戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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私だってheroineデース!

その後、俺は明石によるウザ絡みを切り抜け、全部の艤装メンテと数、種類、艤装の重複の確認、予備パーツの製造を終えて

 

…また明石に絡まれ、

格好についての意見を求められて

セーラー服の明石って割と普通に街に居そうな感じがする、という感想を述べたところ

なぜか怒られ、

 

スパナで叩かれそうになりながらも

ごく普通に執務室に帰った

 

…旋盤の電源切ってなかったな

どうしよう

 

いや、明石が使うか、NC(数値制御型)旋盤って一度電源を切ると

入れ直した時に原点復帰とか

座標出しと補正値とか全部やり直しになる事もあるからな、古い機械だとそうなる

 

電源を入れなおしてまた補正や座標の調整をしなきゃならない面倒臭さもある

電源入れっぱなしならそれも無いことだし、あとで明石が電源を切ってくれれば良いのだ

 

ぶっちゃけ創海鎮守府に置いてある

NC旋盤は20年モノの中古機体だし

仕方ないだろう

 

とはいえ電源入れっぱなしは

なかなか電気代的に厳しい点もある

作業終了後に確認しに行かないとな

 

「…執務かぁ…」

今日はなんだっけ?費用の支出見直して

10月だから下半期の目標とか出すのか

ああ〜決算期は嫌いだわー

 

「まぁ誰でも同じか…」

忙殺されない程度に頑張りましょう

 

特段に忙しい訳ではないが

書類が多い、判子押すのが作業と化している

一旦全部読んで、判子を押すやつ

否認で返すやつに分けてから

決裁の判子を押していく

 

単純作業だから楽だが、その分長い

 

そぉい!そぉい!そぉい!…

 

ちなみに、終わるのに三時間かかった

 

「ハープーンとか積んでも使えないだろ

何考えてんだ夕張

新型タービンにどんだけ予算取るつもりだよ明石、あと長門は駆逐艦費ってなんだよ

費用の名前からして訳がわからないよ」

 

どうにかしてくれ…鳳翔さんに

こんなクソな仕事をさせるわけにも行かないしなぁ…結局頼るのはアイツか…

 

「大淀に連絡、あと秘書妖精」

 

呼ぶのはいつもの二人だ

あの二人が一番俺の仕事を理解してくれる

 

「テートクー!」

金剛!?

「話は聞かせて貰いマシタ!

これでも提督代理の経験持ちデース!」

 

聞くところによると

長門と金剛の戦艦二人は

全くレベルで執務をやろうとしなかった甘粕提督の執務を代行していたという

そもそも人事を操作して俺を黒杉に着任させたのも二人だと言う

 

策士だな、金剛

 

流石戦艦、書類があるなら

利用しちまえと…なるほど

 

轟沈報告書を出さないで置いて頭数を水増し、大量建造された駆逐艦や軽巡艦で数を水準に達させ

 

グルだった技師を如何なる方法によってか退任させ、二級技師の資格を持つ

俺を着任させた、と

 

ちなみに、鎮守府の等級や司令部レベル

艦娘の数など、諸々の要因によって

着任する人物のレベルも違う

 

あまりに要求値と実際の能力値が

違いすぎると鎮守府に問題が起きるからである…具体的にはメンテが行き届かないとか

 

「あぁ、手伝ってくれるならありがたい

頼むよ金剛…で?対価は?」

「テートクー!そればっかりを気にするのは良くないデース」

 

パァーッ!と擬音がつきそうな笑顔の金剛

「たしかに労働の対価はなあなあで済ませる事は出来まセーン、でもそれだけに拘っても仕方ないデース

善意のお手伝いくらい受けておくノガ賢い提督デース」

 

「…それで良いのか?金剛」

前はデートがどうこうと言ってきたのに

 

「デートはまだ諦めてマセン、でも

私は戦艦(オトナ)デース!まずは外堀から埋めて

搦め手で逃げ道を削れば最終的には結婚に漕ぎ着けられマース!」

 

「それをなんで言っちゃうのか…」

「黙ってたら提督に疑われる可能性もありマス、夫婦に猜疑はあるべきではないのデース」

 

俺の目の前で軽く指を振りながら

再び微笑う金剛

 

「二人でやれば執務(嫌なこと)だって早く終わりマース!そしたら一緒にtea timeデース!」

 

「お前は変わらんなぁ…まぁいいか

金剛と飲む紅茶がマズかった試しがない

今度も期待させてもらおう」

 

「うふふっ、提督、嬉しいデース」

 

ぎゅっ、と抱きついてくる金剛

いつもの強引さはどこへ行った

 

「いっつもバーニングしてられる訳じゃないデース、たまには静かになる事だってありマス」

抱きついたままで抗弁する金剛

「で、いつまで続けるんだ?

このまま書類処理か?」

 

「このまま執務は流石にできまセン

諦めマス…」

 

するりと離れていく金剛、

「さぁ、提督にもう一度抱きつく為!

気合い!入れて!全力で執務デース!」

 

「気合い入れて行くのは妹の方だろ…」

 

セリフを取ってやるなよ可哀想に

「そういえば、もう一人の妹(榛名)が研修に来るんだったな…もう少し後に歓迎会すれば良かった」

 

失策だ、いや色仕掛けに来ているような艦娘相手に歓迎はちょっとないが

逆に歓迎するべきなのか?主に

卒業的な意味で(何とは言わないが)

 

[てーとくー?]

ガン睨みかよ…あと

[その呼び方ちょっと金剛語感染(うつ)ってるんだけど?]

[そんなことはどうでも良いでーす!]

やっぱり感染済みか…

 

まぁ何処にでも感染するような語調だしな

 

「過去のことは気にしても仕方ないデース

未来を見据える事を先に考えマショウ!」

 

「真っ当な事を…まぁ良い、正論だ

榛名のことは…着任前日に考えよう」

 

と言っても3日語の着任ということは

明後日には考えさせられるのだけれど

 

「それは置いといて今は書類の片付けデース!…大淀と秘書妖精ちゃんは呼んでおきマシタ!

これでquad coreデース」

「CPU扱いするなよ…」

 

「失礼します、大淀です」

(秘書妖精ちゃんでーす!)

 

ちなみに秘書妖精がナチュラルに俺の膝に座ったその瞬間、金剛が凄まじいオーラを発し始めて秘書妖精が怯えてしまったため、

実質三人体制である、

 

一番書類処理に秀でる秘書妖精が抜けてしまったのは痛かったが、それでも7時前に終わり

悠々と夕食を摂った

 

鳳翔さんとあきつ丸と間宮さんが

優しい笑顔(笑顔とは本来攻撃的なもの)(なんて口が裂けても言えない)

になっていたのは記憶に強く刻まれている

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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