戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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大本営に

「結局大本営に泊まることになるとはな…」

 

「兵舎じゃなく、将官用の賓客室を使えるだけマシだと思いましょう」

 

俺は現在、大本営の付属施設である

宿舎の方に来ていた…それも

優那さんの言う通り、将官用のだ

 

「俺は佐官なんだが…」

「中佐ですよね、勲章授与であって階級は上がらないのは惜しいですが」

 

階級は正直に言えばこれ以上上がっても前線から遠のくだけであるので

上がらなくてもいいのだが

「…給金は増えるしな…」

 

それに、管轄の鎮守府への当たりも優しくなる、階級社会だから当然だが

「どこまでいっても先立つものは必要ですからね、給金が増えるのは良い事です」

 

「現状、鎮守府の資金管理は常にカツカツだ…いや、給金を注ぎ込むのは止められたが、消費が増えたから鎮守府への給付金はギリギリの額になっている

 

そろそろマズイかも知れん」

 

俺の盛大なため息を聞いた優那さんは、

「…まぁ、資金管理は下手に提督がどうこうするより、上手な艦娘に任せた方がうまくいく事も多いらしいですし、その辺りは

自己管理が基本ですからね

…鎮守府の所属艦娘の数が一定を超えるごとに給付金の増額申請を出せるはずですけど、実際には呉とかの大型鎮守府じゃないと

申請ごと無視されますからねー」

 

「…はるか辺境の中規模鎮守府じゃあそんな申請通るはずないですからね」

 

二人して息をつく

 

「さて、そろそろ消灯時間ですから

僕は帰りますね」

「はい、お疲れ様でした」

「こちらこそ、お疲れ様でした」

 

事務的な挨拶を置いて、

優那さんは帰っていった…

俺も寝よう(唐突)

 

今日は大本営に来ている関係上

メンテできる艤装もないため

する事もない、無論

鎮守府には連絡もしたし、

一応ながらに翌日の指示も出した

 

「秘書妖精と榛名が書類片付けてくれてるってのはありがたいなぁ…」

 

 

仕事が減る=メンテが増える

それに仕事が減れば休めるし、近隣の鎮守府(遠い)の提督達との情報交換などもできるだろう

 

ついでに言えば、仕事に圧迫されるばかりの生活なんて送っていたら体がもたない

「…まぁ、休む時は休むさ」

 

差し当たっては今のように

 

[おやすみ、明日は叙勲式あるから

頑張ってね、提督]

[おやすみ川内]

 

穏やかな心のまま布団を敷いて、着替えた後に寝る…………!?

 

[おやすみって言った!?川内が?ありえん!何が起こった!深海棲艦の仕業か!]

[ちょっ!そんなゴルゴムみたいな事言わないでよ!提督がお疲れだからちょっとだけ気を遣っただけなんだから!]

 

驚愕する俺に

怒鳴り返してくる川内の声

 

[もう!いい加減怒るよ!

夜はいっつも寝ちゃうしずーっと仕事仕事だし、挙句他の女の子とばっかり話して疎かにされるし!

今日だってちょーっと優しくしてあげたら深海棲艦の仕業?怒るよ!]

 

反転

 

川内の艦体上、その甲板に呼ばれた俺は

 

()()()()()()()()

「…なに?」

「起こりました!私怒ってます!」

 

俺の目の前で拳を震わせる川内

「どうすればいいのかな?」

「そんな事自分で考えなさい!」

 

そう言い切ると同時に、ふいっとそっぽを向いた

「横を向いてたら目が合わせられないだろ?こっち向いてくれよ」

 

痛みを無視して立ち上がった俺の手は、そのまま背後から川内を捉え…

一気に抱きしめた

 

「あ…」

「これでいいかな?」

 

後ろから、優しく耳元で囁く

 

「あ…あぅ…ん…!」

「?どうかした?」

 

「ふぅっ、ん……」

びくぴくと震える川内は、耳元に吹き付けられる息に嬌声を漏らして…

 

…俺は悪ノリを止める気が無くなった

 

「…ふーーっ」

「〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 

川内は声にならない息を吐きながら

急激に痙攣する

 

しばらく頭を撫でたり声を掛けてみたりと思いつくままにいじったのだが

 

「…もぅ、やめ…て、たしゅけて….」

 

か細い声に止められた

「あらあら、随分趣味的なことをしていくのね、提督」

「趣味的じゃない、決して

川内が求めたことだ」

「もとめて…なんか…にゃい〜」

 

へたり込んだ川内が熱い息をつきながら必死に抗議してくるが

「求められたから応じた、それだけ

良いね?」

「アッハイ…川内ちゃんごめんね?」

 

あっさりと振り切られた

 

「さて陸奥、川内、今日はもう遅いから帰るぞ」

「え?!もう!?」

「もう帰っちゃうの?私は来たばかりなんだけど」

 

「帰るぞ」

反転

「疲れた、寝よう…」

 

この後も真っ当には眠れないのだった

 

翌日の叙勲式はほとんど覚えていないが、功勲章の授与時に加二倉中佐、一ノ瀬中佐、三鷹少佐、鼎大将達も参列していて驚いた憶えがある

 

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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