戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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オール電化

「………すやぁ」

 

[ちょっと提督?起きなさいよ!]

[………]

[目標!執務室布団内の提督!やっちゃって!]

 

「おいちょっと待て起きた!起きたから」

翌朝、電を抱えて寝ていた俺は

瑞鶴の爆撃モーニングコールで目を覚まして

 

「司令官さん…なのです」

電に抱きつかれる

 

[提督さーん?]

[俺に言うな何も覚えていないんだ]

 

とりあえず電を剥がして

またくっついてくるのでエンドレスリピート

というわけにも行かず

 

[提督、おはよ…う

ロリコン、クズ!提督!]

[最後のはバカにしてるのか?!]

提督を蔑称にして良いのか?川内よ

 

「単に気温が低いから温度を求めているだけだろうよ、湯たんぽでも与えておけばいい」

 

[で?その湯たんぽはどこから用意するつもりなのかしら?]

[早起きっすね陸奥さん]

[話題を逸らさない、で?]

[…少なくとも執務室には無いよね]

瑞鶴の的確なツッコミが入り

 

[つまり、詰み?]

 

[[[詰み]ね]]

 

三者によるトドメが入る

 

「って昨日何があったの?

俺は少なくとも電を抱えて寝るような

謎の現象を起こした覚えは無いんだけど?]

 

[…そう、知らないならそれでいいわ]

[提督さんも、知らない事にしたら?]

[大好きっていってくれたのに、愛してるって!あの言葉は嘘だったの!?]

 

[突然昼ドラ始めないでくれっ!?]

 

理解が追いつかない俺は取り敢えず

落ち着くべき、と判断して

まずは電を優しく抱きしめて、撫でて

違うと思い立って離し、

 

着っぱなしだったらしい

第一種軍装のシワを伸ばし、コーヒーを淹れて、

ゆっくりと飲む

 

「提督?朝ごはんが出来てますよ〜…あら?」

鳳翔さんが入ってきた

 

この手の役割は新人が請け負う事が多いが

電が寝ているところを急に見られたら

 

「あら〜…えっと、

昨夜はお楽しみでしたね?」

 

「まてぇぇ↑えい↓!」

全力で突っ込む

 

ちょっと熊野風になったのはなぜか…

このイントネーションのせいか

 

「ん、司令官さん…」

[電が完全に事案なんですがそれは]

 

 

記憶にございません(政治家伝統の大技)

「鳳翔さん、お楽しみの内容は具体的に言えるかい?

こう言うとこに誤ってツッコミを入れると逆に損を引く可能性だってあるんだ」

 

「…私にそれを言わせるんですか?」

「…謎の圧迫感…」

 

「ぁ、…司令官さん、鳳翔さん、おはようございますなのです」

「電、説明よろしく」

「………」

にぱぁ、と表現されるだろう笑顔を浮かべて、電は口を開き

 

「昨夜はお楽しみだったのです!

司令官さんは早かったけどお上手だったのです」

 

「ぷらずまテメェおい!

お前の苦手なナス食わせんぞ!」

 

「茄子は…ちょっと苦手なのです…

やめて欲しいのです」

「しおらしい顔すりゃ許すと思ってんのかオラ!何重要な部分抜いて報告してんだよ!」

 

「ふぇぇ、トランプしてただけなのです

スピードのカード重ねるのが早かったのです…」

 

[提督、よかったね]

[お前最初から知ってただろうがぁっ!]

