戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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スイーター

「…さて、甘味といえば間宮、甘味といえば伊良湖と言うわけです」

 

その後、俺は食堂に来ていた

 

「それで私の所に…」

「そう言うこと、伊良湖さんはいないから、残念ながら後ほど個人的に知り合いの伊良湖さんに連絡することになるけど」

 

今はちょうど2時ほどの

人の来ないタイミングであるため

間宮さんも余裕を持って話を聞いてくれている

 

個人的に間宮さんは激務でも

文句ひとつ出さず、

顔色一つ変えずに倒れるまでやりそうだからちょっと仕事具合は心配だけど

 

「私ならいつでも…とはいきませんが

普段なら大体対応できますよ?

…それで、今回のお話は、龍田さんから『甘味好き』のヒントをもらって、『甘味』のキーワードで私を連想した、と言うことですか?」

「そういうことだ」

 

俺の返事を聞いた間宮さんは、パァァッ!と明るい表情を浮かべて、こう言い放った

「やっと提督が私の事を『食堂の調理師』以上に考えてくれました!」

「そんな風に考えてないよ!」

 

必死で否定して見せても

間宮さんは『どうせ私なんて調理師扱いですよ…』と曇り切った目でこちらを見ている

 

「…それで、甘味についての相談でしたよね、軽巡棲姫さんは間宮アイスと羊羹好きですよ

この間、羊羹をショーケース越しに見ながら財布具合かなにかと相談していました」

「…本当に好きなんですね…」

 

間宮さんはニコニコした表情のまま

「はい!ご愛顧いただいております♪」

「………」

 

どことなく嬉しそうだ

 

「かわいいなぁ……っと、そうじゃなくって、軽巡棲姫の機嫌を直したいんですよ

何かいいお菓子はありますか?」

「軽巡棲姫さんは間宮アイスと羊羹が好きですけど、それをそのまま用意したら

狙われたとも思うでしょうし…

そうですね、今の季節だと…イチゴのシュークリームはいかがですか?いまちょうど大粒のイチゴが入ってますから、きっと好評ですよ」

 

シュークリームか…ショートケーキとかじゃなかったなぁ[バカ、ケーキ今食べちゃったらクリスマスで楽しめないじゃない]

[あー…そうか]

 

俺は連続で同じものでも十分なのだが

そういうタイプなのか、と

思考を巡らせながら

俺は食堂のカウンター越しにお話ししていた間宮さんに向けられた視線を切り

オヤツ、スイーツ系のお品書きの方に視線を向ける

 

「パンケーキ…カスタード…シュークリーム…プリン…定番のアイス、色々あるな」

「メニューの豊富さは提督のおかげでもあるんですよ?」

 

()()から声が聞こえる

「間宮さん?!」

背後を取れていたとは気づかなかった

 

「食堂のメニューは、

他の『間宮』と勉強会をやったり

鎮守府の提督から許可を取って新規開発したり、個人的に習得していたものをレパートリーに加えていったりして

増えていきます」

 

そこは普通の食堂と同じなのか

 

「ですから、神巫提督の着任以後

潤沢に回してもらっている予算のおかげで、食堂のメニューを増やす事が出来たんです」

 

向き直った俺の手を取って、きゅっ、と握りしめてくる間宮さん

しかしまぁ…

 

「俺はそんなこと考えちゃいなかったんだけど」

 

俺のつぶやきは、もちろん

間宮さんにも聞こえていて

 

「スイーツ系の拡充は甘粕提督時代には無かったことです、その善行が今になって

豊富なメニューでニーズに応えるという形で戻ってきたんですよ、提督」

 

「なるほどね…善因善果と?まぁいいや…じゃあ間宮さんってか手すべすべだね」

「ぴゃん!ちょっと提督!

あんまりからかわないでください!」

 

ゆっくりと握ってみると

面白い反応を示す間宮さんは

そのまま手を振り切って食堂の厨房の方に戻ってしまった

 

「もう!イタズラはいけませんよ!

…さて、イチゴのシュークリーム一つ

お持ち帰りでよろしいですか?」

「あぁ、それで」

 

間宮さんはニコニコしながら

こちらに向いて…

「承りました、少々お待ちください」

 

さっと手を洗い、シュー生地を…どこから用意したそれ?な勢いで出してきてほんのりと桜色をしたクリームを注入

 

「最後っと」

 

素人目には何をしているのか分からん光景を流し見ながら、内心で

[夜戦!スイーツ!夜戦!スイーツ!]

ひたすら騒がしい川内を黙らせる

 

[お前はもう黙れ、モトは良いのに

せっかくの美少女が台無しだぞ]

[うっ!……あれ?それってつまり

静かなら私、恋愛対象?]

[お前が静かにしててくれればな]

 

絶対無理な一言の条件を叩きつけてから

間宮さんに視線を戻す

 

「はい、イチゴのシュークリーム()()完成です、どうぞ、提督」

「ありがとう…えっと」

「四百円です♪」

 

とりあえず支払いを済ませて…

受け取ったのは、シュークリーム2つ

「俺一個しか注文してないよね?」

「片方は提督に、ですよ

プレゼントの品の確認もせずに渡すなんて出来ないですから」

応対する間宮さんは笑顔だ

「なるほど、配慮ありがとう」

「いえいえ、こちらこそ、日頃から感謝してますよ、それじゃ

頑張ってくださいね」

 

龍田と同じ言葉で送り出された俺は

シュークリームを出来るだけ揺らさないように携えて、再び軽巡寮に向かった

 

途中で私用のスマホを使って連絡を入れたとかそんなことはなかった




今回のサブタイはスイーツイーターですがそれだと某作品と被るので、こちらは前回のサブタイを参考に短縮しました

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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