「よし………これで今日の仕事終了!」
明日のことは明日の俺に任せてしまうのが俺の流儀…いや、今日やる分は今日やるのだが
腕時計をチラ見した俺は…
「マジか夕食に遅れるっ!」
全力で走った
駆逐艦に廊下を走るなと言っておいてこれは無いと思うが残念ながら議論の余地はない
鳳翔さんと間宮さんが微妙な雰囲気を作りつつ待っているのだ
遅れたらどうなることか…
「…18:02、2分遅れです」
「なん…だと…」
「提督、時間厳守…ですよね」
「アッハイ」
間宮さん怖いです
「さて、今日は仕方ないので
お叱りは無しでいいでしょう」
鳳翔さん、貴女がナンバーワンだ
立ちっぱなしの俺の手を取り、
カウンター席に座らせる鳳翔さん
そして間宮さんが微妙な表情ながらに
皿を運んできてくれる…
「いや鳳翔さん、圧力上げないで
そんな逃げるみたいな扱いやめて」
「ダメですよ?油断させて逃げるくらいはやるでしょう?」
「俺は出されたものを拒まない主義なんだよ」
生物学的に食性外のセルロースとかカーボンは除くし…毒物指定されるような物もちょっと厳しい
具体的には比叡カレー…いや
比叡のカレーだな、
比叡カレーはレシピ公開されたし、
美味しい(作った)
「珍しく感心できました」
「鳳翔さん!?」
バカにされてる気がしてきた
「提督の私生活は本当にだらしないですから…仕方ないですよ」
「提督の私生活…
仕事面は完璧なんですけどね、私生活面もちゃんとした方がいいですよ」
鳳翔さんも間宮さんも耳がいたいッス
「提督殿」
「っ!」
背後から聞こえた声に身を引き締めて、反射的に肘打ち
「く!…なかなかの反応でした
まさか肘打ちなぞ受けるとは思っておりませんでしたが」
後ろで肘を受け止めていたのは
あきつ丸、改の服装だな
「あきつ丸…すまん、背後から声をかけられると驚いてしまってな、反射的に攻撃してしまった」
「はい、いいえ、後ろから声を掛けられては警戒されて当然であります、それと
忘れられているようですが、自分は艦であります、拳銃程度なら普通に受けても大丈夫であります」
俺の左横に出てきたあきつ丸は
そう言って話を片付ける様子だが
「それは艤装をつけている時だろ
今はちがうよ」
この話は追求する、俺達提督の間でも認識に齟齬はあるが、概ね
艦娘は道具派と
艦娘は特殊な人間派に分かれる
俺は人間派だ、榛名にも言ったが、あきつ丸自身が自分を道具扱いするのは控えてほしい
「しかし」
「艤装をつけていない時はほぼ人間の身体、個人的に鍛えているとはいえ、それでも人間なんだよ
そもそも、そんな難しい話じゃなくても、女の子に拳を出したのは由々しき事態なんだ」
「艦娘は戦闘用の存在ゆえ、
問題になる事もないかと愚考しますが」
「女の子に手をあげるような提督が問題なんだよ…まぁ謝らせてくれ」
「………了解しました」
あきつ丸もまぁ受けてくれたようだ
このくらい素直になってくれれば
榛名問題もすぐに終わるんだが…
「…これは、提督の評価を
見直すべきなのでしょうか…?」
「いえ、このくらいの行動は日常的にある事ですよ…」
そこの二人、何をヒソヒソしている
カウンターの向かい側、厨房の隅で
ヒソヒソと隠れて話していた二人に声をかける
「鳳翔さん、間宮さん…内緒話ですか?」
びくっ!とした二人はこちらに向き直り
「なんでもありませんよ!」
「提督はあきつ丸さんと夕食の方をどうぞ」
と慌てて返してきた
「………」
ジト目で二人を見る
「まぁいいや…あきつ丸はどうする?
まだなら一緒に食べよう」
「提督殿、それでは冷めてしまうでしょう
お二人の気持ちを無駄にしないで欲しいのであります…まぁ、提督殿がどうしてもとおっしゃるならば…」
「じゃあどうしてもだよ」
あきつ丸も隣に座らせて、
お品書きを渡す
俺にはもう用のないものだからな
[鳳翔さんと間宮さんに食事管理されてるもんね]
[栄養を補給すれば充分だというのに
なぜあのように拘るのか]
[はー…この提督は…]
深く溜息をついた川内は
右手の人差し指を揺らしながら
[いい?栄養だけじゃなく、
味、食感、香り、彩り…まぁいろいろ
そういう要素全部揃ってようやく食事なんだよ?提督はちゃんとわかってないでしょうけど]
[おお、料理できる勢は流石だ
……つまり俺単独で作ると栄養と手間しか考えないから餌なのか]
[言い方悪いよ…]
呆れられてしまった
ちなみに、そのあとは特に問題もなくキャベツの千切りと人参のスティック
生姜焼きを平らげ、ジャガイモと玉ねぎのみそ汁を戴き、
熱々の肉で口の中を火傷しながら食事を終えた
ついでに言えば間宮さんの高速調理が見られた、
すっごく早かった、
島風も感心するレベルで早かった
というかあきつ丸が注文するものが分かっていたかのように作っていた
何があればそんなことができるのか分からないが…まぁ間宮さんだもんなぁ
さすが間宮さん、略してさすマミ
あきつ丸は秋刀魚の蒲焼と柴漬けに豚汁
いろんな野菜入りのサラダ
これまたバランス良い食事だった
「…ごちそうさまでした」
「ごちそうさまであります」
二人して食事を終え
席を立つ…俺はそろそろ榛名を迎えに行くのだが、あきつ丸の方はどうするのだろうか
「自分は自主訓練と遠征出撃しか鎮守府を出ないので、この後は訓練であります」
「ナチュラルに心を読むな」
「失礼しました」
真面目に謝る必要もないんだが…
まぁいいか
そうして、俺はあきつ丸と別れて
戦艦寮へ向かった
一応、長門に連絡したので、訪問扱いだ
道の途中で、いきなり視界が塞がれる
「だーれだ!」
「…蒼龍」
「正解!」
目を塞がれるのは割と怖かったが
なんとか対応せずに耐えられた
しかし
「声でわかるよ、それに…」
「?それに?」
「最近話せてなかったからな、前の件の蟠りが残っていたらと心配もしていた」
後ろにいた蒼龍を引っ張り出す
「提督…」「蒼龍、一緒に来るか?」
「へ?」
ポカンとしている蒼龍に
戦艦寮へむかう理由を説明したら
「…なるほどね、わかった、一緒に行くよ」
あっさりとついてきてくれた
よし、金剛型の部屋に突入するぞ
600話記念番外編は
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……