 

川内に抗議しつつしばらく夜戦禁止を言い渡して瑞鶴は最近習得した形態変化で鎖を生やして

魂内に拘束しておく

 

別に緊縛プレイとかでは無い

というかそりゃ縄であって、鎖じゃ無い

 

「で、鳳翔さん…朝食にさせてくれ」

「はい、電ちゃんはどうしますか?」

 

「はわわ、ご一緒させてくれるのですか?」

「…ふざけた事を言い出さないならな」

 

その一言で電はキラキラと輝き始める

「お前な…」

いくら1-1周回するのが面倒だからって

セルフキラとかセコイだろそれ

 

「ご一緒させてもらうのです!」

「俺は安定のうどんな」「ダメです」

 

鳳翔さんに秒で遮られた

「提督は偏食が過ぎます、間宮さんも

問題視されていましたし…なにより

こちらが用意しても出撃や執務やで放置される事まであって、栄養のバランスは到底優れた状態とは言えません

 

ということで、こちらでメニューは決定済みです」

「…エッ…俺の執務って結構時間厳しいんだけど、間に合うかな」

「それは提督次第ですが、十分に噛む事ですよ?急いでいてもすぐに飲み込むのは良くありません、しっかりと咀嚼することは頭にもいい影響が…」

 

完全に教育ママなんですがそれは

 

「…まぁ細かい理屈は私自身も

あまり理解しているとは言い難いですし

省くとして、提督、いざという時のための予備食料の棚を漁っても無駄ですよ?すでにあきつ丸さんが抜いています」

 

いざとなれば朝食抜いて後で即席麺でも食えばいいと思った矢先に機先を制される

 

「…裏切ったな…あきつ丸」

 

「いいえ、提督の状態を鑑みて

それが最善であると判断した彼女の英断です、これは忠臣の諫言ですよ?」

「…言われると耳に痛いね」

 

流石に諦めざるを得ないようだ

「それを忘れて自身を崩すのが暴君、暗君、忠臣の諫言を聞き、忘れぬように留めることができるのが真に賢いお方なのです

…さて、提督」

 

「…………はぁ〜」

 

どうやら抵抗は無意味らしい

 

俺は鳳翔さんに連行されて

食堂へと赴いた

 

1時間後

 

食事マナー講習とかどうでも良いとか言わずに受けておいてよかった、

 

お陰で鳳翔さんに叱られずに済んだ

 

マナーは最低限守っておけば そうそう叱られるようなことはないようだが

ここぞと言わんばかりに食わされてしまった…しかし

執務は午後からの予定

艦娘側の騒ぎもない

現状することもない…

 

なら、

 

ヒャッハー!メンテの時間だー!!

 

技師用の装備に換装を終えたのち

工廠へ移動して、

その高い気温に驚く

 

擬似作動環境下で主機のテスト稼働を行ったりする関係上、ボイラーなどが必要になるため

いつでも基本的に暖かいのだが

ここまでの温度になる事はあんまりない

 

という事は

 

「ふぅ〜…やっぱり暑い…」

明石が何かやっているという事だ

 

「ガスタービンか?」

「新シリーズの高速化装備を開発中でして

その関係でー」

「まずお前は服をどうにかしようぜ」

 

今の明石は作業着(ツナギ)をひどく着崩したような状態で、上着を腰に巻いてシャツだけを残している、と言えばわかるだろうか

 

さらに言えば気温が高く、

明石はひどく汗をかいている

 

当然の帰結として…

「透けてるからさ…」

 

「なっ!…見ないでくださいっ!」

ガバッ!と胸元を覆いながら噛み付いてくる明石

 

しかし

 

「……さて」

警戒中の明石は素通りして

明石が仮組み、実験中らしい新型タービンも素通りし、俺は

積み置かれている艤装の前に立ち

 

「ドーモ、艤装=サン、メンテ棲鬼デス」

深くお辞儀したあと

 

「イヤーッ!」

ふざけながらの作業というわけにも行かないので、ここからは真顔に戻り

おなじみの空工展開

 

艤装を的確に分解してパーツを点検していく

 

「…あのー、私、下着晒したんですけど

これでも乙女なんですけど!?」

「…………」

 

「あっごめんなに?聞いてなかった」

「…もういいです…」

 

全ての艤装のメンテと、ついでに輝那と大和撫子のメンテも終えて、暇になった頃には

明石の新装備開発も終わっていた

 

「なんか悔しいです…」

「ん?」

「なんでもありませんっ!」




今回の主役:電+明石

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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