戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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帰還の礼砲

「正月休みもそろそろ明ける頃だが、気分はどうかな?…()()()()()()()

 

「最悪ダ…イヤ、貴様ヲ殺セル分ハマシカ」

 

俺は現在、海域開放のために

南方海域に来ています

 

「鈴谷!暁!」

 

敵はヌ級エリート、タ級フラグ

リ級フラグ、ホ級フラグ

ニ級エリート×2、輪形陣

 

場所は5ー1、

上ルートのAだ

 

対する俺の艦隊は

 

旗艦鈴谷、二番艦以下愛宕、赤城、暁、夕立、五十鈴

 

重巡2、空母1、軽巡1、駆逐2

バスルート完全固定、駆逐艦も追撃フェイズに十分な雷装、火力を備えている

 

赤城に高位艦攻、艦戦を積んでいるため、夜戦に入る前に潰すスタイルだ

 

「久しぶりにアイヴィでついて来ただけある、なかなかヴォリュームある戦いだった…」

 

[ほんと久しぶりだよ、提督のいけずー]

[棒読みになってんなぁ…待たせて悪かったな、島風、ようやく体が安定したんだ

これでまた…まぁ、以前のように前線でバリバリとはいかないが、現地修理くらいなら出来る]

 

とはいえ、パーツもストックには限りがあるし、出力そのものはせいぜい駆逐艦の艤装であるアイヴィに搭載できる重量には

さらに大きく制限がかかる

クルーザーで来れば重量や燃料は解決できるが、今度は資材赤字が厳しい

 

当然ながらクルーザーとて深海棲艦にとっては攻撃対象であり、深海棲艦が

真っ先に狙ってくるのは、丈夫で素早く、手強い艦娘よりも、巨大で狙いやすく、小回りの効かないクルーザーの方であるし

当然壊されるわけにはいかないので、防衛にかかりきりになってしまう

 

それではせっかくの戦力や追加の燃料、交換用パーツを活かせない

 

「勝手ニモノローグニ入ルナ!

マダ戦ッテスライナイダロウガ!」

 

タ級フラグシップが怒り心頭といった様子で叫ぶ

 

「……すまん、終わったものと見ていた」

「マズ貴様カラ殺スゾ!」

 

「させるとお思いですか?」

開幕航空戦に入り、赤城が軽母ヌ級エリート相手に制空を競う…イジメか?

 

速攻で全機撃墜されて涙目になってるヌ級はもう何も出来ずに的にされるだけだぞ

 

「殺セ……イッソ殺セ…」

「全く、何を言い出すやら、良いですか?貴女の敗因は正規空母の艦載数に

軽空母が真っ向から競ろうとした事です、貴女の艦載機運用は全く基本に忠実で、誠実かつ実直、堅実極まる動きでした、それ自体は全く悪くないのです」

 

「デハドウシロト!私ハコレシカ出来ナインダゾ!」

 

勢い叫ぶ軽母ヌ級エリートに

窘めるような口調で

「貴女には艦載機以外にも砲架があるでしょう?それに、私たちの艦載機よりも高性能な機体を持っている、だから先んじて艦攻、艦戦隊を展開して待ち受け、相手が態勢を整える前に高高度からの奇襲で一網打尽にするとか、敢えて艦載機を小出しにして戦力を引き込んで、袋叩きにするとか、色々出来ますよね?」

 

まさかの戦術論議を始めた赤城

 

空母組を他所に砲撃戦が開始される

タ級が砲撃をぶっ放し…愛宕が応射

空中で弾同士をぶつけてみせる

 

「沈メ…!」

「無駄ですよ」

 

リ級と正対する鈴谷は互いに狙いあって

…………リ級が先に撃った!

