戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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技名は関係無いですよ


鳳翼天翔

払暁戦、今回は残敵を掃討する為の追撃とはいえ、残敵も未だ戦艦や重巡、空母など多種多様かつ強力な艦ばかり、侮ればたちまち大破に追い込まれる

 

「でも、明るくなれば!」

 

赤城と蒼龍が艦載機を飛ばして

上空からの爆撃で殲滅を図る

 

さらに装備更新された新品の機体達は

主人の期待に応える為に全力で空を翔け

 

深海棲艦達の応射に数を減らされながらもたどり着いた先に爆撃を仕掛けた

 

「いっせい爆撃です!」

「やっちゃえーっ!」

 

そして、盛大な爆発の中

なおも笑う影がいた

 

「…軽巡棲姫マデヤラレルトハネ…

マァイイワ…予測ノ範囲内ヨ…」

 

 

蒼龍side

 

「やった!攻撃成功!」

「勝った…!」

 

赤城さんと飛龍が喜ぶ中、私は一人だけ、素直に喜ぶことができなかった

「…どうかしたんですか?」

「いえ、何か見えたような…」

 

「何か?」

赤城さんの質問に私が答えると

そこに飛龍が更に疑問を差し込んでくる

 

「何かって?」

「それは、はっきりとは…」

 

自然と浮かない顔になる私は

場の空気から浮いていることを自覚しながらも警戒を続けていて

 

だからこそ、

それに気づくことが出来たと思う

「退がってっ!」

 

私がそう叫ぶと同時に、爆発

 

私はなんとか直撃を回避したけど、赤城さんと蒼龍さんは大破状態、二人を引きずってなんとか鎮守府の方へ戻り

 

「はぁ…はぁ…提督!赤城さんと飛龍が!」

 

声の限りに叫ぶ

「確認した、この傷は爆撃のようだな…

どうも敵方に強力な空母がいるようだ」

 

提督が自らドックで負傷者の受け入れ作業を進めながら応える

 

「でも、千歳千代田も、飛鷹隼鷹もいない、軽空母も残ってない、

私はともかく、赤城さんと飛龍が!」

「あぁ、一航戦、二航戦、共にリタイア、航空戦力は壊滅的な状態に陥った」

 

空母を一箇所に置いていた俺のミスだった、と言いながら、私の手を握る提督

 

「すまない、俺の見通しが甘かった」

「そんな!謝らないでください提督!」

 

今謝られてしまっては立場がない

敵の航空隊による反撃を警戒しなかった

私の、私たちのミスなのだから

 

 

「提督」

 

涼やかな声が、背後から響く

振り向けば

 

出撃ドックの前に、

艤装を纏って立っていたのは

 

「鳳翔さん!?」

 

暗い緑の髪をまとめて

いつもの軽い弓ではなく、実戦用の大弓を装備した鳳翔さんだった

 

「二人の大破は元を正せば、赤城と飛龍の問題、それは事前の教育が足りなかった私の責任でもあります、

ですから」

 

「いけません!鳳翔さんは本来先頭に立つようなスペックでは!」

 

提督は鳳翔さんを宥めようと声を上げる、でも、それは鳳翔さんに対しては悪手でしかない

なぜなら

 

「性能で劣っていようと、戦闘においては優劣が明確になるわけではありません」

 

鳳翔さんは、

私たち日本空母の最初期設計タイプ

つまり、私たちの母なのだから

 

長い戦いに於いて蓄積された

圧倒的な経験値

それこそが鳳翔さんの武器

 

「艤装の性能差は戦力の絶対的差です!」

「その差を技量を以って覆すのが

先達の知恵と言うものですよ」

 

優しく微笑む鳳翔さんは、そのまま

「必ず、帰ってきます」

 

提督を強く抱きしめて、サッと離れる

「それでは、鳳翔、出撃致します」

 

笑顔を残して、

鳳翔さんは出撃していった

 

最旧型である九九式艦爆と九七式艦攻だけを積んで

 

「…行ってしまった…!」

「ううん、きっと、私たちのために

行ってくれたんだよ、鳳翔さんは」

 

止められなかった、と言わんばかりに悔しがる提督に、囁く

「それがいつも、私たちが味わってる気分なんだよ?提督が前線に出たりするから、

いっつもみんな、鎮守府にいて、って言うでしょ?」

 

「それとこれとは話が」「同じだよ?」

 

提督の手を、今度は自分から握る

「ねえ提督、鳳翔さんが出撃した時

どんな気分になった?、戦場で九九と九七だけ積んだ鳳翔さんを見た艦娘は、どんな気分になると思う?」

 

提督は顔面蒼白になって答える

 

「沈んでしまうんじゃないかという恐怖を感じた…あまりにも古い武装で、戦場に立つのは危険すぎる、そもそも鳳翔さんは旧型艦

出力も装甲も速度も、何もかもが武器たり得ないんだぞ!」

 

「それは提督も一緒、いくら艦載数が多かったって、使えないんでしょ?提督には」

「使えるさ!零戦だって…」

 

「旧型の?新型の?」

「…旧型と言わざるを得ない…」

 

「ほら、提督、鳳翔さんのこと言えないよ

自分だって周りを泣かせてるんだよ?」

「ん、しかし!」

 

やはり議論は平行線をたどり

延々と終わる気配を示さなかった

 

side change

蒼羅side out

鳳翔side in

 

「ふぅ〜…久し振りですね

………殺しあいの空気は?」

 

突然背後へと振り向いて語り始める

鳳翔さんの視線の正面、

 

「ソンナノ無イデス…」

そこには

空母ヲ級後期型フラグシップがいた

 

「!気ツカレタ!」

「バカナ!艦娘ガ気ツク筈ガナイ!」

 

「分かりますよ、

何度も奇襲を受けましたからね、

勘所は掴んでいます」

 

鳳翔はゆっくりと微笑みながら

弓を構えて…

 

「私とてやる時は やるのです!」

一矢、射る

 

それは変形をしないままに

ヲ級のうち1体の首を貫き、そのまま

九九艦爆へ変形すると、急上昇

反転爆撃で更なる攻撃を掛け

 

ヲ級後期型フラグシップを一隻

なんの抵抗も許さずに撃沈してみせた

 

「…ふっ!」

続く二射目は流石に回避されるが

それは艦攻に変形し

背後からの強襲、さらに艦爆と連携して

多方向からの時間差攻撃で艤装破壊に持ち込む

 

 

その連携は大胆にして繊細

長年の修練が与える絶対的な自信と技能をこそ頼みとして、旧型の艦載機であろうと実戦戦力足らしめる

 

そう、鳳翔こそ、

最初にして最強の一航戦なのだから

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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