戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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提督が出撃するわけないだろ

「…鳳翔さんには礼を言わないと…」

 

割引を効かせてくれたおかげでギリギリ残った財布の中身を見つめながら

ため息をつく

 

「間宮にしときゃよかったか」

「食堂ではいつも食べてマース」

「お前はな?陽炎とか速吸が遠慮しちまうレベルで食ってたよな?昼食だしお前は戦艦(大人)なんだからちょっとは遠慮しろな?」

 

「テートク、言語能力が死んでるヨー」

「お前のせいだ」

 

速吸着任はともかく、まず

話を通さずに着任の許可を出しちまった大淀にも話をつけねばならない

 

…俺のところに書類が来ていない以上、大淀が処理したとか思えない

 

……派遣や報酬等での着任は

秘書艦でも権限の内だったが、

それでも普通説明は通すと思う

 

「…はぁ……」

 

頭を抱えた俺に、金剛がくっついてくる

「テートクー、溜め息ついても何も始まりまセーン」

「確かにな…だが溜め息でもついていないと破裂しそうだ…はぁ…」

 

また一つ溜息をついて、

ゆっくりと顔を上げる

 

「起きちまったことはかわらねぇ、それは事実だ、とりあえず速吸の着任を受けて、その戦力、性能をどう活かすか、編成はどうするか

掃除当番とかはどうするかは

考えなきゃならない」

 

それは追い追い…とはならない

新参者は仕事でもしていないと肩身がせまい…しかもそれは最初の数週間で決まってしまう雰囲気や印象にも影響するからな

 

「ファーストインプレッションが良くないとその後の人間関係に大きく問題が出るし

やることは山積みだ」

 

「お疲れ様デース」

 

「本当にお疲れなんだよ」

 

ちなみに、現在時刻は16:40

もうそろそろ提督のしての仕事も終わりの時間だ

 

「…よし、これで終わる…」

なんとか編成を書き直して

ゆっくりと椅子に背を預ける

 

「ふぅ〜金剛、悪いけど紅茶淹れてくれ

一息入れたい」

「了解デース!」

 

金剛の淹れてくれる紅茶…に限らず、金剛と飲む紅茶は美味い

 

金剛の淹れ方が良いのと、

金剛が美味い紅茶を出す店を知っているのと、二つの要素があるが

総合して、金剛と飲む紅茶に外れはない

 

「美味い、…落ち着くわ〜…」

 

適温のうちに、

味わいながらいただく

 

「……眠い…が、まだだ…」

書類を書かないと…

 

艦娘や執務に関係なく

いろいろ書くべきものはあるから、やる事はやらないといけない

 

「ふぁ…っ、よし」

 

一度だけあくびをしてから、酸素を取り込み直して、思考を澄ませる

 

「っぽーい!」

「……」

もう一度深呼吸して、思考を澄ませる

 

「クマーッ!」

 

「……………」

 

もう一度「ぴぎいっ!」

「おいこら」

 

集中の邪魔をするなお前ら

 

「ちゃんと仕事をさせろ」

「ぴっ!」

 

短い手で敬礼?する白タコヤキ

「…失礼するわ…」

 

執務室に入って来たのは

空母棲鬼

 

「アレフ…白タコヤキもらってくわね

…提督も、また倒れないように、しっかり休んでね?」

「あぁ、わかってるよ」

 

笑顔で応じて、白タコヤキを掴む

「ぴいっ!?ピッギィィイッ!」

 

むぎゅっと掴み上げたあと

そのまま空母棲鬼の手に乗せて

 

「頼んだよ」「えぇ、承ったわ」

 

「ぴいっぃぃいい!」

 

嫌がっている白タコヤキは無理矢理艤装内部に押し込ま(格納さ)れて消えた

 

「それじゃあおやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

「おやすみなさいデース」

 

金剛と一緒に空母棲鬼を見送り

 

………

「お前も帰れよ、そろそろ時間だろ?」

 

「テートクー?tea timeは終了宣言まで続くものデース」

「なるほど、そういうことか」

 

 

とりあえず金剛に礼を言って、しっかりと区切りをつけてから…よし

 

最後に残ったいくつかの書類に手をつけた

 

「…日報みたいなもんかね…」

 

いくつか、といっても

6枚ほどだが、これにも意味はある

 

「しっかりやらないと…」

 

その日の仕事をしっかり片付けないと

あとあとで面倒なことになる

経験則だが、よく言われる事である

 

「よし!今日の業務完了」

 

[終わった?それじゃあ夜戦しよ?]

[…お前はまず、夜戦以外にも頭を回せ]

[嫌でーす]

 

嫌じゃないんだよなぁ

 

[夜戦はしないし、俺は寝る]

[えぇ〜〜?やだ!夜戦〜!」

 

川内は突然騒ぎ始めたが、

その程度で眠気は消えはしない

 

程なくして俺は眠りについた

 

[やせん………]

[知らん]

 

朝、秘書艦を買って出たらしい翔鶴に起こされた俺は、一緒に食堂へ来ていた

 

本来なら6時ごろに起こされてから

艦娘たちの総員起こしがあるので

秘書艦は先に行くのだが

 

翔鶴は新人ならではの柔軟な発想

『館内放送設備に時間指定でアラームを仕掛ける』でそれを解決したのだった

 

ちなみに、アラームの内容は

前日に録音された総員起こしの音

 

つまりは昨日の秘書艦である金剛の声、ご丁寧にも緊急モードで全館放送なので

全室に、マイク音量の設定無視で

大音量が鳴り響いた

 

「あ!提督と翔鶴さん!一緒に来たんだ?」

「ぴょん!これはこれは…」

「見ちゃいました?」

 

「おまえら何でそんなに噂好きなんだ?何を書き立てる気かは知らないが

少なくとも翔鶴の名誉に関わることはやめてくれよ?」

 

さりげなく翔鶴の前に出ながら

矢面に立つ

 

「提督…」

 

「翔鶴、おまえは先に行け

………席とっといてくれ」

 

「はい!」

 

微妙に締まらない言葉と共に

翔鶴を先に行かせて

 

「さぁて耳年増ども…覚悟はいいな?」

 

 

かすかな悲鳴が、聞こえた気がした

 

 

 

「……………ふぅ〜…」

 

()()()を終えて、朝食をとり、執務に勤しみ、一部艦娘にくっつかれ

里見君に釘を刺され

 

とにかく一日の行事を終えて

 

「で、ここに来ているわけだ」

「提督、ワザワザ軽巡寮ニ来テイル理由ニハナッテイナイノダケレド?」

 

「俺が来たかったから来た、球磨に監督も頼んだし、問題はないよ」

「意外と優秀な球磨ちゃんにおまかせクマー」

 

俺の後に続いて、軽巡棲姫の部屋に入ったのは、ツノが動くと有名な艦娘

軽巡洋艦、球磨

 

裏イケメン枠とも言われる強力な艦娘だ

 

軽巡棲姫へのカウンターとして

十分な能力と言えるだろう

 

「ソウ、ソレジャア提督、オ話ガアルノデショウ?ドウゾ」

「いや特にないよ?ただ最近話してなかったからって見に来ただけだから」

「ソレナラモウ帰ッテ…」

「だめ」

 

帰れ、と言おうとした軽巡棲姫に、インターセプトしてノーを突きつける

 

「一緒にお話ししようぜ」

「エェ…」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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