戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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現在日時
2019年11月11日午後11時11分!
だいぶ遅れたけど…ポッキー!


トライライトゲイズ

爆轟と共に、閃光が爆ぜる

この手応え…確実に当たったな

 

「仕留める!」

「マダマダネ…甘イワ」

 

私は突進と同時に跳躍、海面よりはるかに高くから、更なる砲撃を試みて、

 

同時に、ぴたりと私を追随する戦艦棲姫の艤装に砲口を向けられる

 

「甘いと思うなら…やるがいいさ」

 

その瞬間

横合いから砲身に銃弾が激突

戦艦棲姫の主砲の一門を完全に破壊せしめた

 

誰がやったかなど見なくても瞭然

「提督、見事だ!」

 

砲を衝撃でズラされた艤装が海面に倒れ込んだその時、天に晒された土手っ腹を

 

私の主砲が爆砕する

 

「何ッ!…提督ダト!」

「そうだよ、我らが頼れる提督様だ」

 

そう、私が答えると同時に

 

周囲の深海棲艦が次々に撃ち砕かれる

「そこまで言われると逆に恥ずかしいなぁ」

「何をいうか、正当な評価だ」

 

提督が相変わらず無茶な動きをする小型艇で飛び込んできたのだ

 

「長門!負傷者は何処だ!」

「先程中破した夕張はもう鎮守府だ!」

 

私は提督の避難艇を背にし、

全砲門を一旦停止、提督の支援を信じて一斉再装填を行う

 

「提督!援護!」

「了解!」

 

凄まじい炸裂音と同時に、

再び深海棲艦が次々と沈む

 

その火力は後になって機銃の本体を見せてもらうまで、謎の高位連装砲と思っていたほどだった

 

「…弾切れだ!30秒前!」

「了解!装填完了!再度照準」

 

私は提督を背にしたままで第一艦隊に指令を飛ばし

「総員!一斉砲撃だ!」

 

《了解!》

 

その一声と散開していた

第一艦隊メンバーが一斉に砲撃を放った

 

「第二艦隊!各員支援デース!

砲撃直後の隙をcoverしてくだサイ!」

 

孤立しかけていた初霜の元には

金剛が駆けつけてくれたようだ

 

「よかった、あれなら任せられる」

「長門は俺が援護するぞ」

 

「ホザケ!雑魚ヲイクラカ沈メタ程度デ!」

 

戦艦棲姫が叫び声をあげると同時に

軽巡棲姫が突進して来る

 

「モウ帰ル場所ナンテ…無イノヨ!」

 

「魚雷か!提督!」「了解!乗れっ!」

 

提督は、やはりすぐに意図を察して

艇を急加速させた

 

「ぬぉぉあっ!速すぎないかぁっ?!」

「島風にいえぇぇっ!」

 

風に殴りつけられるような圧力を受けながら

提督は巧みな避難艇捌きで魚雷を回避、そのまま前線を離脱した

 

「長門!お前も補給しろ!」「あいわかった!」

 

避難艇から飛び降りてドッグへ駆け込み、大量に集積されている補給物資を艤装に投入する

 

本来の艦なら弾薬の種類やら燃料の質やらで大混乱だろうが、艦娘の燃料、弾薬、鋼材には互換性があるボーキサイトについては…私は使わないからわからない

 

「再出撃準備完了だ!」

「了解!最速で戦艦デリバリーしてやるぜ!」

提督は入渠ドックの方を確認しに行ったらしい、律儀な事だ

「しっかり掴まりな…スターターオン!」

 

提督がそう宣言した手腕

私は咄嗟に艇のへりに手をかけ

剛力で知られる長門の全力を出した

 

そうでもなければ振り落とされていただろう

 

「音を…置き去りにしたっ!」

私は超高速移動による負荷で放り出されそうになりながらも握力を緩める事なく体を固定し続け

 

「よぉしっ!最前線に行って来い!」

提督の声で顔を上げた

 

 

side change

長門side out 蒼羅side in

 

長門を(おく)り出した俺はそのまま

第四艦隊の元まで後退前線維持と補助に入った

 

「提督っ?!何故!」

「なぜってそりゃ、自分の艦娘が傷付きながら戦ってるのに、すぐ近くからただ見てるだけっては

なんか違うだろ!?」

 

「だからってそんなのはいけません!」

大和の悲鳴にも似た絶叫が響き渡り

 

「……アー…ソッチモ苦労シテルンデスネ…」

 

姫二人が揃って微妙な表情になった

 

「苦労なんて言葉では済みません!

