side長門
「提督は帰してきた、もう邪魔は入らない」
「…ソウ、自ラ退路ヲ無クスヤンテ
愚カネ…貴方ハ」
「私が愚かに見えるか?…私は提督を鎮守府へと送ったが、それは戦力を減らしたのではない
……守るべきものを、守れるように移動した、それだけの話だ」
「ソレヲ愚カト言ッテイルノヨ!」
戦艦棲姫は一叫びながら
戦艦離れした速度で高速移動し
私に拳を叩きつけてくる
「ぬぉぉっ!」
「ゼェェア!」
その一撃は重く、鋭い
だが、
守るべきものを背にした以上
「ここを抜かせはしない!」
私はその拳を受け止めた
「…提督のために、艦隊の皆のために
私は、ここでお前を倒す!」
「押シ通ルワ…貴方ノ大事ナモノ
全部壊シテアゲル!」
俄然勢いを増した戦艦棲姫は
傷ついているにも関わらず
私の出力を凌駕し
ついには私を押し始める
「無様二シネ!」
「ぐっ、ぅぅぉぉっ!」
凄まじい圧力に押しのけられて
少しずつ足が波を削る
「死ねるかぁっ!」
しかし、私も戦艦
意地で足を止め、
強引に相手の腕を撃ち上げて
『ゴキリ!』
その腕を折る
「グゥァッ!」
戦艦棲姫の悲鳴を聴きながら
私は全力で手刀を振り下ろし
《《折れた左腕を》再度打ち据える
あまりの痛みに声も出ないか
腕を押さえている戦艦棲姫に水平射撃で主砲を浴びせる
「これで、終わりだぁっ!」
全力の一撃はたしかに命中し
閃光、爆発
煙が晴れると、そこには
黒いドレスが解けて消えた
戦艦棲姫が倒れていた
「…私の…マケね…漸く
悪夢が終ワルわ…ありがとう」
戦艦棲姫の体が崩壊し、
白い粒子へと変わる
ドロップは、見たことのない戦艦だった
「おい、お前…、…まぁ仕方ないか」
私はその、グレーを基調として
黒のラインが入った制服を着た
金髪蒼眼の女を背負って移動しようとして
付近を力なく漂っていた
戦艦棲姫の艤装が蠢く
「グギァォァァァッ!」
「なにいっ!」
巨大な艦体による体当たり
それが背負った女ごと私を吹き飛ばす
「ぐうっ!、まだ!」
「グァァォドオァァァッ!」
再びの拳が体制を立て直せていない私へと向かい、
その狙いは、最初から私ではなく
ぐったりしたままの女に
拳が直撃し、女を吹き飛ばす
当然受け身など取れるはずもない
その女は数十メートル以上離れた水面に叩きつけらて、大きな水柱をあげた
「不味い!」
先ほどまで敵だったとはいえ
間違いなくその女は艦娘、
どこの誰かは知らんが、それでも艦娘である以上はドロップ艦
すなわち同僚であり、戦友なのだ
おいそれと沈められるわけには行かない
「くおぉっ!」
痙攣する体に鞭打って立ち上がり
砲を構えて、
「弾切れっ!?」
そう、力の使いすぎだった
戦艦棲姫を葬るために、
全力を使い、
そして使い切ってしまったのだ
既に輝きを失った砲は沈黙を破ることはなく
「クゴォォオッ!」
再びの体当たりを受けた私は艤装が破砕される感覚とともに意識を手放した
side change
長門side out
???side in
「あぁ、もう、これだから長門は…
快調な時はいいけど、確認を怠ってはいけないと何度も言っているのに…」
私は首を振りながら
干渉できない未来を見据え
その中に描かれた長門轟沈を嘆く
「…未来は確定する、揺らぐ未来の可能性は、ここに収束したわ、終わりの時よ
轟沈なしの鎮守府なんて夢
それを身をもって知らしめてしまう生贄に、貴方がなったの 長門…さようなら」
過去を失い、未来を捨てた私は
今の一瞬に永劫に封じられている
この時間軸から外を見ることはできても
私がどこかに干渉することは
絶対にできない
この瞬間に、長門が沈んでしまっても
わたしには、どうする事も
できないのだから
だから、わたしは瞠目する
かつて友なりし彼女の轟沈を
その悲劇を見たくないがために
その瞬間に、未来が揺らぐ
それを、わたしが見ることはなかった
side change
羽美side out ???side in
くらい……さむい…痛い……
…体の感覚が無い、でも痛くて寒い
そう…死んだのね、私
………
何で、終わらないの…こんなに寒くて、痛くて、早く楽になりたいのに
ここでは終われないなんて、そんな事を思ってしまうの!?
「ぐぁぁぁっ!」
はるか彼方で、絶叫が聞こえる
それはかつて聞いたような、
未だ知らないような声で
とても、不快な響きを持っていた
「うる、さいわね…あなた達…」
一刻も早く、楽になりたいのだから
眠りを妨げる者は、
誰であろうと許しはしない
停止していた炉に、火が入る
軋むギアが音を立てて周り、
主機は黒い煙を吐き出しながら
それでも起動する
こんなにも冷えた体で、
傷だらけの艤装で
それでも、私は立ち上がる
「かつて戦った、
全身に、力が巡る
動く事を拒否する体が、しかし駆動する
それはまるで、今の私の矛盾した様相を示す鏡のよう
「グォァォォアッ!」
誰かを吹き飛ばした巨大な怪物は
その勢いのままに私に向かって来る
「規則が緩んでいるようね…私が一から、口の利き方って奴を教えてあげるわ」
カットイン発動
38センチ連装砲改
46センチ三連装砲
61センチ5連装(酸素)魚雷
数いる戦艦達の中で
私が最強である理由は
圧倒的夜戦火力
高い火力を持つ戦艦の中でも、このbismarck dreiにのみ許された
雷装による攻撃力よ
「とくと味わいなさい」
その瞬間、爆轟とともに
かつて私だった怪物が爆散、消滅した
600話記念番外編は
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過去編軍学校
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過去編深海勢
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……