戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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生存の誓い

「提督!」

 

息を切らせながら廊下を走ってきたのは

空母棲鬼

 

「どうした?あの戯けた放送の正体ならあちらの戦艦棲姫だぞ?」

「違うわよ!そうじゃ無いの!

私達が行けば、みんなは助かるんでしょ?」

 

「違うよ」

俺は言葉鋭く

空母棲鬼の勘違いを是正する

 

「それは助かってるんじゃ無い、

死に損なってるだけだ

仲間を差し出してまで、明日の飯は食えん」

「そんな!」

 

言い争う暇はない、そう言って

強引に議論を止めて、戦力調整と罠の用意にかかる

 

三時間が建ち、12時の鐘が鳴り終えた瞬間

 

戦艦棲姫が無線を送ってきた

 

〈時間ヨ…オ別レハ済ンダ?〉

〈悪いが、お別れするのはお前らだ〉

 

〈ソウ…サヨウナラ…貴方達ハ

モウ少シ賢イト思ッテイタケド

買イ被リダッタヨウネ〉

 

その言葉を最後に、無線が切れる

そして

 

深海棲艦達の侵攻が再開した

 

「食い止めるぞ、第一、第二艦隊出撃!」

 

俺は鎮守府の執務室から号令を飛ばして、第一、第二艦隊を出撃させる

同時に第三、第四艦隊は防衛展開

艦隊から出た負傷者を鎮守府へ帰し

随時入れ替えていくことで

ローテーション式の戦闘パターンを構築

 

いわば長篠三段撃ちやテルモピュライに名高きファランクスのように重厚な攻撃陣を形成した

 

…敵主力部隊への攻撃を担う、第一艦隊旗艦:長門

 

溢れる敵艦隊を食い破り、第一艦隊の突破口を開く先発、切り込み部隊、第二艦隊旗艦:金剛

 

鎮守府右翼〜正面を防衛する防衛線

第三艦隊旗艦:榛名

 

左翼〜第二艦隊までの道を確保する

補給線、第四艦隊旗艦:大和

 

それぞれのメンバーは固定せず

被ダメージや残弾、燃料などによって

各艦隊と鎮守府での補給、入渠を流動する形である

 

一応だが、制圧能力に秀でた艦娘である大和と長門がそれぞれの戦域を分担することで

その広範囲攻撃能力を活かし

金剛、榛名姉妹が高速を活かした前進防衛として駆け回る事で戦場を押し潰されないように維持してもらう

 

各艦娘も艦隊旗艦に従うのではなく

ある程度の独自判断を許している

 

「夕立、出撃するっぽい!」

「……はぁ、私たちまで駆り出すなんて…霞、出るわ!」

 

「最上型重巡、鈴谷。いっくよー!」

「ゴーヤ、もぐりまーす!」

 

「イクの魚雷が、うずうずしてるの!」

「一航戦赤城、出ます!第一次攻撃隊発艦!」

 

声が重なってほとんど聞こえないが

精強なる我が鎮守府の艦隊が一切出撃

 

同時に奇襲となる第一波の攻撃を開始

その一撃を以って、無数の敵を退けた

 

「奇襲成功ぴょん!」

〈お前はまた主砲を投げおって…〉

 

今度は爆薬を詰め込んだ主砲を投げて爆散させ、バズーカのように弾片を放射する事で

普通に投げるのとは桁違いの敵を爆殺した…あぁ10センチ連装高角砲を使い捨て…

 

もったい…

 

「ぴょーん!」「っぽーい!」

テンション高い動物組がハイタッチしている…

 

「さて、ここからが正念場」

まず、奇襲が有効なのは一撃のみ

そこからは相手が態勢を取り直すまでの時間勝負となる、そして

 

〈総員一時後退!重装甲艦ヲ中心二複横陣ヲ再編成セヨ!〉

 

軽巡棲姫の咆哮が響く

強力なカリスマを持ったリーダーがいるのだ、許される時間は短い

 

「三式弾発射だ!敵密集地点へ射かけろ!」

「徹甲弾……撃てぇっ!」

 

戦艦組が広範囲拡散攻撃で時間を稼ごうとする

「マダダ!私達ハ…沈マナイ!」

 

軽巡棲姫と戦艦棲姫が砲撃にカウンターを仕掛け、なんと軽巡棲姫は徹甲弾を撃ち落として見せ

 

「ハァァッ!」

戦艦棲姫は艤装に徹甲弾をめり込ませて受け止めたのだった

 

「なんだと!」

「まだです!全機爆装!

第二次攻撃隊発艦です!」

 

爆撃機による空襲を赤城が狙い

 

一斉に放たれた対空砲撃に全機を撃ち落とされた

「そんな!」

 

「私達ハ…数ガ違ウ!」

「無限ノ怨恨ヲ思イ知レ!」

 

わらわらと群がってくる深海棲艦どもは

その数を大きく減らしながら、

なおも前進を続け、無理やりに前線を押し込もうとする

 

「くっ!キリがないぞ提督!」

「このままじゃ弾が先になくなるよ!」

 

「絶望シロ!ソシテ死ンデイケ!」

 

前線を強引に押し込みながら

無数の脱落者を出しながら

 

それでも数に任せて艦娘を圧倒する

 

「俺も出たいがな…」

俺のアイヴィは睦月と如月の二人に貸している、俺は海に出られない

 

「………一応、輝那の整備はしておくか」

 

俺は輝那を分解して、再整備を始めた

「陸式、陸奥鉄が残り少ない、

NXは残り2回くらいしか使えない」

 

NXを使うと空気摩擦で焼けてしまうため

弾が回収不能になってしまう

 

人間一人の腕一つで戦艦主砲並みの火力を出すのだ、仕方もない話だろう

 

「…そもそも、腕が破壊されるし

修復能力もいつまで持つか…」

 

深海のどこが由来なのかも結局わかっていないので、不安ではあるが……他のやり方を探して用いるような余裕はない……致したなし…か

 

「きゃぁぁあっ!」

っ!だれか中破したか!

 

無線を起動するが…

聞こえてくるのは砂嵐のような粗い音ばかり

 

やってくれたな…奴ら電波のジャミングを強めたらしい、お陰で先端が開かれるまでは

普通に使用できていたはずの無線機までもが使用不能に陥っているのだと思われる

 

「無事でいてくれっ!」

 

俺はドックにむかって走り出した

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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