大体なんで直接戦場に出るんですか提督は!武器の時も思いましたけど執務室にいてください!」

「ソレニハ激シク同意スル」

 

大和と戦艦棲姫が愚痴り合いを始めるのに、そう時間はいらなかった

 

「…よそ見とは随分な余裕だなぁ」

「合わせていくぞ提督ぅ」

 

俺は札製水偵を飛ばし…

「弾着観測用意完了」

「了解、長門、砲撃開始」

 

弾着観測射撃

46センチ三連装砲

41センチ連装砲

試製41センチ三連装砲

 

悪魔のごとき火力が戦艦棲姫へと遅いかかる

 

「対策ヲ考エテイナイトデモ?」

戦艦棲姫は余裕を崩さず、

高速移動を開始

 

さらには正確に応射して水偵を撃墜して来た

 

「なんだと!」「はぁっ?!」

 

俺と長門が揃って一瞬、

上空に気を取られた一瞬の隙に、

 

[後ろっ!]

「愚カモノメ!」

 

背後から、

重巡リ級フラグシップが砲撃して来た

 

俺の背に砲弾が迫り

 

「危ないところだったね、提督」

第二艦隊から飛び出した時雨が、

自らの艤装の砲部分を投げて砲弾を妨害、空中で撃墜した

 

「…すまん、時雨」

「気にしないでいいよ

そもそも練度が多少上下した程度ではあまり変わらないから…」

 

主砲を失った筈の時雨は

軽く笑うと、

 

「提督を片付けようとした…お前は許さない…」

 

その目を暗く

どこまでも深く、闇色に彩る

 

「提督は僕だけの提督だよ…お前ら如きに傷つけさせはしない」

 

時雨の髪がゆらりと宙に浮かび

ミニスカートも、髪も、裾も

強烈な風に晒されているかのように揺れ動く

 

「時雨、改放…時雨改二」

 

何者よりも暗き者が、海域に降臨した

 

「提督の敵になるものは全て…消さなきゃならない、ごめんね

君に恨みはないけど

死んで」

 

静かに告げた時雨は次の瞬間、跳躍し

 

「沈め」

 

憎悪も、怨嗟もない、怒気も執心も何一つ感じられない凪いだ声で

そう言い放つと同時に

落下策を乗せた魚雷刺突で

リ級の艤装を貫通、

 

内部爆破による自壊を引き起こした

 

「あはは…ねえ提督、いつもみたいに褒めてよ」

 

後ろの半身が爆破で重症と化したリ級を更に鋭利な魚雷で突き刺し

吹き出す血飛沫(オイル)を浴びながら

笑顔を見せてくる時雨

 

「ほら、提督」

 

ゆっくりと近づいてくる時雨

俺は意を決して、

 

 

その頭を撫でた

 

「あっ…提督…」

 

ぎゅっ、と俺に抱きつく時雨

「………提督、此処は戦場なのだが…」

 

長門の声で俺は正気に返るが

むしろ離さないとばかりに時雨は圧を高める

 

「提督、僕が提督の敵をいっぱい殺してきたら…また、褒めてね」

 

どこか歪んだ、危うい

それでいてとても美しい笑顔を浮かべる時雨

 

「…わかったよ」

 

そんな輝きに、危険とわかっていても手を出してしまうのが提督というモノなのだろう

 

俺は、改二を暴走させた病み時雨を

戦力としてカウントすることにした

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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