 

「甘いっ!」

 

鈴谷はリ級の主砲が発砲炎を閃かせた瞬間に加速、腰を屈めてスピードスケートのようなフォームを作り、海面を滑走して

 

砲撃の下を潜り抜け

その加速のままに狙い撃つ

 

それはいわば、予測偏差射撃の逆バージョン、先に狙っておいたポイントに『当たるように鈴谷が動いた』のだ

 

当然、射撃直後のリ級は対応できず、至近弾の断片に切り傷を作る

 

「惜しい!外したっ!」

「クッ…」

 

リ級の悔しげな声と、鈴谷の叫び、同時に響いたそれは、駆逐達の砲撃の鏑矢となり

 

「お子様言うな!」

「よりどりみどりっぽい?」

 

二人の主砲が火を噴いた

 

いかな小口径砲とはいえど、二人は改ニ発現艦であり、さらに

所有する改ニは火力特化にステータスを向上する攻撃的な代物だ

 

いかに精鋭の名を冠する個体といっても、艦娘に於いては『改』相当、その上にある壁を乗り越えた二人に敵う訳もない

 

「ギュギィ一!」

ニ級は爆発四散、ナムアミダブツ!

 

「グィギィァッ!」

ニ級は爆発四散、ナムアミダブツ!

 

「グワーッ!」

リ級は爆発四散…しないようだ

鈴谷の火力が足りなかったか?

 

「雷装だし!そこ間違わないでよ!」

「あっごめんごめん」

 

鈴谷から指摘されてしまったが、たしかにもう砲撃を終えて雷撃戦フェーズなのだから問われるべきは雷装か

 

「うぉっと!」

ぼんやり考え事をしていると

流れ弾…いや、コース的に狙ったらしいリ級の雷撃が飛んでくる

 

「チッ…艦隊の最初ト貴様カラ先ニシズメテヤロウト言ウノニ…」

 

「ほう…鈴谷!」

 

通信で旗艦、鈴谷に呼びかける

複縦陣なので先頭だ

 

「俺ちょっとアイツと『御話』してくる!良いよな?」

「えっ?提督?ちょっと怖いよ?」

「大丈夫大丈夫、ちょっと出る杭(舐めた野郎)を撃ちに行くだけだから!先っぽだけ!」

 

「えぇ…なら、良いけど…」

 

やや迷いのある声を聞きながら

全力推進、最大戦速まで一気に加速する

 

「っし!さぁやろうか!…ダンスタイムッ!」

 

現状、最強の武装である大和撫子は大和自身が封印処置を施している

輝那NXも陸奥鉄の残量が少ないため、使用不可、擬似玉鉄の鋼材を加工した銃弾でも

撃てないことはないが、十分な威力は無い

 

だがそれでも、だからこそ

俺は生身でも戦闘を研究した

「しぃっやぁっ!」

 

リ級に拳を叩きつけて…ハッ!

「ゴブッゥ!ガバァッ!」

 

余裕綽々な表情で受けたリ級の腹に発勁を叩き込む

 

「ナ…!ドウイウコトダ!何故人間ノ拳如キガ…」

 

戸惑うような声を上げたリ級に

俺は鋭い視線を向ける

 

「……ァッ!」

掬い上げるようなアッパーと同時に跳躍して、アイヴィの装甲板部分で蹴り飛ばす

 

「貴様ァッ!ソノ目!ソノ腕!ドコデ手ニ入レタ!」

 

「生憎、姉譲りの剛腕でね!

足グセの悪さは治らないのさっ!」

 

左目、左腕より水色のオーラを漂わせながら嗤う

 

艦娘の力が使えないなら

深海の力、姉さんの力をより強く引き出す、それだけでいい、

要はフォースのフォーム7

ジュヨー、あるいはヴァーパッドの感覚だ

 

以前から、深海の力とコンタクトしたことはある、その力を身に満たしたことも

 

ならば、あとは深海の力に呑まれず、その力を制御して暴走を人為的に操作する

それだけのことだ

 

それだけで、深海棲艦を打ち倒す力は得る事ができる

 

無論、今まで使っていた艦娘の艤装の力とは同一軸上にあって正反対の力だが

 

「行くぞ…憎悪を燃やせ、己の敵を沈めるために」

 

青い炎の光を纏い

失った力を補って、今再び

俺は戦場へと帰還した

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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