戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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鳳翔は嫁より妻

「航空母艦、鳳翔です。

ふつつか者ですが、よろしくお願い致します」

 

「昔から思ってたけど、その挨拶ってどう考えても」「言わないで下さい、言っている自分でもすこし恥ずかしいです」

 

おやおや…まぁいいか

「日本最初の正式設計型空母と聞く

『最初の一航戦』の実力に期待する」

「お任せください、必ずや

ご期待に応えてご覧に入れます」

 

テンプレートな挨拶を終えて

用意済みの報告書を提出し

 

しばしのフリータイムに入る

 

「鳳翔さんの声ってなんか安心するというかなぁ、聞いてると落ち着く声だよね」

 

ステータス的には特に良い所のない

軽空母としても能力値は低いと言わざるを得ない鳳翔さんだが、単なる鎮守府番に収まるわけでもない

 

艦娘を統制する能力に秀でる鳳翔さんは

鎮守府自体の環境改善や

艦娘、提督間の断絶の緩和など

色々と気を回してくれるのだが、

 

最大の特徴が、この声

聞いているだけで落ち着く

いわば母親の声

 

ちなみに鳳翔さん、五航戦同様に

搭載数が平均化されたスロットを持ち

ホロを全力使用の様な一点特化は苦手

としているが

低位の艦載機でも全滅しにくい

というメリットを持つため

鳳翔さん自身の特異性である

異様に良いコスパを生かして

艦載機の練度上げに使える上に、

烈風や天山などの新型機の獲得に向けた任務のトリガーや熟練搭乗員の育成など

出来ることは多い……もはや

練習艦の仕事であるが

 

「ありがとうございます

…私って母親扱いされることが多いですね」

 

「そりゃ鳳翔さんだし…

まぁいいよね、嫌われるよりマシだ」

 

鳳翔さんが初期装備に持ってきた

九九式艦爆はちゃんと熟練搭乗員付き

 

マジか

 

「一緒に勉強して、進んでいく

っていう初期艦とは違って、航空系における先生とか艦娘自体の運用感覚を覚える艦娘でもあるから

なおさら先達としての扱いを受けるんだと思うよ?」

 

「『鳳翔』が古い空母であることは否定しませんけど、そんな扱いだったんですか」

「まぁ鳳翔さんが綺麗だし、その接し方が良いから、提督が捕まっちゃって鳳翔さんに甘える癖がついたりする事もあると言うし、単純に母親としての気配みたいなのが

あるのかもね」

 

退室許可を出して、

俺も自室に戻る、別に今日することがあるわけでもないし、書類は秘書妖精が

大淀と一緒に整理してくれている

 

どうしても今日書かねばならない、

と言われる様な重要書類はない

 

「……………バカなの!?

おい陸奥!何澄まし顔してんだよおい!

お前の事だよ!」

 

[あら?私は正解の選択肢を選んであげたんだけど?]

 

反転

 

「で?貴方だったらどうしたの?」

「……………」

「ほら、何もできないでしょ?

勇気を出してきた相手に、何も返さないのは失礼じゃなくて?」

 

「ごもっともでございます」

 

ぐうの音も出ない、ぐう

[出てるし…]

 

川内そこ突っ込む所ちゃう

 

「…提督、じゃあこうしましょ?

提督が適切な対応を取れるように

私が選択肢を提示してあげるわ」

 

するり、と近づいてくる陸奥は

そのまま俺に手を伸ばして、

 

人差し指が俺の唇をなぞる

「んふっ…」

「いやどないせぇゆうねん!」

 

「だから、対応しなさいって

こう言う時は、指を咥えてみたりとか」

 

ダメだろそれ

 

[…私もやるっ!」

突然顕現した川内が陸奥に飛びついてくる

「きゃぁっ!ちょっと川内ちゃん?

今はデリケートな所なのよ」

「提督の対応力には問題を感じるから!

この際ちゃんと練習したいっ!」

 

「俺を抜いてそんな話するなよ…」

[大丈夫です、ちゃんと見守ってます]

[そう言う話じゃ無いんだよサミー]

 

まず助けてくれないだろうか

[提督の失言から始まった環境なので

提督ご自身で切り抜けてください]

[意外としっかり区切ってたよ…]

 

ちなみに、現実時間で約10分続いた

 

魂内時間?………察しろ

 

「さて、鳳翔さんも着任した事だし

歓迎会兼懇親会やるか…」

 

準備の方は、部分的に前のお別れ会と歓迎会を流用でコストを下げ

懇親会と鳳翔さん達の歓迎会を統合

して、さらにコストカット

 

さらにさらに、今回の事件で

俺が中佐に昇進したため、鎮守府に

入ってくる額が上がったことも考えて

収支は若干のプラスだ

 

「よし、やるか」

 

絵心のある、器用などのその方面での

スキルを持つ駆逐艦や軽巡艦を動員し

 

空母、戦艦には鳳翔さん、愛宕、摩耶

陽炎、霞、鈴谷の足止めを行ってもらう

 

