あれから何日か経って、
鎮守府は平常運転…
(というにはやや騒がしいが)に戻った、
最近は深海棲艦も落ち着いて来ている
クリスマスだからと騒がしい艦娘もいる…いや、まずクリスマスは12月末で
君たちは当時の日本艦としては
年末を迎えるという感覚なんじゃないか?
[そんなのはどうだって良いの!
催事なんだから!少しくらいは気分も上向く、それがダメとは言わせないわよ]
川内も最近は喧嘩っ早くなって来ましたね…これは好感度が下がっている証拠です
早めにリカバリーを試みないと
好感度が最低値を割って頃されます
そうなったらリセットです(無敗)
[こら!またどっかのRTAから影響されてえっ!]
[面白いんだから良いだろ?
………ここのところお前と真っ当に話してなかったしな]
[どうせまたそんなこと言って
勘違いさせて弄んでくるんでしょ]
[俺がいつ、誰を弄んだ?
…いや、深海棲艦にはたしかに機動戦を仕掛けたりしたが]
[あれはちょっと…そういう意味じゃなくて、その、ね]
川内の声を聞きながら
思考を分割する
片方は脳内の川内に集中して
もう片方は現実側の書類を進める
はぁ…先生、メンテがしたいです
[先生なんていません、左目ピカピカしながらそんなこと言われても現実感ないよ?]
[お前が脳内にいることが既に
現実感無いんだけど…まぁいいや
取り敢えず、書類は片付けるから少し待ってくれないか?]
実はこれ、右手と左手で同時に別の内容の書類を書くような事であり
結構負担が掛かる
しかし川内とのコミュニケーションも取れて、書類も進められるとあれば
やらないという道は存在しない
[ほらまた、すぐに無理をする
私が負担になるなら、そんなことしなくて良いのに]
「お前に負担かけられる訳じゃ無いんだから良いんだよ、これは俺が
望んで請け負ってる負担なんだ
書類片付けながら川内と話ができるならその程度、全然構わない]
頭の中で川内と話しながら
執務室の窓材にガタが来ている
という内容の書類を『不処理』に放り込み、『娯楽設備の充実化について』を一読する
「ふぅ…ん、ドックにあるのは、たしかに機械的な設備だし、長期間に亘っての入渠をしいられる大型、高耐久型の艦娘は暇だよな…いや
艤装外しとけって話でもあるが」
内装を多少変えた程度では意味がないだろうし、長期間入渠する艦娘には
すぐに見飽きたものになってしまう
「……ううん…」
ちょっと妙案が出ない
[ドックに施設が揃いすぎると逆に
ドックに入り浸りになる可能性もあるよ?戦艦とか空母とかの大型艦ならともかく
駆逐とか潜水艦とかの小型艦は十分に楽しめないって]
[それなんだよなぁ…バランス
が取れない…十分に楽しめるようにすると小型艦から不満が出るとはな…]
二人して頭の中で煮詰まっていると
「提督、大淀です」
「入ってくれ」
執務室に来訪者がやってきた
「…提督、軽巡棲姫さんが書類の処理を手伝っていた、というお話について
真偽をお聞かせいただきたく思います」
「本当だよ?それがどうかしたか?」
「大問題です!彼女が事務方に精通している訳がないでしょう!戦闘特化にしか見えないですよね!」
「なっ!それは思い込みだ!
偏見は良くない、彼女は事務にも理解を示していたし、事実効率的だった」
詰め寄ってくる大淀の言葉に対して
俺の視点からの感想を提示する
「間違いなく彼女は高度な事務能力を備えている、それは否定させないぞ」
大淀は執務関連では珍しく対抗してくる俺にたじろぎながら、しかし
「だとしても!執務進捗の担当は私です!引き継ぎもすませずに他の方が担当なんて危険すぎます!提督は処理に齟齬が生じてしまう危険性くらいご存知の筈でしょう」
説を止めはしない
それはまるで、
何かに焦っているかのように
「……大淀、お前…」
「何ですか提督」
「何に焦っているんだ?」
「焦ってなんていません、提督の庶務代行は私の仕事だなんて思ってなんかいません!」
「思ってるじゃないか、そもそも心配は無用だよ、俺としても軽巡棲姫ばかりに頼りはしないし」
「でも提督」
尚も口を開く大淀を片手で制して
片目を瞑り、笑う
「まず書類なんて山のように湧いてくるんだから、だからさ、俺だけじゃやりきれないからって手伝ってもらっただけなんだ、ダメかな?」
「……ダメとは…言えません」
しゅん、と弱々しく項垂れる大淀
「…凹むな凹むな、元気出して
提督としては書類の処理は欠かせない仕事なんだから、手伝ってくれる艦娘がいるのは嬉しいけど、それで凹まれちゃ困るんだぜ」
そっと寄って、大淀から
二歩離れた位置で止まる
「ほら、仕事はまだまだ沢山あるんだ
手伝ってくれよ、大淀
お前じゃなきゃ片付けられないんだ、お前の力を貸してくれ」
さっと、さりげなく手を伸ばして
大淀の視界に入れる
「さぁ、大淀」
「…はい、提督!
…まったく、仕方のない人ですね…仕方がないから臨時で手伝ってあげます」
不満そうにそう言いながら
大淀の表情は軽く、明るかった
「……それにしても
ここ三日くらいずっと書類と
建造とか出撃の任務ばっかりだな
…暇になってくる」
「そういう暇があったらまずは
少しでも鎮守府の改善に向けて努力をしましょう」
「うわっ、厳しいなぁ…これでも頑張ってるんだけどなぁ…ほら
少し前の
『鎮守府内の勤務時間外に於ける服装規則について』の提案から一部採用して『勤務時間外または非番』の出撃とかを考えない時間は
制服以外の服装も許可したし
食に関しては間宮さんとかの元で予算繰ってもらってるし、住は鎮守府内の環境改善に努めてるんだよ?」
「それでも努力できる点はあります
…例を挙げるなら、そう
図書室の併設とか有難いですね」
「それは個人的趣味と違う…?
まぁいいや、大淀の提案という形で、大本営に提出するよ、鎮守府の大規模な改装案になると思うから」
俺が頭の中で川内と協力しながら
鎮守府の建物モデルを弄っていると
大淀が慌てて止めてくる
「私は別に!例を挙げただけですから!」
「えぇ〜?その割にはなんか真剣だったよね?それに図書室の併設は
今まで案が出なかったし
そういう新規意見はやっぱり参考になるから、どんどん欲しいんだ、ありがとう大淀」
「い、いえ、私は……」
「素直に受け取っときなって、
ほら、ありがとう」
「どういたしまして…です」
先ほどまでの薄暗い表情から打って変わって、にこっと微笑んだ大淀
その背景には桜が散り……
(わっせ!わっせ!)
(さくらーふぶーきのー!)
(さらーのそらはーっ)
妖精が桜の花弁を撒いていた
「お前らそれ後で片付けろよ?」
(了解であります!)
俺は軽く注意するにとどめたが
どうやら大淀には耐え難い恥辱だったらしく、顔を真っ赤にして起こり始めた
「いくら妖精さんでも!やっていいことと、しちゃダメな事の区別くらい
つけなさーいっ!」
600話記念番外編は
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テンプレ転生者(ヘイト)
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……