戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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メディカルスイッチ

どうにか騒ぎを収めたあと、俺と

白タコヤキはさっさと工廠(代理)に戻り

 

そこに転がってる艤装をメンテして行く

細かく線が入っていたり、

ところどころの塗装が剥がれて、錆びかけていたり

散々な状態のものが置いてある

 

もちろんそれの多くは駆逐艦だが

一応重巡や軽巡のものもある

 

今度特型を中心に予備パーツを揃えよう

交換ができればそれなりに現地修理も

効くだろうし、

 

え?パーツ数多すぎ?

それをなんとかすんのが技師だよ

(佐世保帰り感)

 

バイトをして、金を集めて、龍田に貢いで

機材と鋼材を揃えて、

パーツを作る、並行してパーツ交換を教える

たったコレだけだ、、簡単だろ?

 

大丈夫だ、出来る出来る、問題ない

 

さぁ、始めようか、、我々の戦争を!

 

大見得切ってから帰ってきた

白露型を見守り、時雨の腕を確認する

「時雨、腕見せろ」

 

「提督に報」

「み、せ、ろ」

 

念入りに確認したが、

ちゃんと治ってくれたらしい、白くスベスベで

柔らかいお肌が修復されていた

 

「よし、ちゃんと治ってるな、、

困るんだよウチの時雨を傷物になんかされたら」

 

腕を撫でながら呟く、このくらいの音量ならいくら艦娘でも聞こえないだろう、、

 

「ええっと、言葉の意味を教えてもらえるかな」

どうやら運悪く聞こえてしまったらしい

 

「時雨が可愛いってこと、

お嫁さんにしたいって奴は多いからね」

 

「ふーん、そうなんだ、、じゃあボクは

もう行くね」

無表情の時雨は、そのまま執務室に

行ってしまった、、

 

[またやったわねこの男は、、普段はそれなりに良い人なのに、こういう時は素質を見せるなんて、女の敵よ

本当に爆撃した方が良いと思うわ]

 

なんで俺は爆撃に怯えてメンテなんて

しなきゃいけないんだ?

メンテをしてる時ってのは、なんというか

救われてなくちゃダメなんだ

一人で、静かで、、

(多分なんか違う)

 

「ほら、お前も食うかボーキ」

 

蒼龍の艦載機をメンテしたあまりのボーキを、艦載機を見ていた白タコヤキに近づけてみるが、

 

「ぴぃっ」

 

ふいっ、と顔を背けた。食べないのか?それともツンデレなのか

わからないが、俺はツンデレに優しくない

デレが来るまでにさっさと遠ざかる

そうすればツンやリョナはないからな

暴力系ヒロインも、会わなければ暴力など出来ないのは道理だ

 

叢雲に言われた一日八時間とかは

正直離任してから守った日など無い

 

ずっと二十時間労働だ

むしろブラックに慣れすぎてコレが通常状態

 

働いてない時は飯食ってるか寝てる時

(無駄に語呂がいい)

俺に言わせりゃ小さい頃からこれなら死ぬか慣れるのどちらかだ

俺は慣れた、、

 

ってか俺の指を食うならせめて

メンテしてからにしろよ

今からじゃ邪魔だろ?

 

メンテの邪魔は極力無い方がいい

だから速やかにその咥えている指を離せ

「ぴぃ!」

 

「いや俺の体から切り離せって言ってるわけじゃねえ!」

 

こいつ今マジで指を噛み切るつもりだったぞ

たった今流れた血を

うまうまとばかりになめていやがるし

 

艦載機とはいえやっぱり深海棲艦か、、

 

「ぴっ、、ぴっ、、ぴぃっ!」

(ホップ、ステップ、ジャンプ!)

テシッぽよっピョン!という謎の効果音と

共に俺の頭に飛び乗る白タコヤキ

(未だ名称不明)

 

テシテシと頭の上から叩いて来る

意味不明だ、、こいつは一体何がしたいんだ

そんなに俺を貶めたいのか

 

右手人差し指も第二関節から先が

半分ほど抉れてしまっているし、、

全く、あとで直すのは俺なんだぞ?

