翌朝、…いつものように起こされ……なかった俺は夜に襲撃してきた金剛を蹴り帰した時に中途半端に目覚めていたせいで盛大に寝坊しかけ
霞にクズクズと文句を言われながら起こされた
このつらみ、わかるだろう?
なんで朝からこんな気分で過ごす羽目になるんだ
「起きないクズが悪いのよ!」
「………はぁ…いいよもう、お前との相互理解は諦めたから」
「なに、逆ギレ?見苦しいったらありゃしない」
「それを逆切れと捉えられる君の妄想力には恐れ入った、全くもってついていけない」
[こら提督、意地を張り合わない]
[デフォルトでこんな感じなんだが…]
俺が裏勢に苦手意識を持つ理由
最近表に出なかったが、
俺は中途半端な折衝をしないのだ
至極当然の展開ながら強く当たってくるものには強く返す、至極当たりまえだが
それが反発を招く者には互いに反発し合うだけになる
「…悪循環だな…]
俺は一切の言葉を打ち切り、
川内に集中する
霞の方はとっくに俺から顔を背けて
黙り込んでいるのだから
どうせ俺が多少反応を変えた程度で
どうこうとはならないだろう
[で…川内、瑞鶴と五月雨を取り戻すにはどうしたらいいかな…分かりきっている質問だけど]
[魂のリンクを作り直す、これに限るよね…
でも瑞鶴艤装も五月雨艤装も、この鎮守府にはない…どうするの?建造する?]
[いや、いまさら建造に乗り出すなんて不審すぎる、…五月雨と瑞鶴の艤装を持っている鎮守府にいって、貸してもらうか…ドロップを狙うか]
[ドロップはまだしも、直接提督が瑞鶴や五月雨の艤装を借りに行く…なんて不自然すぎるよ]
[だよなぁ…はぁ]
この先の行動が思い浮かばない、
先は見えない
……瑞鶴と五月雨、艤装のコアに触れるという明確な方法がある以上、それを基準としたいが
二人の艤装を入手するまでの過程がまるでわからない
[手詰まり…か]
「クズ提督!なんで普通に通り越してるのよ!食堂入りなさいよ!」
[…そもそも建造に乗り気でなかった俺が艤装のストックを用意していなかったのが問題なんだよなぁ]
「クズ!」
[こんな問題は想定外だった
なんてのは言い訳だよなぁ…
俺があらゆる環境、
状況を想定しなきゃ誰がするんだよ]
[艦娘の誰かがするんじゃないの?
少なくとも、魂の接続なんてイレギュラーなものが発生してる時点で大本営のマニュアルとかは役に立たない物に成り果ててるし、提督自身の存在がまず
私たちにとっても想定外だよ]
[そんな不審者みたいに言わんで]
「クズ提督!」
「黙れ」
[瑞鶴と五月雨を建造するか、ドロップするかに頼らなくても、コアのある艤装が手元にあればいいんだよなぁ]
「このクズ提督!早く来なさいよ!」
[提督が鎮守府を出るなんて
迂闊にできないし、ねぇ]
[最近、ラバウルに鎮守府が増えたという話もある、そこの提督はなんと呉にいた技師の鯉住君だとも
準備の良い彼の事だ、もしかしたら五月雨の艤装くらいは余っている可能性もある]
[知人に頼るんだね…まぁ縁も力
時には頼るのも考えるべき…かぁ」
「クズ提督!」
「ん?なんだ?」
「なんだじゃないわよ!なんでずっと無視するのよ!ひどいじゃない!」
「無視…?していたの
少し考え込んではいたが」
「あぁっもう!食堂行くわよ!
大遅刻なんだから!」
「へ?…ヤベ、
鳳翔さんと病宮さんに怒られる!」
ちなみに、そのあとこってりと絞られ
濃厚豚骨スープばりの味がある反省文を原稿用紙8枚分書かされてしまった
「はぁ………」
「バカ、なんで間に合うタイミングに迎えにいってあげたのに遅刻するのよ」
「………………」
スケルトンの出汁ガラ状態のメンタルにクるものが強すぎるので彼女とのコミュニケーションは放棄することにした
嫌いな相手とは話さなくて済むほうがいいよね!そのほうが双方の快適な環境の為だよね!
とスピーカーレベルの音量で目を合わせてはっきりと丁寧に発音したあと、視線を切って去った
のだが、その後の霞は酷く落ち込んで、調子が良くないそうだ…何故だろう
俺と一緒にいる以外に霞の調子を悪くするような要因があるなら全力で排除する姿勢を示すのだが
「…ストレス環境から解放するのは
仕事能率を上げる手段として
代表的なのに…何故だろう…」
[ジー………]
本気で言ってる?と言わんばかりの視線だが、俺のメンタルがいかにボロい状態か知っている以上、安易に文句も言えずに川内も困っているようだ
それはそれとして、今日の遠征と出撃、建造のデイリーは終わり、ギリギリだがウィークリーも終わりマンスリー任務も手をつけ始めている
「出撃…かな」
オリョクル周回を1週間休むと
『オ…リョールー…』
と死にそうな声で執務室を訪ねてくる
ブラック精神の染み付いたゴーヤのお陰で
資材はそれなりの上昇を見せているが
すこし海域攻略が滞り始めている
………瑞鶴が出る海域といえばそうだが
5-4周辺
5-2.3.4は瑞鶴の出るエリア
攻略のついでにといえば聞こえが悪いが
少々…掘り返してみるか
出来るだけ探す、できなければ
建造を狙う
ついでにサブ島周辺なら
この夜戦仮面も活躍できる…流石に
夜戦指揮でも充分な腕をふるってくれるので少し重宝している
時刻は17:47
すこし遅めだが、遠征隊の帰還を迎えた
「今日は皐月がドロップしたっぽい!」
「は?……は?」
「うーたんが連れてきたぴょん!」
「ぉっおう」
「皐月だよっ!よろしくな!」
「おう、よろしくな!…じゃねぇんだよもっと詳しく説明プリーズ!今日の引率誰だ!」
「龍田さんっぽい」
「話を聞かせてもらおうじゃないか」
そのあと、皐月本人からも同意を取り
正式にドロップ艦として扱うことになったのだが
睦月たちは大丈夫だろうか
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