忌まわしい青く光る魚雷を抱えて
点火、加速する
そしてそのまま
咄嗟に突き出された艤装の防御を突破して、直接本体に
魚雷を叩きつけ、
「終わりだ」
一言、その宣言と同時に
バガォォン!と耳を揺るがす爆音とともに
視界が灼けるほどの白光
艤装の武器が誘爆した南方棲戦姫は
「ソレデモ!私ハ!」
激しくヒビ割れ、色鮮やかに輝きながら崩壊していく艤装に構わず、再度攻撃態勢を取り
「信ジテいる、イツカ貴女と再び
戦える事を」
「………裏切りモノガ…言うジャないカ」
その瞬間、艤装が完全に崩壊
焼けた両腕、崩れかけた脚
もはや雪のような白であったことなど
到底伺えない、赤く染まった躰
「深海棲艦としテハお別れだ
またな…レ級」
「あぁ、イツカまた…青い海の果てで」
深海艤装のコア、樹華にヒビが入り…砕ける
そして、その直後に
南方棲戦姫の艤装は鉄クズへと回帰し
しかし戦艦として、姫としての強い意志か、すぐに沈むことはなかった南方棲戦姫は
微笑みながらその身を海へと溶かして消え
その内から、美しい女性が出現する
[私です!私!ドロップ艦私です!]
頭の中に、大和の声が響く
マジか…イベントと間違ってないか?
「ドロップ確認…艦は大和だ
大型艦だが、回収するか?」
「頼む、そろそろ大戦艦が欲しかった所だ」
「了解、お寝んね中のお姫さんハ拾っちゃオウネー」
海に直接寝ているのは大丈夫なのか大和
「よっと!」
放り投げられた大和をキャッチ!
っ!!
流石に大人の女性一人ぶん投げられて軽く受け止めるなんて出来なかったよ
[そんなに重くありません!]
[それさっき川内が主張してたよ]
なんとか床に激突は避けられたが
代償に結構無理な姿勢になっちまった
大和を抱えたままで背中を壁にぶつけて倒れこむ
この状態だと人間はまず立ち上がれない上に、意識のない大和の体重で俺の膝に逆方向の力が掛かる
大和が離れてくれればいいんだが
器単体では動かないのは当然
俺がどうするかにかかっている
①大和を腕の力だけで約1メートル放り投げ
起き上がって再度抱きかかえる
②大和を抱えたままで強引に立ち上がる
③誰かくるまで待つ
④グヘヘこれを口実に色々しようぜ!
②実行不可能、④は無い
①か③だけど
①は腕を壊しそうだ…妖精たちのキャパもマズイ、最近頻繁に腕を壊しすぎてて腕が折れる、潰れる溢れ出る!のに慣れ始めているが
妖精たちもそうなるわけではない
③だな
さて、とりあえず待ちか
体温低いな大和…
それに重いけど重くはない
いや何を言ってるのかわからないと思うが
安心してくれ
[つまり、重量として考えれば重いが
人間としては十分に軽い
という意味であって]
[あんまり嬉しくないです!]
大和の抗議を受けながらひたすらに待ち
「提督ー、神巫提督ー?」
そこに通りかかったのは
鈴谷
「…んぉ?提督?どうしたの…意識のない大和さん相手はちょーっと趣味悪くないかなー?」
「んな事せんわ!想像力豊かすぎか!」
「まぁ年頃の女子なんて妄想で半分できる様なもんだし?仮に提督が本当にそんな事しようとしてたら雰囲気で察して」
そこで不自然に言葉を切る鈴谷
「おい、続きは?」
「…物陰からデバガメして
「やり方がえげつねぇよ!
って大和さんどかしてくれ
姿勢的に動けない」
両腕は大和の腰と背を支えて
膝まで使って姿勢を安定させている俺は
大和を外部からどかしてもらわないと動けないのだ
それを見て取った鈴谷は
「……♪!じゃあ
鈴谷のお願い聞いてくれたら良いよ?」
「…言ってみろ」
完全に調子に乗った脅迫くるぞ
どうする…どう対応する
「今度鈴谷と一緒に二人で買い物デートしよ!」
「日程調整の用意は出来てる」
「オッケーでしょ?」
「…………はぁ…」
「もー!露骨にテンション下げない!
そんなんじゃ嫌われるぞ」
「俺は戦力外だから嫌われてもいいや
大淀の指揮に従ってください」
「ちょっと提督!そんなんじゃダメだよ
鈴谷は提督じゃなきゃ…って何言わせてんの!ほら、大和さんどけるから早く立って」
ひょいっと大和を抱えた鈴谷は
板床側に大和を寝かせて
「ほら提督、立てる?」
「あぁ、ありがとう」
俺に手を貸してくれた
普段は行動の軽いように見える娘ではあるが、やはり大人か、
しっかりと気遣いもしてくれる
「ちゃんとした大人の娘はやっぱり思いやりができて良いなぁ」
「思いやりねぇ…実は打算だったり」
「実際に打算の女はそう言わない」
手を借りて立ち上がり
改めて大和を抱えて、客室側は向かう
姫を倒して、海は青く戻った
これで一旦の勝利だ
輸送ワ級?知らん
「テートクー!忘れたらNo!なんだからネ!」
大和を置いて操舵室側に戻ったら
金剛に出待ちされていた
「全く、金剛は甘え…改二!?」
マンガ世界だったら目が飛んでるな
「お前いつ改二になった!?」
「戦闘中にいつもみたいに叫んでたら突然体が光ってこうなってたネ!提督へのLoveの賜物ヨー!」
「お前何やってんだよ…ってか
「愛は軽いより重い方がいいデース!
軽い愛なんて信用できないデース!」
「抱きつくな普段のお前の感覚でそれやられたら死ぬから」
「提督へのLoveを伝えられないなんて辛いデース!」
「地団駄踏んでも変わらないから!
でも金剛ほんと美人になったな」
「…っ!唐突にそういうコト言うのずるいデース!褒めるならもっと徹底的かつ雰囲気重視にするべきデース!」
「だってよ里見君」
「流れるような責任転嫁アンド押し付けやめて下さい」
気絶中の大和を寝かせたまま
その喧騒は鎮守府に帰るまで続いた
600話記念番外編は
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しぐ……しぐ……