戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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一歩一歩、着実に

翌朝、

扶桑、天龍、白露が研修講師として

出発していった

 

「無事に帰って来いよ!」

 

[オタッシャ重点な]

[忍殺やめろよ]

 

俺たちは研修に赴く艦娘を見送り

視界から消えた頃に

 

「さて、執務に戻ろう」

「はい、榛名は大丈夫です」

執務で書類を片付けている最中に

榛名が近寄ってくる

 

「提督、昨日は失礼しました」

「?…別に失礼などされていない」

 

俺がマジレスのトーンで返すと

「そう、ですか」

 

俯きがちな姿勢で呟く

「では、提督…失礼します」

 

執務室に先に行くという意味か

と俺が安心した瞬間

 

突然、腕が抱えられる

「さぁ、行きましょう提督」

俺の腕を胸元に抱き込みながら歩き出す榛名、そして榛名に強引に引っ張られる俺

 

 

「男の人はこういうのが好きなんですよね?」

「シチュエーションと相手と質感による」

 

榛名はどちらかといえば大きいから

向いているとは思うが

そもそも当て方が不勉強だな、

金剛の自然さや扶桑さんのいつのまに感を頑張って習得してほしい

 

それに関節が若干キマっている

肩関節がめちゃくちゃ痛い

無理に引っ張られたら腕折れるなこれ

 

「提督、気持ちいいですか?」

「…その方面で頑張るつもりならやめた方がいいぞ?、いやたしかに感触は良いが

その腕の取り方は、

逮捕術の関節技に近いから」

 

「えっ?!…あっ!すいませんでした」

パッと手を離して、

今度は恐る恐ると言った様子

そんなに怒られるのが怖いかね

 

「良いかい、榛名…人の手を取るときは

肩から動かすんじゃなく

肩と肘が一直線になるように

手を引っぱる、手首でも良いぞ」

 

俺はそっと榛名の手を握り

優しくひっぱる

 

一瞬体勢を崩して俺の方に寄ってくる榛名

その肩を掴んで体を固定する

 

「こういう動きができれば少なくとも

痛くはならないよ」

 

「…はい」

 

「強引に引っ張られる側にはならない方が良いが、もちろん引っ張る側も配慮する事が重要だ、分かってくれたかい?」

「はい!」

 

そのまま榛名と執務室へ戻り

先回りしてもらっていた金剛に

榛名を引き渡す

 

「さて、俺は執務に戻るから、よろしく」

 

「了解デース!榛名!

私たちは秘書艦業務デース…とはいえ

提督は仕事が丁寧な上に早いノデ、やる事はほとんどないデース…強いて言えば」

 

 

(遊んでー)

(おしごとプリーズ!)

 

「この子達の相手デース」

げんなりするなよ金剛

 

「昨日仰っていた子供の相手って、こういう事だったんですか」

「あぁ、頑張ってくれ

俺が仕事をすませるせいで妖精たちが仕事がないと言い出してな…かといって本当に執務を任せてしまうわけにもいかないし、な」

 

榛名と金剛に目配せする

 

「というわけで…金剛、榛名

頼んだ」

「了解デース!」

「はい!」

 

まぁ珍しいものにたかるというわけで

一斉に榛名に飛びついて行く妖精たち

 

(綺麗な髪ー!)

(おはだきれー)

 

小さくても女の子か…

 

「きゃっ!あの、髪は

引っ張らないでくださいね」

 

巫女服っぽい服(?)の裾やら

頭の上やらに各々居心地良い場所を確保したらしい妖精たち、

 

妖精を全身に付けた榛名を見てクスクス笑っている金剛、あぁ、平和だなぁ

 

[ちなみに現在提督の手元は右手と左手が別の書類を作成してるよ、全然別の文章をバラバラに書きながら考え事なんて器用だね]

 

[川内ちゃん?提督は今集中してるから

ちょっと待っててね]

[睦奥さん?!]

