戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

181 / 649
うっかりの代償

「……よーし、脱出成功…」

 

陽炎を置いて空母棲鬼と鳳しょ…某軽空母から逃げ出した俺は

鎮守府本棟二階、

宿泊用設備室のベランダに来ていた

 

部屋名?暫定的に呼んでいるだけ

サバイバル用品やリネン類が雑然と置かれている部屋だから、端的に表現したらこうなる

 

「さて…ここなら誰もいないかな」

俺はゆっくりと息を吸い

()()()()

 

ここなら、落ち着いて歌えそうだ、

 

「な〜がれゆく とーきーの中

繋ぎ 結ばれる縁 を繰る…」

 

ゆっくりと、独特な拍子を形成する

 

俺の日課的に歌っているだけの家伝の歌だ

下手に内容がどうこうと言うわけでもない

 

「この歌…提督?」

 

この声は…誰?

「ガクッ!夕張ですよ!私!」

どうやらメロンちゃんだった様だ

 

 

ちなみに、夕張メロンはここ最近の品であり、夕張はもともと炭鉱で栄えていた街のため

戦時には夕張の特産といえば石炭

 

メロンちゃん呼ばわりに反抗するのはそう言う理由があったわけだ

 

じゃあ石炭ちゃんと言えばいいのか

と思う俺は悪くないが、流石にそれは女子に対してのニックネームに必要なウィットを感じられない

 

(そこまで大きいわけじゃないが)とか(髪の色が)とかそういう複数種の意味を込めてメロンちゃんなのだ

 

 

「って、俺はなぜメロンについて語っている…」

「メロンじゃありません!…?」

 

夕張は少し大きめの六角レンチを取り出し

俺の前で軽く振る

 

俺の視線がそのレンチ先端を捉えていることを確認して、

「…異常なし、ですね?」

 

「お前は何をしているのか」

「だってなんか変な事を突然言い出すんですから、メロンちゃんとか」

「なっ!口に出してはいなかったはず!」

 

「あっ、やっぱり私のことメロンちゃんって呼んでたんですね!いい加減怒りますよ!」

「メロンちゃんにメロンちゃん以外の呼称はどうしてもうまくつかないんだが」

 

「だーかーらー!メロンちゃんって呼ばないでください!胸なんて飾りですよ!偉い提督にはそれが分からないんです!」

「大和に言ってくれ」

 

そういえば大和、波動砲の話題出すとすごく嫌がるんだよなぁ、

なんでだろ?ダンタリオンの笛とか凄く使い勝手いいし、コンサートマスターの圧縮照射とか外すの考えなくていいじゃん

 

はっ!アレか!Kerberos(R-13A)が波動砲の変更のせいで次元突破出来なかったからか!?

 

いや、違うか

 

「大和さんのは大きすぎず、かと言って小さいとは絶対に言えない絶妙なサイズで、しかも形も良い、バランスが取れてるんですよ!アレは美品です!」

「んな舳先の像みたいな扱いするなよ…」

 

アート扱いされる大和よ

刀持ってきてなく良かったな

 

最近魂側の接続が強くなってきて徐々に『声』が聞こえる様になってきたので

最終的には刀を置いてきても聞こえるかもしれないが、

そうなったら諦めよう

 

「…まぁ仕方ないや」

とりあえず仕切りをつけて

「メロンちゃんはどうしてここへ?」

 

「私ですか?私は…声に誘われました」

「声ね、俺の声?それともまた別の?」

 

俺は意図的に低くしながら夕張に質問しながら、ベランダから部屋に戻り

部屋から徐々に廊下側に移動して

一気に夕張ごと部屋を出る

 

「俺の声だとすれば、それは少し嬉しいけどね、まぁそれはいいや」

 

俺は夕張を連れて鎮守府本棟の1階へ移動、そこから離れて工廠に移動した

 

工廠の通用扉を開けると、

「…あっつ!」

 

ムワッとくる熱気を浴びた夕張が声を上げる、俺はそんな夕張を尻目に工廠の奥へ進み

「よっ!またやってんのか?」

 

奥で溶接作業中だった明石に声をかける

「提督、ちょっと頑張って再設計しました!新型の高速タービンです!」

 

新造してたのか、

「夕張連れてきたから、使ってくれ」

「おおっ!夕張さんなら即戦力!

ありがとうございます!」

 

明石は即座に飛び出して、

死んだ表情の夕張を引いてきた

 

「さぁ!量産に向けて頑張りますよ!」

「私…なんで、工廠にー!?」

俺の巧みな話術が火を吹いただけだ

気にすることはないよ

 

俺はさっさと執務室へ帰る

「さて、」

毎日書く様な見慣れた書類と

机の上で直立している秘書妖精に驚く

(秘書妖精ちゃんなのです!)

[電ちゃんの真似?…?]

「電の真似か?」

 

(なのです!教えてもらったのです!

可愛いのです!)

 

だそうだ、まぁ本人がいいなら

それで良いのか?

 

「電とキャラが被ってしまうが、良いのか?」

(それは良くないのです!)

「じゃあやめとけ」

(辞めときます…… はぁ)

 

残念そうだな、全く

何がどうしてそうなったのやら

 

(とにかく!今日の執務はもうありません!

提督はお帰りください!)

そのまま有無を言わさず叩き返されてしまった俺は、手持ち無沙汰になって、もう一度歌いにでも行こうとした所、今度は吹雪型駆逐艦姉妹(デストロイシスターズ)に遭遇、連鎖的に歌っていたのが俺だとバレてしまった

 

軽く一曲強請られ、歌って聞かせ

また一曲、また、また、

歌っているうちにオーディエンスも増え

コールされる曲も増えていった

 

(で、あなたは!いつまで歌っているつもりですか!そろそろ榛名さん来ちゃいますよ!)

 

「おっと!みんな!今日はここまでだ

もうすぐ研修生が来てしまう!」

 

「My sisterの榛名でーす!」

金剛か明るく宣いながら俺の元へ駆け寄り

「もう視認距離に入ってマース!」

 

「了解!俺も行くっ!」

俺は、見慣れた(まだ見ぬ)艦娘を迎えに

出撃ドックへと急いだ

 

「…高速戦艦、榛名、着任しました。

あなたが提督なのね?よろしくお願い致します」

 

そこではじめて向き合った艦娘、榛名の挨拶を聞いて、俺は

 

「あっどうも、中佐の神巫蒼羅です

よろしくお願いします」

 

「……?」「………」

普通に返してしまった結果、

返答に詰まってしまうのだった

 

こういう時はどうすればいいのだろうか

 

途方にくれた俺は川内に救いを求め

「テートクー!妹に会わせてくれてアリガトー!」金剛に抱きつかれて

そのまま転ばされて腰を打ち

しばらくのたうちまわって、高速戦艦姉妹に心配されてしまうのだった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。