戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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すみません、今日はもう更新できないかもしれません


力を捨てて 取ったもの

武蔵side

 

「提督、武蔵だ、入るぞ」

「構わん」

 

私はそのまま執務室に入る

 

「先程、創海鎮守府に深海棲艦による大規模攻撃が押し寄せているとの連絡が入った、これに対して援軍を派遣する必要があるものと判断とする」

 

加二倉中佐に援軍出撃を要請する

いくらあいつであっても、生身の戦闘能力はそう高くないはず、直接攻撃を許せば良い的になる

 

そう考えて要請を行ったのだが

 

「…無用だ、むしろ邪魔をしないように周辺鎮守府に警告しておけ、アイツは技師としては一流だが、提督としても無能ではない、自分の艦娘くらいは上手く操るだろう」

 

あしらうように返されてしまった

しかし、ここで反論すれば

自分はあいつの実力を信じていないと言うことになってしまう、そう考えれば

言い返すことはできなかった

 

「…了解した」

 

私は創海近隣の各鎮守府への連絡のために

執務室を出た

 

 

side change

 

武蔵side out

蒼羅side in

 

「止めてみせる!」

 

俺は燃料切れのスターターを無視して

そのまま出撃、

 

 

轟音とともにギアを上げていく

大和撫子は起動不能、現状ただの刀だが

輝那は使用可能、ただし陸奥鉄が残り少ないため、使用には慎重を期す必要がある

 

白波を蹴立て進む避難艇の上から

戦場を見据えて

 

主砲を喪った大和を見つけた

「うぉぉおっ!」

 

反射的に右手を振りかぶり

全身の筋肉を全力稼働させる

 

「大和ぉぉっ!」

 

袍刀法、戦場において、

刀を失う事は死を意味する

 

故にそれをカバーするための技術、

味方に刀を受け渡す技術が開発された

 

それは単に、刀を受け取りやすく差し出すだけではある…だが、それが人間の限界を超えた出力で行われたとしたら?

 

それは単なる受け渡しの枠を超え

砲弾として刀を飛ばす

 

 

「受け取れええっ!」

「はいいっ!」

 

軽巡棲姫によって砕かれた主砲を捨て

遥か彼方から飛来する大和撫子(自分自身)を手に

 

「…大和撫子、起動!」

新たな(かつての)主砲を手にした大和は、射程を生かして徹底的に牽制打を繰り返す動きから、高速で接近して削り取る動きへと変わる

 

「はぁぁっ!」

「フウッ!コノ土俵デ…私ニカテルト思ウナ!」

 

大きく叫びをあげた軽巡棲姫は

周囲の高位深海棲艦に命令を下し

一斉に大和を包囲させる

 

時雨の暴走で相当数減っているはずなのに視界を埋まるほどの数とは

よほど頑張って捻出したのだろうが、

 

「無駄です!」

圧倒的な質の前に、雑魚をいくら重ねても吹き散らされるだけに過ぎない

 

それに足る程の力を

大和は手にしていたのだから

 

「切り抜ける!」

「押シ潰ス!」

 

深海より襲い来る無数の手を薙ぎ払い

閃く刀は、なによりも美しかった

 

「司令官!危ないわよ!」

「このクズ提督!何ぼーっとしてんのよ!」

 

避難艇のすぐ横にきた霞が

強引に舳先を蹴り飛ばして向きを変え

すぐに飛び乗る

「このまま急いで!榛名さんが危ない!」

「!了解!雷も乗れ!」

 

俺はスロットル全開で突進して

「…陸奥」

[ラスト一回よ?良いの?]

 

[構わん!榛名も俺の艦娘だ!]

俺は陸奥補正を受けて輝那を構えて

 

「やだ、こんな…でも!」

 

砲撃を受けて、

巫女服を派手に破かれながらも

戦意を失わないその目は

 

反撃を許さぬ攻勢に飲み込まれかけて

 

「まだやれるな!榛名!」

驚愕に見開かれる

 

戦艦タ級エリートの砲を突きつけられ、死を覚悟した瞬間、吸い込まれるような暗い闇を潜ませたその主砲が、

激しい火花を散らして逸らされた

 

その瞬間、反射的に榛名は叫んでいた

 

「はい!榛名は大丈夫です!」

 

同時に、千載一遇のチャンスを逃した哀れなタ級に、蹴りを叩きつけて、距離を離し

 

砲撃、上半身を吹き飛ばされたタ級はしばらくビクビクと下半身だけで痙攣した後

崩れ落ちて消滅した

 

「よし!やったな!榛名!」

「ありがとうございます!提督のおかげです」

 

榛名は俺に礼を言うが

それをいうなら…

 

「それは霞に言ってやってくれ

霞が警告をくれたおかげで助けられた」

「ありがとうございます、霞ちゃん」

 

コクン、と首を折る霞

「別に…そんな事…無いし…」

 

頬を赤くして、そっと横を向く霞

何故だろう、戦場ど真ん中なのに視線がつい吸い寄せられてしまう…

 

「なによ!こっち見てないで榛名さんの方気にしなさいよ!」

「「……」」

 

恥ずかしがる霞かわいい…………

この瞬間、この周囲においてのみ

艦娘と人間と深海棲艦の意思は完全に統一されたのだった

 

 

「我々ノ行動ッテ…醜クナイカ?」

「争いなんて愚かな事はもうやめよう」

「霞ちゃんが尊いです…」

 

駆逐級を率いて離脱していくチ級フラグシップ、それはまさしく霞の()()だった

 

指揮官を討つ事で敵を撤退に追い込む

実に見事な流れだった

 

「そんなの狙ってないのに!」

「ありがとう霞」

「だから違うって言ってるでしょ!このクズ提督!クズ!」

「クズ上等っ……!皐月!」

 

駆逐艦に撃ち負けかけていた皐月の元に白タコヤキを投げ飛ばして

「行けっ!」

 

「ぴっぎぃぃ!」

超速移動で駆逐イ級後期型に突撃して

爆撃をぶつける白タコヤキ

凄まじい火力だ

 

 

「皐月!大丈夫か?!…榛名!人員配置はどうなってる?」

 

「ぼ、ボクは大丈夫だよ、怪我もないし」

「榛名は艦隊把握済みです!」

 

「よし、戦闘継続可能なら継戦を、無理そうなら撤退してくれて構わない

良いかい?まずやるべきは生存だ

無理をしては行けないよ?」

 

頭を軽く撫でるにとどめて

皐月を解放する

 

「俺たちはいくぞ!時雨の分まで!」

「「「おーっ!」」」

 

〈僕を勝手に殺さないでくれないかな!?〉

声を上げた途端に、

無線から声が聞こえる

 

鎮守府の時雨だな

 

「時雨、そのまま待機だ、良いね?」

「…………了解」

 

不承不承と言わんばかりに不機嫌な声は、それっきり切れた

 

「私たちは……どうしましょう?」

「榛名は…少し待機だ、

ちゃんと相応しい機が来るから」

 

「了解しました」

 

榛名が返答する、

艤装の修理を職業としていた俺になら、修理は可能なものである

それを見せてやろう

 

という事で、頑張ってほしいい

「せっかく、感情を剥き出しに(とりもど)したんだからな」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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