戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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決断

翌朝

 

「陽炎…?」

「………しぇんぱい?どうかした?」

 

結局一睡もできずに朝日を眺めることになった俺は、戦犯(かげろう)に対しても強く出ることはできず

結局、あのあとずっと寝ていた体で話をする事になっていた

 

「どうも何もなんでお前がここに!?」

 

[白々しとはこの事ね]

[うるさい分かってるよ]

 

川内に返しながら、俺は陽炎から

身を離すように壁際による

 

「それより早く朝食に行くぞ」

「…♪」

 

陽炎は泣きそうな顔から笑顔になり

俺の制服の袖を掴んで隣に陣取る

 

そのまま食堂まで運搬された陽炎は、()()()終始笑顔であった

 

「…今日は何があったかな?」

「特にありませんよ、提督」

 

食堂のテーブルで、

隣を取った軽巡、大淀が声をかけてきた

 

「そうか、…しかし、

一日空くなら都合がいい。」

 

この機会に鎮守府の衛生環境の方を解決してしまおう…まさか一日中掃除やプラン調整が続くわけでも無いだろう

 

「よし、不知火に話を聞こう」

戦艦クラスの眼光を持つ駆逐艦と評される、陽炎型二番艦、不知火

 

彼女は今ちょうどのタイミングで

食堂に入ってきて…昨日の夜に部屋に帰ってこなかった姉を見つけた

 

「…姉さん」

「何?不知火、どうかした?」

「姉さんこそ、昨日はお楽しみでしたね」

 

鋭い眼光はそのままに

俺と陽炎を見つめる不知火

 

「…な、なんの話よ?!そんな

そんな事してないんだから!」

 

やたら取り乱す陽炎、

「お前それじゃ誤解されるぞれ

 

「では、司令官は、姉さんに一切やましい感情を抱く事なく、極めて紳士的に接したのですか?それはそれで無理がありますよね?」

 

「…………」

「司令!?」

 

今度は俺が沈黙する番だったようだ

陽炎はどうにかして不知火の視線を振り切ろうとするが、執拗な追撃は後を絶たない

 

「司令官は姉さんに興味無いそうですよ?そこの辺りどうなんですか?姉さん」

 

「な!そんな事ないもん!

私だってヤればデキるし!」

「ヤればデキるとしてもヤるまで行かないのでは意味がないでしょう?姉さんはその辺りのアピールが足りませんよ」

「じゃあどうしろって言うのよ!

鹿島さんみたいに綺麗じゃないのよ!」

 

「いや鹿島みたいにはなるな」

話の流れが逸れ始めたので

俺が慌てて制止する

 

鹿島みたいな奴が鎮守府で増殖なんてしてみろ、俺はその鎮守府を最高位殲滅対象に指定するぞ

 

「しぇんぱい!?」

「はいはい、表情が崩れてるぞ

あと不知火、俺と陽炎の関係は極一般的な鎮守府における艦娘-提督間の関係で相違ない、

部下と上司の関係を不健全な方向に発展させるつもりはない」

 

ここははっきりと口にしておく

「他の艦娘に対しても同じだ

俺個人としては嫌いではないが、提督として、司令官としては特定個人の艦娘と親密な関係を形成するつもりはない、良いな?」

 

威圧感を作って、自分のスタンスをはっきりと表明する、これで何人かの艦娘以外も

寄ってたかってとは来ないだろう

 

「録音したか?」

「はい、しかし、

これを金剛さんに聞かれるわけには」

「もう遅いデース…」

 

せっかくの配慮を無にするような絶望的な声が食堂に響いた…

「早く目が覚めたからと早めに食堂に来てみれば…陽炎は朝帰り?しかもそれでテイトクは責任も取らないつもりデスカ!?」

「だからそんな自体がまず持って

起こっていないと言っているんだけど」

 

金剛の怒鳴り声など

滅多に聞くものではない、そして

そんな物珍しいものに

興味を引かれない艦娘など、

ごく僅かなものだけだ

 

「なになに!?どうしたの?」

「面白そうな匂いがするぴょん!」

「卯月!皐月!司令に迷惑かけないようにするにゃし!…そばから見てるだけにゃし」

 

「今日の朝哨戒担当だったけどそれより面白そうな話が聞こえてきたクマ、まずは説明するクマ」

「お前等は哨戒に行けっ!」

 

寄り付いてきた(ケダモノ)どもを追っ払いながら金剛に説明(イイワケ)を始めるが

 

「それはテイトクが陽炎に対する態度をいつまでも後輩相手に定めているカラ悪いのデース、ちゃんと陽炎のことを艦娘として、1駆逐艦として見るべきデース!」

 

その言葉一つで振り払われてしまった

 

「……後輩として…見ていた、か」

 

[深い話ね…艦娘を基底となった人物として見るか、あくまで艦そのものである艦娘として見るか、その差は小さいように見えて、根本的なものよ]

[…そうだな、たしかにそうだ]

 

俺は朝食を…注文すらせずに食堂を後にして、執務室…を通り過ぎて、自室に戻る

ついさっき出てきたばかりのはずな部屋なのだが、ここが一番他者が入ってくることの無い、個人的に落ち着く部屋であることに違いはない

 

…艦娘とその元となった個人の

人格差を同一視していた…か

たしかに、そうだ

 

あきつ丸も、鹿島も、陽炎も

俺の知り合い…というか同級生達の人格を残していた、残し過ぎていた

だからこそだ

その態度、行動、思考法則

 

違う人格であると分かっているのに

どうしようもなく彼女らには

重なるものが多すぎる

 

「だから、だろうな、いや

それこそ甘えか

俺は提督であり、司令官として

彼女たちに接さなくてはならない筈なのに、いつまでも以前の感覚を引きずっていた

 

だからそれを断ち切らなきゃならないんだ…よし」

 

深呼吸して、意識を切り替える

今後、艦娘と個人のことは

別の人物として扱う事にした

 

…今の関係も、

少しずつだけど変えていこう

 

それは、多分必要なことだ




今回悩んでるだけで話が進んで無いですね

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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