ちなみに大和には知られているため

仕掛け人(こちら)側に巻き込んだ

 

「飾り付け完了、あとは…」

「こちらも完了した所であります!」

「どんどん運びますよー」

 

あきつ丸と間宮さんのコンビだ

ちなみに、あきつ丸の料理は美味しい

以前のような家庭感は薄れた

どちらかといえば腹を満たすための料理

ではあるが、本人の性格や元々のスキルからか、それなりに整ったものも作れるという

 

実際にやってみせると言って

京料理らしきレシピを提案してきたのは驚いたが、流石にコスト的に足が出るので止めた

 

「というわけで、歓迎会兼懇親会

開催です!」

 

雑やな今回…

 

まぁそんなことはおいて、

 

「今回は、旧黒杉組と創海鎮守府から着任した艦娘の間の距離を縮める目的の懇親会と

新規ドロップ艦、移動艦のみんなの着任を祝う会の複合宴会だ、みんな、精一杯楽しんでくれ!」

 

取り敢えず渡されたマイクで語る

 

男はマイク(背中)で語る…なんか違うな

 

「私が食べる側で良かったんでしょうか?」

「いいんです!今回は鳳翔さんの着任祝いでもあるんだ!貴方が作る側ではしょうがないからね」

 

「このクズ!こんな会あるんだったら

先に説明しなさいよ!」

「サプライズなんで、ごめんね霞ちゃん」

「ちゃん付けしないでよ…クズ」

 

最後のクズは完全に言いがかりだな

「せーんぱいっ!お酒、相変わらず飲まれないんですね!」

「先輩呼ぶな、今や中佐なんだ

提督と呼べ提督と」

「司令官でいいんじゃないの?佐官だし」

「たしかに将官が基本なんだが、なぜ

佐官が提督を名乗るのか…」

「…また悩んでる〜ほら司令!

タンドリーチキン好きだったでしょ!」

 

「いやたしかに好きだが」

「文句言わないっ!ほらあーんっ!」

 

《ざわ…ざわ》

 

「周囲から視線を」

「ほら!早くっ」「はいはい、熱っ!」

パッと口に突っ込まれたタンドリーチキンは

予想以上に熱々で

口の中を火傷しかけた俺は

焦って水を飲み…

 

「…チッ!」

「いや間違えたりしないよ?!」

 

ギャルゲーでは間接キスが基本の流れだが

俺はそんなバカな話をしてやる程甘くない

 

「…せっかくチャンスだったのに」

「露骨にそういう事を言うから陽炎は」

 

「撫でて」「はいはい」

 

こいつはこういうやつだったよなぁ

なんか短文の命令口調で

強引にやらせてくるんだよ

 

「司令、もっと」「はいはい」

 

俺は鳳翔さんにアイコンタクトを送り

陽炎が目を閉じているうちに手を入れ替え

 

「司令…まだ離しちゃだめ」

残念だったな、撫でているのは鳳翔さんだ

 

………ってか寝たぞこいつ

「おい、撫でるのはいいが寝るな

寝るなら部屋にしろ」

「…んにゅう…」

 

「…………」

 

危なかった、あれは破壊力高すぎる

「提督、この子は私が」

「大和…お前に気を使わせても」「提督が気を回しすぎてもいけません、私はこれでも戦艦ですよ?

周りに気を使わせてしまうのも

居心地悪さの素です」

 

「そうか、配慮ありがとう」

 

大和がさっと陽炎を抱きかかえて

去っていく…可愛いのは良いんだが

周りに気を使わせてしまう事があるからなぁ…昔はそんな事なかったが、艦娘になったからか

 

「まぁそんな事もある、よぉし!

雷、ちゃんと楽しめてるか?」

 

俺も積極的に席を回ることにした

「ぱんぱかぱーん!」

「にゃしいー!」

「なのですー!」

 

何やってるんだあいつら

「司令官さん、こっち来てください…」

 

「ん?どうした?」

俺がその時、電が抱えていた瓶のラベルに気づいていたら、防げていたはずの被害が生まれた

 

「んうっ!」

「むぐぅ!」

強引に、口移しで注ぎ込まれる酒

流石に電と向かい合った状態で吐くわけにも行かないので、喉を閉鎖して強引に留めて

 

「とぉぉ↑おう↓!なんてねっ!」

鈴谷に絶妙な加減で顎を押されて

強制的な開かれた喉に灼けるような感覚

 

やばっ!のまさ…r

「くひっ、お前らがそのつもりなら

ふはは、はははは

良いよ?付き合ってやろうフヒヒッ!」

 

「て、提督?どうしかしたのです?」

「何澄ました顔で聞いたんだよいまずま、

お前のせいだかんなぁ〜」

 

ちなみに、俺はこの日の事をまるで覚えていない、翌朝、布団から起きたら何故か電が抱え込まれていたり

鈴谷がゴムがどうこうと言ってきたり

暁にジゴロ呼ばわりされたりしたのは印象に残っている

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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