「龍田さん!」
「うるさいわよ…ハアッ」
薙刀が振るわれる
半月の如き軌道を描いた刃は
確実に敵を屠って行く
「龍田さん!」
「黙りなさいと言っているの!
聞く気がないなら…貴女だって…あら?」
川内に薙刀を向ける龍田だが
その姿には覚えがないと混乱する
「提督ですよ、龍田さん!」
[それで通じると思うかよ]
「提督…?」
ますます混乱を深める龍田に
周囲から深海棲艦が襲いかかる
その瞬間にはすでに粉々になっているとも知らずに
「貴女が提督だろうとそう名乗る川内であろうと私の邪魔をするなら斬るわよ」
「それを止めに来たのに斬られるわけにはいかない!」
すでに満身創痍であるはずの龍田は
それでも微塵も衰えない圧力と威風を放つ
「5秒以内に失せなさい」
「………」
「1…2…3…4…5
これだけ待ってあげたのに」
「いくらでも数えてなさいよ!
私は龍田さんを助けに来たんだからあっ!」
ジェットのごとく爆発的な水煙とともに
川内が急速接近、しかし龍田は
薙刀を上手く操り、間合いを常に自分の有利に保ち、深海棲艦の散発的な攻撃にも対処してみせる
「…私は…助けなんかいらない!」
薙刀を振りながら叫ぶ龍田と
追随して攻撃を続ける川内
しかし、憑代の関係上、
エネルギーの少ない川内は徐々に劣勢に追い込まれていく
「くっ!」
「ほら、見せなさいよ!貴女の改二を
私は真っ向からそれを破ってみせる!」
追い立てるように加速する龍田と
徐々に出力が落ちていく川内はたがいに突撃の軌道を取る
「………っ!」
「ふっ!」
川内は戦闘不能に陥る前に勝負を決めるべく、一撃に全てを賭けて
龍田は川内を圧倒して打ち倒すために
全力で迎撃を図り
その瞬間、力を使い果たした龍田に
深海棲艦の白い手が迫り
「…せえいっ!」
瞬間移動の如き速度で迫ってきた暁改二が
軽巡?を辞世の句すら詠ませずに爆殺した
「…なによ…結局…改二じゃない」
「違うわよ!龍田さん!」
意識を失いかけながら毒を吐く龍田、それに反論する暁
しかし
そこに、戦艦ル級の砲撃が着弾する
川内は辛うじて流れたが
龍田は動けない
爆音と共に水煙が上がり
「…龍田さん、…大丈夫?」
そこには、己の身を盾にして龍田を庇った暁がいた
改二を破壊され、艤装は大破
航行限界寸前まで追い込まれながらも
背後の龍田にはかすり傷一つ付けさせない
そう、暁の改二は
守護者としての発現を遂げた改二
同じ鎮守府の艦娘を守る時にこそ
最大の性能を発揮する
「…ふ、私はちょっとお休みするわ」
フラフラと不安定に揺れながらも
撤退していく暁
そして、その穴は後退した神風が埋める
「…神風…」
「龍田、いい加減にしなさい!」
ぼんやりと零す龍田へと近寄り
神風は勢いよく龍田の頬を叩く
「さっきからずっと!改二改二って!
何様よ貴女!努力ときっかけと精神力全部揃わないとなれない改二を羨むならまだ分かるわ!でもね!貴女のやってることは
改二発現者に喧嘩ふっかけてるだけなのよ!
いい加減に目を覚ましなさい!」
神風の叫びに目を見開く龍田
しかし、次の瞬間に応えたのは
同じ程に大きな絶叫
「じゃあどうしろって言うのよ!
私は旧式艦なのよ!ほかの新型艦に、天龍ちゃんに!置いていかれるだけじゃない!」
「私だって旧式よ!でも腐りはしないわ!私が、私たちが日本の艦の原型であり、親なんだから!」
「誰だって貴女みたいに強いわけじゃないのよ!」
意地になって言い争う龍田と神風
二人の激論はとどまるところを知らず
徐々にボルテージを上げていく
「「この…分からず屋っ!」」
その叫びの瞬間、
龍田の砲と薙刀が爆発する
「!」
その源は、遥か彼方の重巡リ級の狙撃
「そこかぁっ!」
遠距離への攻撃手段を失った龍田は
距離を詰めての雷撃を試みるが
その行動は、周囲の深海棲艦にとって
隙でしかない
一瞬にして砲撃が集中する
普段の龍田であればかわせただろう、そもそも陥ることすら無かった窮地であろう
だが、薙刀を失い、冷静を失い
力を削がれた龍田では
回避することは叶わない
「っ!…ここまでかしら…」
制服艤装が無残に破壊されていく龍田は、次の瞬間に訪れるだろう死を覚悟して目を閉じる
「させないいっ!」
「やらせるものですか!」
二人の
「ぐぅぅうううぅ!」
「ぁぁあぁあああっ!」
山のように連なる攻撃が二人を打ち据える
「…っ!耐え切った…」
川内が倒れこみ、同時に換装が解除されて
「ぐふはぁっ!」
蒼羅に戻る
「提督!?」
「ホントに…提督だったの?」
水に叩きつけられてひとしきり跳ねた後は沈むだけの俺を、グイと引く腕があった
「提督…大丈夫?」
それは、龍田の腕
「…………」
「提督、提督!」
強引に引き上げるほどの力も出せずに
蒼羅を抱える龍田
「ぐ、大丈夫だ…まだ立てる」
「提督…!」
俺を拾ったがゆえに速度の落ちた
龍田に、再度攻撃が掛けられ
「っ!させない!」
龍田は全力で回避して、俺を庇う
「龍田!左だっ!」
「っ!」
思いっきり左に跳ぶ龍田
直後に周辺に水柱が上がる
一瞬でも遅れれば諸共に死んでいた
「…助かったよ…」
「こちらこそ…ありがとう」
龍田は疲れ切った表情で、しかし笑顔を作る
600話記念番外編は
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過去編深海勢
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……