 

「面倒だ、、体直すより艤装直したい、、」

 

床にぐでぇっと寝転がり、呟く

 

「あぁ、、修理、、」

 

「ぴぃ!ぴぃ!」

なんだよ引っ張るなよ、、お前に引っ張られるとロクなことが起きないんだよ

 

 

「おい!技師!出て来い」

 

「ん?なんだ天龍か、、何の用だい?」

 

「「()()」がお呼びだぜ」

 

散々メンテ不要を唱えていたあの提督が

わざわざ呼び出し、その言葉に嫌な感じを覚えるも、上官命令ともなれば行かねばならない

 

「分かった、執務室だろ?十分でいく」

 

「おせえよ五分で来い」

 

バン!と扉を開いて俺を引っ張り出しにきた天龍が、俺の指から溢れて広がっている血を見て絶句する

 

「大丈夫だよまだ死なないすぐに止血するから待ってな」

 

「・・・いやいやいや!それどう見ても失血多量だぞ!なんでもっと早く止血しておかねえんだよ!」

 

工廠の扉をダッシュで潜った天龍は即座にコンロに火を入れ、水を入れたヤカンを火にかける

「おい!救急箱とかねえのか!」

「無いね、、そもそも必要性がないとか言われて予算通らなかったし、、ね」

 

 

あぁ、体起こしとくのが怠い、、

 

「龍田!龍田ァ!寮から救急箱持って来い!

技師がヤベぇ!大量出血だ!

は?こっちに無いのかってあったら呼んでねえだろ!絆創膏と包帯とテープがあれば良い!とにかく早くドックに来い!」

天龍が付けっ放しの無線で龍田に連絡を取る

 

「痛えけど我慢しろ!痛えってのはまだ生きてる証拠だ!」

俺を無理やり引っ張りあげて、外したネクタイで手首を縛り、緊急的に止血し、傷を水道に晒して流水に当たるようにして、勢いのある水で傷を洗う

 

大火力で熱されたヤカンが蒸気音を立て

十分に熱されたことを知らせる

 

俺を下ろした天龍は即座に自分のスカートのポケットからハンカチを取り出して、、それに熱湯を注ぐ

家庭でできる加熱殺菌の代表、熱湯消毒だ

 

「ちょっと痛えぞ!」

 

そもそも、艦娘が艤装をつけている間は単なる物理的なダメージは傷たり得ないとはいえ、今の天龍は丸腰

 

湯気をあげるような状態のものに触れれば

やけどもする、

湯気自体はすぐに止まったが、かなり熱い状態のままな筈だ

 

「ゔっつぅ、、」

 

熱いやら傷口に触れられて痛いやら

 

「取り敢えず生食(生理食塩水)入れて体をごまかしてもらうぞ」

 

「技師さんが大変ってどう、、遅かったわね〜」

救急箱を片手に提げて、艤装を背負った龍田と

扉の前で鉢合わせした

 

「ちょうどよかった、龍田!いま応急処置したところだ傷用のパッチあったろ!アレ出してくれ」

 

「は〜い、、」

ごそごそと箱の中を探す龍田の傍で

俺の手首に巻いていたネクタイを外す天龍

 

「あんまり締めたままだと後に困るんだよ」

 

「あったわ〜、、はい傷見せて、、

はぁいっ、、これで良いわ〜」

 

新型の絆創膏みたいなの貼られたんだが、、

あとやっぱりバブみを感じる

 

「先に医務室行くぞ」

 

「提督の呼び出しなんだろ?だったら」

「バカ!これは取り敢えずの処置をしただけだ!血が戻るのにゃ時間もかかる!」

 

怒られてしまった、、

「だから生食入れて体ごまかして取り敢えず安定させてから行けってんだよ!」

 

「わかった、、大丈夫だ、

場所はわかるし一人で行ける」

俺は慣れたものですぐに立ち上がるが、

 

「傷病者の大丈夫をまともに受けるやつがあるか!取り敢えずは経過観察だ」

 

そのまま天龍に医務室まで連れて行かれた

結果呼び出しには二十分ほど遅れた、、




天龍さんは実は意外と炊事掃除も応急手当もできるハイスペックガールなのです!
流石は世界水準軽く超えてるだけあるのです!

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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