ったレ級は裏切リ、鬼マデ味方に付ケテイタ様ダガ。ソレハ置イテ
続いての散発的広範囲攻撃ハ
練度の高サカラ問題ニナラナカッタ為、決戦艦隊ヲ出撃、一気に鎮守府ニ攻め込ンダ
タ級サンの連絡も途絶えタカラ
その作戦も失敗ト判断サレタ」
[さん付けだったんだな]
[ドーモブラック=サン、センダイデス]
[それはさん付けじゃない、サン付け]
どうも黒き太陽の戦士の姿が川内の頭にちらついているようだ
「最後は意気揚々ト攻めて来ル敵艦隊を夜戦襲撃、撤退スレバ戦線を押シ、鎮守府ヘ迫る。それデモ進ムなら姫の元マデ引キ込ンデ包囲殲滅…作戦とシテハ荒いガ
私が知ッテイルノはココまでダ」
「そうか、わかった
ありがとうヘ級」
俺は話を打ち切り、里見君に振り返る
「里見君、この子のために
「?…あぁ、わかりました」
里見君はクルーザー後方のスペースへと去り程なくして戻ってきた
「空けてきました、仮眠室
201でよろしかったですよね?」
「あぁ、十分だ」
俺の返事と共に、里見君はへ級のとなりに移動して、その手に握られたアトマイザーを押して
かくん、とヘ級が眠ると同時に
深く息をつく
「全く、人使いの荒い提督だ
今時古臭い言い方ですよ全く」
「全く二回言うほどかそれ
まぁいい、ヘ級は俺が運ぼう
辺さんは戦況の監視と操舵をお願いします」
「了解しました」
辺中佐はいつもと変わらず
ふわふわとした笑顔を浮かべながら
操舵室へと去っていった
[瑞鶴、川内、もしかして…]
[うん、多分あの人が一番戦場慣れしているんじゃないかな?]
[修羅場をくぐってきたって匂いはしないけど、絶望的な状況に直面するのには慣れてるって感じね]
[司令官さんはそう言うのわかるんですか?]
[一応、最近ようやくね]
相手の格、と言うのだろうか
そう言うものをある程度推し量れるようになった、最初から『強い』『弱い』の基準で測ることはできたが
それは自分という基準での話であり
例えば大和は自分より強い、
武蔵も自分より強い、という状態では
大和と武蔵、どちらが強いのかの判別はつかなかった、最近は視覚的、触覚的認識が可能となったため、だいたいの数値化
が出来るようにはなった
「よっと…軽いな、川内より軽い」
[ちょっと!?私の体重なんて知らないでしょ!?]
[[[5.500トン]]ですよね?]
[それは違うっ!そっちじゃないの!
そんなに重くないからっ!]
[…哀れな……]
必死になってもっと軽いと主張する川内
その時
「戦況が動きました!レ級さんが大破!
南方棲戦姫が中破!」
「すぐ行く!」
主砲撃ち合いって感じか?
艦橋から直接戦況を見る
そこには
「所詮…海ヲ裏切ッタ愚カモノカ」
「…クゥ!殺セ!」
主砲を喪失して艤装から煙をあげるレ級と、薄気味の悪い笑顔を浮かべながらレ級に砲を向ける南方棲戦姫がいた
「艦載機急速発艦!」
空母棲鬼300にも及ぶ制空力に物を言わせて、強引に艦載機を飛ばし
「ホウ…ナラバオ望ミ通リ…死ネ!」
「トデモ言うとデモ思ったか!」
レ級は南方棲戦姫の主砲を見事に回避した
「…南方棲戦姫!貴様ノ敗因ハ
イツマでも艤装の恨みに囚われていた事だ!」
味方艦隊により、
すでに配下の深海棲艦はほぼ撃沈され
それでもレ級との一騎打ちに固執した結果がこれだ
そう、南方棲戦姫、奴は
自らの艤装の力を使いこなせずに
呑まれたのだ、深海の呪詛に
「バカナ……バカナァガアッ!」
「テメェはもう、沈んでろ」
レ級による魚雷突撃
忌まわしい青く光る魚雷を抱えて
点火、加速する
そして、そのまま
咄嗟に突き出された艤装の防御を突破して
本体に……
600話記念番外編は
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過去編軍学校
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過去編深海勢
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……