戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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それぞれの仕事

改二に伴って再構成される艤装

応急処置に過ぎない状態から脱し

 

本来の、そして最強の力を取り戻す

 

改までの上着をノースリーブへ変え、同デザインのケープを羽織る

スカートも変化、龍田が頑なに手放さないパルックも元気を取り戻して頭上で高速回転し、トレードマークの薙刀も再構成され、左手に握られる

 

「…行くよ、天龍ちゃん」「おう!」

 

扶桑さんさりげなくフェードアウトしつつ

砲撃を龍田さんに任せて俺の近くへ来る

 

「提督、ただいま帰りました」

「…うん、おかえり、扶桑」

 

俺は神風から離れて、扶桑の艤装に乗る

 

扶桑は戦艦だから出来るのであって

小型の駆逐艦である神風にはさぞ負担がかかっていた事だろう

 

「神風もお疲れ様!」

 

「私はこれくらいしかできないから、いいのよ」

笑いながら手を振って、

鎮守府の方へ向かう神風

 

「私は第四艦隊に合流するわ、あとは龍田と天龍に任せましょう」

「了解だ、扶桑さんはどうする?」

 

「…私は…そうですね、まず

なんで提督が前線に、ボートも使わずにいるのか小一時間ほど問い詰めたいです」

 

ハイライトが死んだ扶桑さんが

ギギギィとか鳴りそうな動きで首だけ振り向く

 

「…その、ですね、神風さんに

龍田が危ないって言われて

神風の艤装に乗せてもらって…その」

 

「『その』も『でも』もありません!

提督が前線に出て行くなんて絶対にダメです!」

 

 

一周回って貴重な意見であるが

残念ながらそれを聞くわけにはいかない

 

俺は、俺の鎮守府からは、一人たりとも轟沈を出さないと決めた

故に、俺の手の届く限りは

何度でも出撃する、それは

たとえ犠牲を伴っても変わりはしない

 

「…さて、俺は帰るつもりだけど…」

 

「まずは質問です」

「帰ろうか」

「質問が」

「帰る」

 

目が死んでる扶桑さんと掛け合いながら

鎮守府に戻り、倒れている医務官を回収

 

「彼は過労だったんだ、良いね?」

 

自分に言い聞かせるように呟いてから

さっさと医務室に行き、里見君をベッドに放り投げてから、至近弾で出来た切傷、擦過傷に一応手当てをする

 

まだ軽巡棲姫が健在である以上は

終わった前提でゆっくりなどしていられない

 

「さぁ…頑張っていこう…」

 

時刻は夕方頃だが、戦闘エリア内は夜

不自然なほどにくらい空を見上げて

 

切り札を使い切って出撃不能になった俺は

それでも笑う

「…やってくれ、俺の艦娘たちよ」

 

もう力を使い尽くした俺に、

この戦場に立つ資格はない

 

あとは戦乙女たちに任せよう

 

side change

蒼羅side out蒼龍side in

 

「夜は仕方ないからって

空母みんなで撤退した来たけど…」

 

ここまで何も出来ないと歯がゆいというか

空母としての特性を恨むというか…

 

龍田だって覚醒した、天龍も、扶桑も

長門も、金剛も

気づけばみんな改二を発現している

 

「私も、置いていかれる訳にはいかないか…」

 

ぼんやりと空を見ながら呟いて

私は入渠ドックにむかった

 

最初の方に大破、中破した艦娘達は

もう再出撃可能の状態となっており

大型艦の入渠待ちも無く

ドックの環境は良好…ではある

 

やはり、ブラック環境を生き延びた

歴戦の強者達だけあって鎮守府の艦娘自体の練度は高いのだけど、それに鎮守府の機能が追いついていない

 

「なら、私はこっちで勝負しよう」

単独性能は勝てなくても、サポートならまだなんとかなるはず、

 

「とりあえず、今出来ることは

艦載機の補充とメンテナンス…」

 

相当量消費してしまうボーキサイトを気にしながら、私は艦載機の補充に走った

 

side change

蒼龍side out大和side in

 

私は最後の敵中核戦力である

軽巡棲姫と相対しています

 

「…アナタ達ハ…マブシスギルノヨ…」

 

「それがどうしました!」

恐るべき速度で移動して、こちらの砲撃を躱す軽巡棲姫はあまりにも正確に反撃の砲撃を撃ってくる

 

私を一撃で破壊するには威力不足ではあるけど、それでも何発と当てられれば艤装の機能は減衰する

 

「このまま受け続けるわけには…っ!」

 

私は大和撫子(私自身)を信じて

軽巡棲姫に突進して、…

 

「せえいっ!」

 

抜き打ち一閃

会心の出来で放たれた居合の一撃は

 

軽巡棲姫の仮面に食い止められていた

「なっ!」

「ソコデ追撃ヲ掛ケナイカラ甘イノ」

 

振り抜かれる剛拳に、装甲の薄いお腹を撃ち抜かれて吹き飛ばされ、態勢を立て直す

 

その前に

再び超加速で突っ込んで来た軽巡棲姫が

私を蹴り飛ばした

 

「ごっはあ……っゔぅ、っ!」

視界が激しく揺さぶられて、平衡感覚を失った

 

感覚が平衡を取り戻すより早く

再度の砲撃、完全になぶられている

 

そう自覚するのは、然程遠い話ではなかった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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