陽炎達の帰還をひとしきり祝い
存分に抱きしめ…イヤなんでもない
各鎮守府に艦隊の無事帰還した旨を伝え
隼鷹が秘蔵の酒を持ち出してきた
もちろん俺は飲まないが
その翌日、隼鷹は執務室に来ていた
「お前の酒はどこから出てくるんだ?」
「ん〜?まずは胸元だろ?スカートだろ」
「もういい」
取り敢えず物理的に不可能な事を平然とやらかしているということはわかった
「なんだよ、聞いといて遮るなよ」
「それだけ衝撃的だったと言うだけだ」
少々ながらイヤそうな表情になる隼鷹
に、おざなりながら応えておき
その時届いていた電報を読む
「…………鳳翔さんが来た、鎮守府が目視可能範囲に入ったらしい」
「そっか、階級が上がるほどの功績をつみゃ、とーぜん監視なんて要らなくもなるよなぁ……寂しくなるぜ」
「俺もだ、大した関わりもなかった艦娘ではあるが、一人でもいなくなるのはつらい」
「そう言う意味じゃないんだよ!
その、なんて言うか…さ」
隼鷹は珍しく歯切れの悪いセリフと共に
視線を斜め下に逸らし
「好きな男から、離れたくないんだよ」
そんな事を言う
[提督ー?もう仕方ないって思うけどさぁ、ここまで勇気出してる女の子を邪険にしたらダメだよ?]
[この破壊力……認めるわ…
今は隼鷹さんが…強い!]
瑞鶴、お前はなぜ某
[そもそもお前そのネタはどこで知った?]
[アニメで見たのよ、良いじゃない!
女の子だってあーゆーカッコいいのに憧れても!」
[憧れてたのか][憧れてるの…]
まぁ瑞鶴は置いておいて、今は隼鷹だ
「で、どうすれば良いと思う?」
「そんなの決まってるじゃん!」
俺の質問に即座に反応した川内は
そこまでいってから少々葛藤している
ような表情になり…
「えぇい!浮気はイヤだけど!イヤだけど!もういいっ!私が一番ならそれでいいことにする!」
「………………」
突然なに?話がぶっ飛んでるんですが
「隼鷹さんに指輪渡しなさいっていってるの!もう結婚しちゃったから返せませんって言えば大本営もオッケー出すから!」
………は?
「お前…」
「ええい早く行けっ!このバカ提督!」
そもそも、隼鷹は練度限界に達してないから
指輪はまだ受け取れないし
そもそも俺指輪なんて持ってないぞ?
[そんなの今から鈴谷さん秘書艦にして式の準備任務やればいいじゃん!]
[出来なくはないかもしれないけど、最低だぞそれ]
激しく言葉の殴り合い、いや
一方的に殴られているな、さしずめ
[イヤーッ!][グワーッ!]
って感じだ
[はぁ、見ていられないわね
貰ってくわよ?]
「…提督?」
「隼鷹…俺は個人的にお前を手放したくない」
業を煮やした陸奥に体を乗っ取られる
「お前は魅力的なんだよ、他の誰かなんかに渡したくない、お前と見つめあったままに、時を止めてしまいたいくらいだ」
ゲーテかな?
ファウストの『時よ止まれ、お前はとても美しい』を改変して、お前を永遠にできるなら、時間を止めてしまいたい
と?情熱的だね〜
「提督…」
「隼鷹、もう一度言うぞ
俺のものになれ」
キメ顔カマしてやがる!これは笑う!
10段階中6だからって無理にキメ顔しても
自分で言ってて悲しくなって来た
「………………」
隼鷹固まってるし
[陸奥さん…かっこいいです]
[サミダレェッ!?]
ボンヤリした五月雨の声に思いっきりツッコミを入れて
「よ、よせよ提督、あたしって装甲薄いんだよ
そんなこと言われたら…」
「ふざけるのはいい、本音を聞かせてくれ」
無理に誤魔化そうとした隼鷹の腕を取り
ぐいっと引いて目を見つめる
「本音を言えば、
提督に抱かれて眠りたいよ、でもさ
あたしはあくまで大本営所属の監視艦
提督の側にいるのは規則違反の監視だし、あたし自身の酒依存の対策でもある
だから、一度別れよう?
あたしが大本営でもう一度出世して
私自身を誇れるようになったその時に
提督に抱きしめて欲しいんだ」
「そうか…わかった
俺はいつでも、いつまでもお前を待つよ
いつかお前と再会するときのために」
優しく、ゆっくりと一度だけ
触れ合うくらいに軽く
隼鷹を抱きしめて、離す
「また会おう、隼鷹」
「…うん、提督 またな」
振り向いて、こちらに背を向ける隼鷹
その髪からは仄かに桜の香り
「もともとそんなに荷物とかないから
30分もありゃ片付く、鳳翔さんが鎮守府入りするのと同じタイミングで出るから後の説明よろしく!」
優しく笑う
「了解した、説明は俺がやるよ」
その瞬間、意地悪くも
陸奥が体の主導権を俺に投げ返す
「…今まで、ありがとう、お疲れ様でした」
「うんっ!ありがとう、でも」
さっ、と音が立つような動きで
俺に一歩寄り、
「次は、本人に言われたいなぁ」
頬への、遊びのような軽いキス
しかしそれは、とても熱く
「約束だぜ?提督っ!」
投げ捨てるような言葉と共に
隼鷹は走り去って行った
それとほぼ同時に、鳳翔さんが
索敵範囲に入ったことを知らせるアラームが鳴る
「…バレてたらしいな」
[おかしいわねぇ…提督の演技は
完璧だったはずだけど]
[あれで完璧なら俳優いらねえ!]
しばらく陸奥に説教して、隼鷹との
お別れを鎮守府全体に告知する俺だった
600話記念番外編は
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過去編軍学校
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過去編深海勢
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……