戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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すまぬ、遅れた上に急仕立てで短いです


ラスティネイル

「ふぅ……終わったわね…」

 

私の体は徐々に力を失い

艤装も制服も通常形態のそれに戻ってしまう

 

そして、私自身もまた

なけなしのエネルギーを使い切って

意識を手放した

 

 

side change

ビスマルクside out 龍田side in

 

私は今、ただ

目の前の深海棲艦を攻撃している

 

提督は私たちになんの命令も出していないから、提督は私達に自由を認めているから

私達自身の判断で

私達の出来ることを為せ

 

それが、あの人(ていとく)の出した無言の命令だと信じる

 

「力を貸して、天龍ちゃん」

 

旧式である私達天龍型はスペックが低い

軽巡の中で、特に目立つのは燃費の良さくらいの話、火力も雷装も回避も装甲も

なんら突出したものはない

 

でも、だからこそ

数多の提督達が遠征艦隊として長期出撃を命じる艦娘なの

 

でも、その遠征を乗り越えて

力を養い、提督との揺るがぬ絆を築けた天龍ちゃんは改二に至った

 

なら、同じ天龍型である私が

改二を発動できないわけがない

 

「…っ!」

胸元に灯った光は、しかし天龍ちゃんのように金色に輝くこと無く薄れていく

 

「…私では…ダメだというの…?」

 

それはあまりにも残酷で冷徹な

現実そのものだった

()()()()()()()()()()()()という

現実

 

このままでは天龍ちゃんと一緒にいるどころか、後ろ姿にすら追いつけない

 

「貴様モ沈メエッ!」「黙りなさい!」

意識して作った普段の口調も消え去り

本来の性格が出てしまっている

 

いけない、これではダメよ私

 

 

「すぅ、はぁ、、

死にたい艦はどこかしら〜?」

 

再度口調と笑顔を作り直して

演技を再開する

 

その側に、改二の発現を信じて

 

「ギヂィィイッ!」

「ふっ!」

 

ドゴン!と砲撃後に突撃してきた駆逐イ級を薙刀で受け流し、パルックを投げて撃破

 

でも、それだけではダメ

いくら小手先の技を磨こうとも、

圧倒的なまでの戦力には押し負けるだけになってしまう

 

「改二…あの力が…必要なのに…!」

 

背後からの砲撃、それに対応出来ずに

直撃を受けかける私の前に

なにかが飛び込んでくる

 

「はぁっ!私が指揮している限り…

第二艦隊はやらせないデース!」

 

そこにいたのは

高速戦艦の金剛さん

 

その改二だった

 

「はは…結局は…改二なのね…」

 

みんな、私を置いていってしまう…

改二が、異動が、もっと古くは轟沈が

 

私と他を切り離す

 

「そんなの…」

 

『ザバァン!』

軽巡ホ級が私に飛びかかってくる

「残酷すぎるわ」

 

ホ級の喉から背筋までを切り飛ばしながら呟く

 

side change

龍田side out 蒼羅side in

 

「………っ!」

なかなか動かない体を無理矢理に動かして起き上がる

 

流石に強制停止機能は

フィードバックが大きすぎるようだ…

想定としては艤装が停止するだけのはずだったのだが、エネルギーが逆流してくるとは

 

「全く想定外だったよ…はぁ」

 

俺は痺れの抜けていない

腕を軽く振りながら、

医務室の近くの廊下にある窓から

じっと戦場を見つめる

 

「 陸式も使い切った、大和撫子はもう渡した、タコヤキも撃墜されている」

「ぴにぃ!?」

 

帽子の中からコロッと出てきた

白タコヤキを手のひらに乗せる

 

「ほら、お前の好きな血肉をくれてやろう」

俺がそういうと、

本当に指を食いちぎり始める辺り

なかなかバカというか真面目というか

 

「びぃ、ぴっぎ、ぴいゅい!」

もう、おなか、いっぱい!か?

 

「十分食ったか?なら飛べるな?」

「ぴっ!」

 

「よし、偵察だけで十分だ、行ってくれ!」

「ぴっぎじぃいぅ!!」

 

俺の帽子の上に飛び乗り、

そこから分身した偵察隊が発進して行く

 

「…どうか、無事でいてくれ…」

 

俺は今更に痛みの増してきた腕を止血して、治療の目処をつけながら

艦娘達の無事を祈った

 

 

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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