 

頭の中で引っ張り合いはしないでほしい

別に騒ぐでもなくいるだけなら

特に害はないから………あっ!

 

[瑞鶴縛りっぱなしだった]

 

話に出てこないと思ったら、しばらく前に魂の中に拘束して、そこからずっと放って置かれてていたのか

 

[すまん瑞鶴]

 

反転

 

瑞鶴を縛っている鎖を俺の元に戻して…そのまま気絶している瑞鶴を抱きとめる

 

ごめんよ、俺が悪かった

ちょっと忙しいからって忘れてたよ

 

「瑞鶴ー、瑞鶴ーズイズイー?

ズイ (ง˘ω˘)วズイ」

 

「ちょっと!やめなさいよ!」

あっ、起きた

 

「全く!すぐに解いてくれるかと思えば!丸一日ずっと縛りっぱなしって酷いじゃない!」

「ごめんよ、本当にズイズイ」

「本当にズイズイってなんなのよ!全然誠意が感じられないんだけど」

 

瑞鶴は当然怒りだして、

「もーっ!あったまきた!

今度焼肉行くわよ!もちろん奢りで」

「はっ?!」

 

謎の条件をぶつけてくる

「五航戦ゼリー20個買わされるのとどっちが良い?」

「ゼリーで」

「そこはデートにしなさいよ!なんなのよもう、瑞鶴ってちゃんと呼んでくれないし、なんで結局ゼリーなの?翔鶴姉えなの?」

 

なぜ突然の焼肉という女子力の低さが露呈するチョイスをするのか…そこが問題だとなぜ気付かないのか

 

いや待てよ、五航戦ゼリー×20

確か一個500円だから

値段的には万札…焼肉食べ放題と

あんまり変わらないぞ…

 

「私は万札以下なのかー!?」

「うん、ごめん、ガチャ感覚だ」

 

「ぐぅっ……地味に…価値が低い…って言われた気が…」

「おっ、おいおい、落ち込むなよ

いくら777レシピで出たからって」

 

「そんな宝くじとかスロットみたいなのは嫌なの!」

ツインテールがひゅんひゅんしている…

頭振るとこうなるんだな

 

「ほらほら、落ち着いて、瑞鶴」

「これが落ち着けるかー!一日中ずっと縛られて放置されて!挙句ジャックポット扱い

さすがに酷い…」

 

ラストはかなり胃がキリキリする声である…あぁ胃が…

 

胃を押さえる俺に、

瑞鶴はゆっくりと近づいてきて…

「このクズ提督っ!」

 

霞のセリフを盗みつつ俺を蹴り飛ばす

そのまま俺は叩き出された

 

反転

 

「うおっ!」

外側へと戻ってきた俺は、

即座にペンを握りなおして

 

あっぶね、文が崩れるところだった

 

「きゃぁぁっ!」

ごて!と背中から榛名が転がり込んでくる

「うぉっと…」

 

榛名を受け止めて

「大丈夫か?…榛名」

「…はい、はるなは、大丈夫…です」

 

俺の腕を背中を預けた姿勢の榛名

体力を使い果たしてしまったようだ

 

「あぅ、その…提督」

 

「…あっ、すまん、起きれるか?」

「大丈夫です」

 

そんな弱々しい声で大丈夫と

言われても信用できないぞ、

 

「よっと、はい、ちゅうもーく!」

榛名の背中を押して、姿勢を戻してあげてから、声を張り上げる

 

「榛名お姉さんはもう体力限界だから今日はお休みでーす」

 

《えー!》

 

(もっと遊びたい!)

(おひまー)

 

「そんなお前らに朗報だ…じゃん!」

 

妖精たちに机の上の書類の束を見せる

「お前たちには!この書類たちに判子を押してもらう!サインも記入も済んでいるので、判子を頼む!……俺は榛名を寮へ運ぶから、金剛は監視を頼む」

 

「了解デース!」

一応金剛に監視を頼んで

俺は榛名をお姫様抱っこで寮に運んだ

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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