戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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後夜祭

「はぁ〜………

説教はしたくないんだけどなぁ」

 

「夕ごはん…せっかく鳳翔さんと間宮さんがパーティ形式で作ってくれたのに…」

そう、オレンジと黒のエプロンを着けて

ノリノリでお菓子を配りながらも

 

「お菓子の食べ過ぎで夕飯が入らないとかはダメですよ?」

と釘を刺していた間宮さんと

貰う側として子供艦娘を節度を持って統制していた鳳翔さんのおふたり、じつは夕食の用意もしていたらしく

 

ハロウィンパーティにふさわしい

秋物野菜や果物などの彩りある

パーティ料理を用意してくれていた

 

「絶対冷めちゃってますよ…」

「いいんだよ、冷めてからでも美味しいのがパーティ料理の鉄則なんだ」

 

錬鉄の英霊だってそう言っていた

 

「いただきまーす…パンプキンパイ本当に美味しいです!」

「いや一品に限定するなよ…

いただきます」

 

間宮さんのハロウィンエプロン姿

ちょっとしたコスプレ感もあり

実用的でもあり、色々考えられているのがよくわかる

 

[川内は制服の色がこの時期ぴったりだよな]

[季節物扱いなの…?

夜戦用の柿色なんだけどなぁ]

 

[細かいことは関係ない、良いね?]

[アッハイ…奥ゆかしい返事はいいんだけどさぁ、ほんとにハロウィン艦娘扱いしないでね?]

[しないよ]

 

苦笑しながら応じる

 

「ぷっぷくぷー」

「はいはい、蠍座ね」

どちらかというとそれはカニレーザーの頭の飾りだと思うが…

まぁ本人がサソリというのだから

サソリでいいだろう

 

うさ耳で来ると思っていたのだが

本人は蠍座○女をやりたかったらしい

 

こうなると少し…いやかなり

物理的な方向性が違う気がするが

そこは気にしないのだろうか…

 

時刻は22:03

駆逐艦たちはもうそろそろ眠る頃だ

 

「……夕立」

俺は既に首がカクカクしている

夕立に歩み寄り

 

「ほら、ゆっくり味わいな」

新たに購入した(今度は自腹)

飴を渡す

 

「もらってあげるっぽい…ぽい〜」

 

眠そうだな…ってか最後のはアクビか

「ぽい」

 

ついに返事までぽいになった…

おい、心を読むな

 

[無理だと思うよ?結構表情に出てるから]

[顔に出てる! ?]

[ほら、驚きがバレバレ]

 

[ポーカー強いはずなんだが…」

[それ基準になるの?]

 

[……怪しい]

 

脳内で会話していると

夕立が飴を舐め始めた

 

「今度は甘くて美味しいっぽい〜」

「よかったな、それ葡萄味だけど」

 

もちろん葡萄の描かれた包装の飴だ

[…………]

 

表情が消え去る川内

[提督、それよく見て、樽付いてる]

 

[ん?]

[それ、樽を背景にしてる、つまり

葡萄酒(ワイン)の類だよ]

 

[マジ!?いや、夕立は酒大丈夫なタイプのはず]

 

「っぽ〜い」

 

ぎゅうっ、と俺の腕を取って、寄りかかり、そのまま流れるような動きで寝落ちする夕立

 

[ほら、無害で済んだ(震え)]

[…本当に無害かな?]

 

川内は訝しんだ

 

「…多分無害…だと思うが…]

俺はあからさまに寝ている夕立をどかそうとして…

 

「ぃった!」

指を噛まれる

 

そのまま、あぐあぐと俺の指を噛み進め

ついには手首まで飲み込む

 

「おいおい、どうやって呑んだんだよってか窒息すんぞ離せ」

俺は手を引き抜こうとするが

顎の力が想像以上に強く

俺の手を離そうとしない

 

「ぬぉぉっ!」

[提督!逆!腕突っ込んで!]

[はぁっ?!]

[いいから!]

 

川内に言われるがままに手を差し込み

 

「うぎゅっ!」

狂犬(ぽいぬ)は謎の声とともに俺の手を離した

 

[…害あったじゃん]

ジト目の川内

 

[俺が手を出さなければ無害だった]

[その手をいずれ出さなきゃいけないのに?]

[………くっ!]

 

ついに反論の余地が失われた俺は

黙り込み

 

「っーぽい…ぽい〜」

ぼんやりした夕立の声に視線を向ける

「…酔って半分寝てやがるんだな…」

 

とりあえず夕立を引き剥がしてくれるひと募集中

 

「私が連れて行きますので…」

どこからともなく現れた大和が

夕立を鮮やかにハイエースしていった

 

「…長門よりマシか…」

「長門さんは駆逐艦のコスプレにやられて寝込んだよ、貧血だって」

 

「蒼龍か…おつかれ」

「おつかれ、なんかこうやって二人で落ち着いて話すのって久しぶりな気がする」

 

蒼龍が俺の隣に座る

「…実際、久しぶりだろ

二人で、かつ、落ち着いてって条件なら」

「そこそこ会話自体はしてるからね

……で、どう?今回のパーティは楽しめた?

 

実は私も参加してたんだよ?」

 

笑顔になる蒼龍、…その悪戯に晒されるのは俺なんですがそれは

 

「ちなみに榛名さんの服は既製品だけど、私は自作でした!」

「ほう、その格好は?」

「えっとね、ハーピィっていうらしいけど…」

 

ハーピィ…胴体が人型の鳥、

岩場に生息する、歌声は魅了の呪詛を伴う

なお、引き寄せられた人間を岩場に叩きつけて殺したり、生きたまま内臓を貪ったりするエグい鳥である

 

蒼龍が?

 

蒼龍なら某計画で擬人化した

壬の龍とか似合いそうなんだけど

 

「…羽つけて足に包帯巻いてるってだけなんだけどね、ゾンビとかミイラ仮装の子は辛かっただろうね」

 

包帯が擦れてくすぐったいの

と笑いながらいう蒼龍

 

ちなみに、飛龍は骸骨だったらしいが

赤城さんは不参加

 

不知火たちが長門の気を引いて鎮守府から引き離し、不参加艦娘の内何割かで海洋警備を担当していたとのこと

 

一応だが、暁の役は人形

雷と電は髪型を揃えてドッペルゲンガーだそうだ

 

球磨型は北上、大井が不参加

球磨がクマの着ぐるみ、

タマが猫娘コスプレ、

木曽がワーウルフだそうで

 

深海組は全員不参加…

正直ちょっともったいない

 

「でね!摩耶さんったら普段露出度高いのに恥ずかしいっていって不参加決め込んでね、逆に愛宕さんがノリノリで参加宣言してるんだよ」

 

「あの格好は摩耶がやる予定だったのか…」

 

それはそれで見てみたいような

愛宕だからこそだというか…

[変態]

[はっ!?変態?んなわけねぇだろ!]

 

ジト目になる川内に返答しながら立ちあがる

「ん、提督?そろそろ寝る?」

 

「…あぁ、そろそろ、寝ようか」

「なら榛名が」「ここは不参加の長女に譲るべきデース!」

 

くっ、なんだこのピルグリム

金剛型と蒼龍たち+騒ぎを聞きつけてきたバ艦娘たちの騒ぎを鎮めるのには、また30分を要した

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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